第4話 薬草採取
「今日のギルドの依頼は何かな?」
俺は村のギルドの出張所を兼ねた宿屋で依頼を剥がす。
依頼は薬草採取しか残ってなかった。
薬草採取って依頼料が安いんだよな。
かと言って魔物討伐は恐い。
森も魔物が恐くて奥には入れない。
「お願いです。誰かうちの娘を助けて下さい」
宿の二階から階段を下り、男が言った。
「どうしたんですか」
宿のカウンターに座っていた従業員が声を掛けた。
「娘が熱を出して医者を呼んだのですが、最上級品質の薬草がないと危ないと言われたのです」
「依頼を出すのなら、そこに張り出します」
「それじゃあ間に合わない。今日中に薬草が欲しい」
「お気の毒ですが、私にはどうしようも。一応依頼を出しますか」
「ええ、お願いします」
大変な現場に出くわしてしまったな。
なんとか出来るなら、してやりたいが。
最上級品質の薬草は森の奥に入らないといけない。
新しく張り出した依頼書に目を通してから、その場を後にした。
俺は最下級品質の薬草を採るために村の道を行く。
金物屋の前を通りかかるとテーブルが店の軒先にある。
テーブルには鋏が沢山置かれていて、テーブルには羊皮紙が張られていた。
羊皮紙には『これであなたも採取名人、薬草も最上級になる事間違いなし』と書いてある。
神のお導きって奴か。
これで宿に泊まっている娘も助かるに違いない。
「すいません、軒先の鋏を買いたいのですが」
男が店から出て来て応対し始める。
「へい、らっしゃい。ホルダーはどうしやす」
「その前に買った鋏にスキルを掛けたいから、その羊皮紙に触っても良いか」
「へぇ、汚さないのなら」
「じゃあ、鋏、貰うよ。カタログスペック100%」
手に持った鋏が光る。
森の入り口へ行き、依頼にあった最上級品質の薬草と同じ種類の薬草を探す。
あった、虫食いだらけの萎びてる薬草だけど関係ない。
採取名人でぱちりと切り取ると薬草がみずみずしくなり虫食いも無くなった。
急いで宿に帰り、真新しい依頼書を手に取る。
「この依頼受けるよ」
「これ森の最奥ですがよろしいので」
「既に薬草なら持っている。ほら」
俺は薬草をカウンターに置いた。
「鑑定。凄い奇跡だ。あなたのおかげで一人の命が救われました。こうしちゃ、いられない」
従業員はカウンターから飛び出し薬草をつかむと凄い勢いで二階に上がって行く。
ちょっと待ってお金は?
良いか俺もこの宿に泊まっているし、お金は後でも貰えるだろう。
翌日。
俺が依頼を物色していると、親子が二階から降りてきた。
親はこの間の高級品質を依頼した男だった。
子供は三歳ぐらいの娘さんで、もう良くなったのかと驚いた。
流石、異世界の薬だな。
効き目も早い。
親子は俺の所に来ると。
「あなたが薬草を採って来てくれた人ですね。おかげで助かりました。リリーからもお礼を言いなさい」
「ありがとう、ごちゃいました」
「気にしないで良いさ。お金も貰っているし。それにその笑顔で報われたよ」
と言ってもたいした事はしてない。
スキルを鋏に掛けて、森の入り口でちょっきんしただけだ。
人助けは気持ち良いな。