第77話 龍勢ベルト
上の階ではまたもやゴブリンが居た。
ふっとゴブリンの姿が霞んでクラスメイトの前衛職がなぎ倒された。
俺は『アミオンの目』でゴブリンを捉えようとして気持ち悪くなった。
人間の脳は超高速には対応していないらしい。
しょうがないので『アミオンの目』をオフにした。
俊足スキルを持っているクラスメイトが発動させようとして失敗。
魔法も不発。
どうやらその力をスピードに変えているらしい。
和銅さんが俺の推測を裏付けしてくれた。
これに対抗する道具なら持っている。
下の階でコレクションした中に『龍勢ベルト』というのがあった。
ワームがもの凄い勢いで空を駆け上がり龍になるという伝説があり、その龍の皮で作ったベルトらしい。
身につけると神速で動けると説明書きにあった。
「動きの早くなるベルトがあるんだけど誰が使う?」
「痛ててて。ちくしょうリベンジだ。私がやる」
武川さんがダメージを負った身体をさすりながら名乗り出た。
こうしている間も前衛職は立ち上がっては倒され、また立ち上がるという事を繰り返している。
このゴブリン遊んでやがる。
武川さん頼んだよ、みんなの仇をとってくれ。
そう思いながらベルトを渡した。
武川さんはベルトを着けると姿がぶれて、ゴブリンと戦闘に入った。
どしゅっと音がして一瞬だけパンチを振りぬいた武川さんが見える。
衝撃波で壁にひびが入った。
ゴブリンも負けじとパンチを放つ。
武川さんを拳が貫くが当たっていないようだ。
武川さんの残像が消えた。
ゴブリンのパンチの衝撃波で壁が揺れる。
裏拳を放つ武川さんの像が一瞬見える。
立っているゴブリンとしゃがんでいるゴブリンが同時に見える。
風が巻き起こりクラスメイトの衣服をひらひらさせた。
らちが明かないな。
援護に使えそうなのは『必中の弓』か。
弓道部のクラスメイトに弓を渡す。
彼女は目を瞑り弓を引き絞った。
矢を放つと矢はクルクルと回りグギャっという苦鳴が聞こえる。
一瞬矢が刺さったゴブリンが現れる。
武川さんの放ったパンチが遂にゴブリンを捉えた。
ゴブリンらしき影がもの凄い勢いで壁に叩きつけられる。
口から血を吐くゴブリンの姿が見えた。
武川さんが全力で正拳突きを放ち、衝撃波がゴブリンに追い討ちを掛けた。
ゴブリンは魔石になった。
武川さんはベルトを外し、一言。
「腹減ったぁー」
そんな副作用が。
そりゃそうだよな何倍もの速さで動いているのだから、数分でも一時間フルに運動したぐらいのカロリーは消費するよな。
俺はアイテム鞄から『もはや神の味』って銘打たれていたパンを取り出した。
それと『神の肉』のステーキと飲み物に『女神の涙』。
武川さんはそれらにかぶりついた。
なんかみんなも食いたそうだな。
旅の間の楽しみだったけど振舞ってやるか。
カロリー大目の三時のおやつになった。
「おい、二人共そんなに食うと太るぞ」
「女の子に太るは禁句だよ」
「ダイエットできる鏡があるから平気さ」
「そういえばそんなのもあったな」
「えっ、なになに。ダイエットできる鏡ですって」
「みんなダイエットできる反則道具らしいわよ」
クラスメイトに嗅ぎつけられてしまった。
「おい押すなよ。今出すから。壊れ物だから順番にな」
「じゃあいくわよ。じゃんけんぽん」
じゃんけん大会が始まってしまった。
貸してよという声が多いが、貸すと返ってこないパターンだな。
しょうがないのでダイエットできる鏡は桜沢さんの管理物件となった。




