第89話 魔王との戦い
俺達は遂に魔王城に到着した。
魔王城からは黒い瘴気がゆらゆらと立ち上っているのが見えた。
「さあ、行くわよみんな」
桜沢さんの号令の下、開け放たれた門から中に入る。
中には鉄の巨人が待ち構えていた。
「四天王、鉄壁のカドルグだ。いざ勝負」
「ははは、この時を待っていたよ。もはや四天王は最後の一人。俺達は先に進ませてもらうよ」
野上達一向が現れ寄居が言った。
あれ、四天王は一人しか倒していないけど。
まあいいかきっと残りは誰かが倒したのだろう。
寄居が水晶玉を投げ、空間が停止した。
巨人が歩き始めて跳ね飛ばした石ころも空中で止まっている。
意識は止まってない、音も聞こえるし、目も見える。
どうなっているんだ。
時間停止なんて無理そうだから、何か魔法と幻術の組み合わせあたりだろう。
「このフィールドに入った者は時間が止まる。こちらも攻撃できないけどね。お先にいかせてもらうよ。野上さん唸ってないで魔王を退治しにいきますよ。大物を退治するためには我慢して下さい」
そう言うと、寄居達は時が止まったフィールドを避け野上を縛って魔王城に入っていった。
しばらくして時間停止が解ける。
「波久礼君は野上達を追いかけて」
桜沢さんが言った。
切り札も幾つか渡した事だし、お言葉に甘えて先に行くとするか。
「よし、追うぞ」
俺は入り口の脇の石壁を触り『安全な抜け穴、魔王城』片手に。
「カタログスペック100%」
石壁にはぽっかり穴が開いた。
穴を抜けた先には転がる巨大な鉄球がでも関係ない何せ『安全な抜け穴、魔王城』だからな。
鉄球は不自然に跳ね俺達の頭上を通過した。
その他にもガスゾーンや槍衾など色々とあったが全て俺達を避けていった。
楽しいアトラクションだったな。
俺達が抜け穴を抜けて、玉座のあるところに行くと野上達は既に戦闘に入っていた。
お手並み拝見といくか。
透明になるハチマキを装備して玉座の裏でこっそり観戦する。
野上達はまずは遠距離攻撃をするらしい。
「みんな、撃ちまくれ」
寄居が命令すると後衛職が次々に攻撃を放つ。
雨あられと降り注ぐ攻撃を魔王は大剣を一振り、攻撃を全て打ち消した
「まずい立て直そう」
そう言うと寄居は例の水晶玉を投げた。
魔王が停止して次の瞬間パリンと音がすると魔王が再び動き始めていた。
「嘘だ。十万人分の魔力を込めて作ったのに。前衛職、攻撃だ。野上さんもやっちゃって下さい」
前衛職の攻撃は全て一蹴されている。
「あいつら、勝てると思う」
「うーん、どうかな。全然ダメージが入ってなさそう」
「私を馬鹿にした報いだわ」
魔王が大剣から黒いオーラを出し大振りする。
前衛職も後衛職も倒された。
一人残った野上が攻撃を仕掛ける。
「シャイニングスラッシュ。ホーリーバッシュ」
「ぬるいわ」
魔王の大剣でなぎ払われ野上はずたぼろになった。
「お前は中々しぶといな。呪いを掛けてやろう」
魔王はそう言うと剣から黒いオーラを再び出した。
「はっ、呪いは嫌だ。お前盾になれ」
そう言うとダメージが抜け切っていないクラスメイトを次々に身代わりにした。
苦鳴があちこちから聞こえる。
黒いオーラの剣で切られたクラスメイトは皮膚を爛れさせさながらゾンビのようだ。
もはや盾になりそうなクラスメイトが居なくなった時、野上は逃げ出そうとした。
「面白かったがお前で最後だ」
魔王は大剣で野上を切った。
野上は呪いを受け倒れた。
「ちょっと、通りますよ」
俺は姿を現し歩きながら言った。
流石の魔王も呆気にとられている。
野上の所に行き聖剣を拾い上げた。
「貴様はなんだ」
「勇者だ。カタログスペック100%」
俺は片手に聖剣、もう一方に『究極勇者エクストラスペシャルDX』を持ってスキルを発動した。
聖剣が光を纏い輝いた。
物語では勇者の聖剣の一振りで山が割れたと書いてある。
俺は聖剣を振りかぶり振り下ろした。
「勇者必殺技の一つ大山脈撃滅波」
剣の軌跡は衝撃波を呼び、魔王を切り裂く。
そして、衝撃波は魔王城をも切り裂いた。




