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第3話 チンピラ冒険者を改心させる

 街の道には露店が沢山出ている。

 その一つの露店で冒険者と思われる奴が暴れていた。


「ツケが駄目だと。俺を馬鹿にしてるのか」

「勘弁して下さい。お代は結構です」

「そうか、悪いな」


 チンピラ冒険者って奴なのか。

 何かギルドに登録するのが嫌になってきた。

 登録だけして、とっとと他の街に逃げる手かな。




 しばらく歩くと、別の冒険者が今度は嫌がる女の子を連れて行こうとしていた。


「やめて下さい」

「ちょっと、来てくれりゃ良いんだ」


 その時、勇気のある通行人が割って入った。


「彼女が嫌がっているじゃないか」

「生、言いやがって」


「衛兵さん!! 市民が暴漢に襲われてます!!」


 俺は声の限りに叫んだ。


「ちっ、女も逃げやがったか。お前、次に見かけたら殺すからな」


 チンピラ冒険者は俺の方を見て、捨て台詞を吐いて去って行った。




 ギルドの前で別の冒険者が装備が良さそうな先輩にぺこぺこと頭を下げている。


「少ないですが。お納め下さい」


 上位の冒険者に貢いで、上位の冒険者はギルドのお偉方にお金を渡し便宜をはかって貰う。

 全部、想像だけどそういう構図なのかな。


 二度ある事は三度ある。

 さっきの冒険者が少年の冒険者に絡み始めた。


「おい、指導してやるから、金を出しな」

「嫌だよ。ただでさえ収入少ないのに」

「ぶん殴るぞ」


「あんな所にちょうど、衛兵さんが! こっちです! 恐喝です!」


 チンピラ冒険者は逃げて行く。

 馬鹿で良かった。

 衛兵が丁度良く来るわけないのに。




 流行の異世界召喚で魔王が現れた訳だろう。

 世界が滅びそうなんだからもっとやる事あるんじゃないか。




 ギルドの登録でこの場で読むようにと手渡されたギルド規約を見てピンと来た。


「おねえさん、このギルド規約を売ってよ。予備はあるんでしょう」

「私が売ったって言わないでよ」


 銀貨を十枚でギルド規約の書いた羊皮紙を手に入れた。


 さっそく、見かけたチンピラ冒険者に試してみますか。

 ギルド規約を手に、死角からさりげなく近づきタッチ。


「カタログスペック100%」


 チンピラ冒険者が光る。


「お前あの時の。金、出せよ」

「嫌だ」

「何しやがった。殴れねぇ」


 チンピラ冒険者は構えたまま微動だにしない。


「規約にね、書いてあるんだよ。ギルド員同士の戦闘禁止って」

「ふざけた事、言ってんじゃねえ」

「そういう奴にはお仕置きだ」

「ぐひゃひゃひゃ。そこ駄目……、うひゃひゃ。……はひーはひー」


 俺は攻撃できないのを良い事に、散々くすぐってやった。


「ギルド規約を破れない体にしたから」

「改心するから、許して」


 人間にスキルが効くか自信が無かったけど、上手くいったな。


 実は俺にはしょうもない特技がある。

 それが、客が気づかない内に、お冷を継ぎ足すというものだ。

 喫茶店のバイトで身につけた。

 この特技をもってすれば、スキルを掛けるなんて造作も無い。


 ギルドで冒険者を待ち伏せしてスキルを掛けてやった。

 もうスキルを掛けてない冒険者は殆んどいないはずだ。


 もう、こうなりゃ毒皿だ。

 ギルド職員規約を手に入れ、ギルド職員も片っ端からスキルを使いまともにしてやった。




 妙に居心地が良くなったギルドで薬草採取を何日かこなしていたら。


「へぇ、これがギルドか」

「はしゃがない、はしゃがない」

「冒険者王に俺はなる」

「来訪者様方、登録しますから、並んで下さい」


 クラスメイトが騎士に連れられぞろぞろと入って来た。

 この中に俺の職業を奪った奴がいるんだな。

 今の俺の状況ではまだ仕返しは出来そうにない。

 職業を盗った奴に見つかったらやばそうだ。

 なら、こそっと隣町まで脱出する手だな。


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[気になる点] 異世界召喚で何故一人遅れたのか・・・ 遅刻したから? 突然光ったと思ったら白い空間に飛ばされ って書かれているように、光ってるところに入っていったのではなく、入ったら光った ということ…
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