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第8話 どこまでも歩ける靴

 俺達三人のパーティは魔物討伐の依頼をしながら野上達の後を追った。

 行く先々で勇者だと吹聴してまわるのだから、足取りは簡単につかめた。


「だいぶ、野上達に近づいた。後少しだ頑張れ」

「もう嫌、歩けない」


 御花畑がだだを捏ねる。


「私も疲れたな」


 小前田も限界みたいだ。


「知ってる? 沢山歩くと豆がね豆の中に出来るの」


 御花畑が座り込んで言った。




「ポーション毎日飲んでるから、平気だろ」

「歩くのに痛いのが嫌なの。苦行なのよ」

「柔だな。靴が合ってないのか」

「次の街で足の痛くならない靴買ってよ」

「分かった、分かった。最高なのを買ってやる」


 俺達は街道にある大木の下で休む事にした。




 休む事半時、荷馬車が通りかかった。


「お前さんら、乗っていくかい」


 赤ら顔の気の良さそうなおっちゃんが馬車を停めて言った。


「乗ります! 乗らせて下さい!」


 御花畑ずいぶん元気じゃねえか。


「おっちゃん乗せてくれ」

「お世話になります」




 俺達は空の荷台に座りこんだ。


「村に炭を納品に行った帰りなんだよ。帰りの荷がちょうど無かったのさ。お前さんら運が良い」

「おっちゃん行き先は?」

「ヴィアレだよ」

「奇遇だね、波久礼(はぐれ)君」

「俺達が向かっていた所だ。お金を払ってもいいから、ヴィアレまで頼むよ」

「金なんて要らないさ。世の中助け合いだ」


「お言葉に甘えようよ」

「そうだな、小前田」




 おっちゃん良い人だな。

 こういう人は報われて欲しい。


 俺達はおっちゃんと取りとめの無い話をしながら街を目指す。

 御花畑が静かだと思ったら寝てやがる。


 二時間ほど進んだ所で狼の魔物が出てきた。




「逃げるぞ」


 見ると御者台からおっちゃんは飛び降りて一目散に逃げて行く。

 馬を見ると、平然と立っている。

 この馬強いのか。

 魔物が近づいても微動だにしない。

 と思ったら気絶していた。

 異世界の馬ダメダメじゃん。




「おい、御花畑。起きろ、一発ぶちかませ」

「後五分……」

「映画スターが歩いてる」

「はっ、どこ、どこ。何だ魔物かよ。ファイヤーランス」


 魔物は一撃で魔石と毛皮になった。

 思うんだが、今のどこがランスなんだろう。

 丸太ぐらいの太さなんだけど。


「寝る。着いたら起こして」


 俺達はおっちゃんを探して、旅を再会した。




 その後何もなく荷馬車は無事街に着いた。


「御花畑、着いたぞ。起きろ」

「あれ、イケメンは」

「何、寝ぼけているんだ。靴を買うんだろ」


「そうよ。速攻で行くわよ」




 靴店を見つけドアを開けた。


「歩いても疲れなくて足の痛くならない靴を探している」

「ございますとも。当店の靴はみんなそうです」

「御花畑、好きなのを選んで良いぞ。ついでに小前田も靴を買え」

「「はーい」」




 二人はリボンの飾りが付いた靴を選んだ。

 お揃いだねなんて言っている。


「店主、金を払う前に保証書を一筆書いてもらおう。この靴は疲れなくて足が痛くなりませんと」

「署名は要らないのですか」

「いらない、靴の商品名は入れてくれ」

「それなら、まあ良いですよ」


 売ってしまえば勝ちだと思っているな。

 署名がなければ効力を発揮しないと。


 一筆書いて貰った紙と靴を手に唱える。


「カタログスペック100%」


 靴が光に包まれ元に戻る。

 外見は変わらないな。




「二人とも靴を履いてみてくれ」

「すごい、ぴったり。さっき履いた時はこうじゃなかった」

「そうね、あんたのスキルって便利すぎ」

「これで文句ないだろ」


 そして、今夜の宿を探す事にした。


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