Real Time Crisis Ⅰ
輝く白い画面が緩やかに収まると、そこには自分の部屋が広がっていた。
一瞬起動に失敗したかとも思ったが、メニューや能力値が表示されているので成功したのだと分かる。
ゲームの現在地こそ自室であれど、目に見える画面表示は、従来のTransfer Crisisと殆ど変わらなかった。
右上に小さくRTCと書かれたデジタル時計のアイコンだけが、今までと異なっている。
他にも色々見ようとも思ったが、アイコンが無効になっていた。
アイコンの中で唯一有効になっているものに触れる。
「ようこそ、Transfer Crisis OnLinesへ」
「今までのシリーズと趣を、そして舞台を現代へと変えて、新たなる危機に立ち向かって頂きます」
「現代の町を巡回し、高いところから下りられない子供から隕石の激突まで、シリーズを通して変わらないゲーム性をお楽しみください」
「このゲームが初めてと言う方もご安心ください」
「説明が終わった後に、メニューよりチュートリアルをプレイする事ができます」
「そして、今までにない新システム、Real Time Crisisの登場です」
「突発的に訪れる緊急危機警報、突如として設定された制限時間内に皆で協力して町や人を危機より救う」
「まさに、Real Time Crisis」
「緊張感のある絶対的な危機を、無事に乗り越えてください」
「それでは始めましょう、御武運を」
『RTCってそういうことだったのか。しかも皆で協力という所がオンラインなんだな』
心の中でそう呟くと、これから起こりうる危機がさらに楽しみになった。
実際にプレイをしてみても特に変わっておらず、マップが地元な事からくる未知への期待が薄かった事以外は楽しかった。
道端で困っている人がいれば話しかけ、承認すれば制限時間がスタートする。
轢かれそうな人がいれば、与えられた手段で制限時間内に救出する。
クエストの様に受注してはクリアをしてステータスを上げていく、その繰り返し。
町の外に出ても隣町がちゃんと現実に即して存在しており、家にいながら世界中を旅できるのではとも思えてきた。
――13時17分、チュートリアルくらいのつもりでやっていたが、少し長めにプレイをしていた。
遅くなったが昼食だなと思ったその時である。
「緊急危機警報発令! 緊急危機警報発令!」
大きな警告音と共に制限時間が設定される。
“00:03:23以内に交通事故を防げ! 周辺のプレイヤーは1名”
この表示がされている間もカウントが進んでいる。
そして何より周辺プレイヤーが1名、つまり自分だけである。
自分が事故を防がなければ……。