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二十四話

 目を開けるとそこにあったのは心臓を貫かれた魔物と心臓を貫いた美女。


魔物の断末魔をバックグラウンドに僕は目を閉じていた間、何が起きていたのか考える。ただ結論など出るはずなく二秒でアグニさんに答え合わせを頼む。


「何が起きたんですか」


 ヒルダさんが長剣を引き抜くと、赤く染まった刀身が外気にさらされる。ヒルダさんはシュッと剣を振って血を落とした。同時に鼓膜を震わせる咆哮も終わりを迎え、魔物の首は糸を切り離された人形のように下を向いた。


「俺の眼を使っただけだ」


 アグニさんの表情は変わらない。両目は既に隠れ、露わになっている口元からも安堵は見えない。ただ目の前の雑魚を始末しただけそんな感情しか湧いてないのかもしれない。


そのヒントで僕は目を瞑っている間、何が起きたのか予想がついた。アグニさんの両目は2.5mはある巨大で獰猛な魔物さえ怖がらせることが出来るってことだ。


 長剣を鞘に収めたヒルダさんがいつも通りの笑顔で近寄ってくる。


「いやー、まさか魔物を引き連れてくるとはね。びっくりだよ」


 その台詞で僕はカイムさんのことを思い出した。


「カイムさんはどこに」


「見てないけど」


 二人に出来るだけ簡潔に今まであったこととカイムさんが同じような目にあっているかもしれないことを話した。


「ロア君も災難だったね」


「ってカイムさんは」


 アグニさんが答えた。

「あいつなら大丈夫だ。問題ない」


 何を根拠にと言おうとした時、その人が平気な顔して帰ってきたから僕は心底驚いた。


「ロア君が心配してたよ」


「僕を心配してくれるのはロアくんだけだよ」


 カイムさんの体からは血一つ出ていない。アグニさんたちはカイムさんなら問題ないと知っていたってことか。


 未だに魔物を警戒してか誰も近寄ることはなく距離をとって通行人たちは現場を眺めている。そんなところで誰かが走ってくる音がしたと思うと、僕は横から強く抱きしめられる。


「心配した」


 僕とレイを見てヒルダさんが茶化しか本気かわからない感じでいう。


「二人ってそういう関係だったの」


「違います!」


 はっきりと否定した瞬間、僕の脇腹が悲鳴を上げた。強烈な一発を受けた僕の脇腹はレイによって再び圧迫されることにより激痛を発する。


「レイ今すぐ離れて」

 この後、駆けつけた治療魔法師が来るまで僕はひたすら激痛に耐え続けた。



 治療魔法で痛みも止まった僕はカイムさんとともに数時間前のメンバーにカイムさんに正座させられてる盗賊団員で状況報告をしていた。


カイムさんの報告で僕は驚愕していた。僕と別れた後、僕と同様に盗賊団のアジトにワープしたカイムさんは盗賊団員を倒してさっき僕が相対し、ヒルダさんとアグニさんが仕留めた魔物を三体討伐したという。


 次にヒルダさんが切り出す。


「じゃあ次は私の番だね。本当は聞き出したアグニに初めて欲しいんだけど。この人が言うには団員は大体五十人。近くの森にいくつかアジトがあって街に常駐してる何個かのワープホールとこれが繋がってたから安全に盗みが出来てたんだって」


 テーブルの上には僕が使ったものとは少し違う魔法陣が描かれた紙が置かれている。


「ワープホールは森から街用と街から森用の二種類があってこれは街から森用」


「こんな魔導具どこで手に入れたの」


「盗賊団のボスが少し前に貰ったんだってさ。誰からかは分からないらしいけど」


 転移の魔法が込められた魔法陣を量産出来る人がいるのか。僕にはそいつの方がよっぽど脅威に思えた。


「僕やロア君が遭遇した白い化け物はなんなんだ」


「それは今から聞くところ。ねえ。白い毛の化け物は何なの」


 聞かれてすぐに盗賊団員は答えた。どうやらすでに対抗心はへし折られているらしい。


「それは多分、ホワイトウータンの実験体です」

 敬語かよ。


「強化体?」


「ボスが前に言ってました。こいつはホワイトウータンの実験体とか」


 変貌した魔物というとオーガ戦を連想せずにはいられない。オーガに魔法をかけた人と実験体を作った人は同一人物かもしれない。


「オーガを操ったやつと同じ人物かもしれません」


「うん。その可能性はあるね」


 ここでカイムさんが話を始まりの始まりに戻す。


「それで盗賊団を壊滅させる方法は?」


 ヒルダさんは不敵に笑って言った。


「これを使うんだよ」

 それはテーブルの上に乗った魔法陣だった。

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