14.やっぱりちょっと
しおりを送り、僕とさくらを乗せたタクシーが、家の前に停車した。
「さくら、おいさくら」
僕は、さくらの肩をゆする。
「あー、涼。おはよう」
「着いた。降りるよ」
僕はタクシーから降り、ドアの前でさくらに向かって、手を差し出す。
さくらは、僕の手を握り、タクシーからふらふらとした足取りで出てきた。
「ありがとう」
そのまま手を繋いだ状態で、家の中に入った。そして、さくらの部屋まで送っていった。
さくらは、ベッドに倒れ込んだ。手を繋いでいた、僕もベッドに倒れ込み、結果的に二人でベッドに寝ている状態になってしまった。
さくらと僕の目があった。
さくらの目は涙で潤んでいた。
「涼、優しい男の子は、こんな時どうしてくれるの?」
僕は少し考えてから囁いた。
「・・・泣いてる女の子には、優しくすること・・・って、昔さくらが言ってたね」
さくらは、微笑む。
「じゃあ、優しくして」
僕は起き上がり、さくらを抱き寄せる。
ベッドの上で向かい合うような状態になった。僕はさくらを優しく抱いた。
少し間があいた後、さくらも抱き返してきた。
そして、僕はさくらの唇に僕の唇を重ねた。
さくらもそれを受け入れていた。
ほんの数秒の短いキスだった。
僕は、立ち上がった。
「おやすみ、さくら」
「うん、おやすみ涼」
僕はさくらの部屋を出て、自分の部屋に戻った。
酔っていたからじゃない。さくらの顔を見ていると、そうしたくなった。
やっぱり、僕はさくらのことが、ちょっと好きなのかもしれない。
1人部屋に残されたさくら。膝を抱えながら、ベッドに座っている。
「良い男の子になったね。涼」
さくらは、自分の唇を指で触れながら、ベッドに横になった。
朝から湿気が、強く不快ですね。
そんな梅雨空の中、頑張って投稿続けています。
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