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無職の俺は追放されてもへっちゃらカタログスペック100%があるから【旧作】~現実を強引に俺の真実で塗り替える~  作者: 喰寝丸太
精霊救済編

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第41話 癒しの風

 風の祠の脇にテントを張り風を待つことに疲れてきた頃、野上達が風の祠に到着した。

 ちっ嫌な奴が来た。


「場の暖めご苦労さん」

「お早いお着きで」

「嫌味言っている場合じゃないわ。風がないと風精霊は出てこないわ」

「落ちこぼれ三人組みは馬鹿だな。風がなけりゃ起こせばいい。おい、あれを出せ」




 野上がそう言うと手下のクラスメイトがアイテム鞄から何やら大掛かりな道具を出してきた。

 一メートルぐらいある筒が色んな角度を向くように設計されている。

 口径の大きい大砲といったところだ。

 野上が合図すると道具から風の轟音がした。


「対空中魔物用の装備がこんな所で役に立つとはな。風精霊よ姿を現したまえ」


 野上の呼びかけに応じてゆらゆらと大気がゆがんで人型の形を取った。




「精霊様の要望に応えたい」

「あら、珍しい風があったので出て来てみれば、私のお願いを聞いてくれるという。なんていい日なんでしょう」

「なんでも良い。願いを言ってくれ」

「そうね、私は下級精霊の遊ぶ姿を見るのが大好きなの。遊び道具をくれないかしら」


 寄居が野上に耳打ちをする。

 少し考えて野上が口を開く。


「なら、俺はあなたを呼び出すのに使った道具を進呈しよう。波久礼(はぐれ)が今、道具を出せないなら、この勝負、俺の勝ちだな」

「ちょっと待て用意する」

「二つも貰えるの嬉しいわ」


「汚いわよ。勝手に勝負の方法を決めるなんて」

「そうよ、そうよ」

「金魚のふんが吠えるな。精霊様に聞いてみよう。精霊様、献上は何時がいいですか」

「そうね、風は気まぐれ。今すぐ欲しいわ」

「だそうだ」

「ぐぬぬ」

未依子(みいこ)ちゃん、しょうがないよ」




 さてどうしたものかな。

 下級精霊の遊び道具ねえ。

 精霊がトランプするところなんてイメージ湧かないから、野上の風を出す道具ってのは良いアイデアなのかも。

 真似するのはしゃくだが、俺も風を出す道具で対抗しよう。


 思いつくのは『スプライン神話』にある癒しのうちわだな。

 扇ぐと癒しの風を送り疲れを取るという。

 材料はエリクサーとうちわだから、手元にあるもので何とかなりそうだ。

 うちわにエリクサーを掛け、神話の本を持ち。


「カタログスペック100%」


 うちわは光り、スキルが掛かった。

 うちわで自分を扇ぐとここまでやって来た疲れが全て吹き飛んだ。

 遊び道具が健康器具になったけど、まあ良いだろう。


「俺達はこれを献上します」


 風精霊はうちわを受け取り何もない空間を扇ぎ始めた。

 きゃっきゃっと子供が喜ぶ声を聞いたような気がした。




「良いわねこれ。その風を出す道具は要らないわ。持ってかえって」

「なぜだ。理由を言ってくれ」

「その道具は風が硬いのよ。気にいらないわ。このうちわは反対に凄く風が柔らかい。下級精霊も大喜びよ」

「聞いた事があるわ。人工の風は揺らぎがないのだとか。扇風機の良い奴だとAI内蔵らしいわね」

「そんな、じゃあただのうちわでも負けたという事か。くそっ、寄居の策に乗ったのが失敗だった」

「ふっ、策に溺れたわね」


「この勝負うちわの勝ちとします」


 俺達について来た見届け人が宣言した。


「これで俺達は二勝だ。野上、後がなくなったな」

「ふん、勝負はこれからだ」


 俺達は風の祠を後にして、土精霊の待つ穀倉地帯に向かった。


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