[アングラ儲け話]アプリブーストとポイントアプリ:人手を使ってランキング操作って広く使われる考え方ですね
今回のお話は、これまでと比べるとブラック度がとても低く(法的に)クリーンな、でもアップル等公式にとってはとても邪魔で(規約的に)ブラックなお仕事です。
まだ一部仕組みや技術は現役で、時効と呼ぶにはまだ早い5年ほど前の話になります
スマートフォンのアプリ。皆さんどこで探しますか?専門のサイトもありますが、一番多いのは公式のAPPストアだと思います。
アップルの公式APPを開くと、人気のキーワードという一覧が最初に出てきます。「トレンド検索」です。モンスト、パズドラ他有名アプリの名前が並びますが、その下の方にはあまり聞いたことのない名前が並ぶこともあります。
好奇心旺盛な人は見知らぬ名前があるとクリックし、その結果APPをダウンロードしてくれる場合もあります。つまりトレンド検索に掲載される事はアプリにとって効果的な広告手法なのです。
効果的な広告という訳で、無名のアプリをトレンド検索に強引に掲載させる。そんな手法がありました(過去形)。
*当時はトレンド検索ではなく別の名前だったと思います
大雑把にいえば「短時間に多く検索されダウンロードされたアプリは人気があると判断されトレンド検索に掲載される」という仕組みから、短時間に集中して大量ダウンロードをさせる人手を確保する事で強引にトレンド検索に出現させる手法を確立しました。
この「アプリのダウンロードを集中させる」事をブーストと呼びます。
ブースト10万件といえば、10万人にダウンロードさせることであり、ブースト単価300円ならブースト作業一人(1ダウンロード)につき300円の費用を請求するということです。
■さて仕組みを紹介しましょう。
まずピラミッドの頂点に立つのは、営業会社です。「アプリを有名にしたい」という客(アプリ開発者/会社)を探しだして契約をする営業会社です。仮にここではブースト単価200円で契約します。
営業会社の役目は、アプリ開発者と連絡を取り、ブーストの仕組みを解説してお客になって貰うことと、その案件をポイントアプリへ流しブーストの実行力とすることです。
自社で開発したアプリを自力でブーストする為にブーストの仕組みをすべて自社でまかなっている会社もありました。
次の段階はブーストを行う会社、大部分は上位の営業会社と一体化しています。
ブーストを行う具体的な手法ですが「ポイントアプリ」を利用します。「会員登録したら100ポイント」のようなポイントサイトを利用し、ブーストしたいアプリをダウンロードしたら100ポイントという案件をポイントサイトに掲載します。これにより、お小遣いを目当てに大量の人手を使う事ができ、ブーストが成功するのです。
この段階でポイントアプリの管理者に@150ほどの報酬がわたり、ポイントアプリの利用者には100円ほどの報酬を渡すことが多かったようです。
また、このポイントアプリ内でも上下関係がありました。上位の営業会社自身やその子会社が運営するポイントアプリと、そのお零れに預かろうとする第三者のポイントアプリです。
ポイントアプリの管理者からすると、案件がないと利用者が稼げないため利用者が減ります。豊富な案件を流してくれる上位者(営業会社)が必要になるわけですし、上位者からしてもブーストを成功させるために豊富な人手はありがたく必要な存在でした。
そしてピラミッド最下層はポイントアプリの利用者です。
ポイントサイトの良し悪しにより異なりますが、真っ当なものであればポイントの没収はなく、たまれば即時アマゾンギフトコードやitunesカードに交換できました。
主な交換単位は500円毎でしたが、掲載されているアプリを1つダウンロードすると100円前後のポイントが溜まりましたので、1日10分、1つ2つのアプリをダウンロードすれば毎週1000円のお小遣いがたまり、特に小中学生からすると破格の報酬が得られたのではないでしょうか。
裏技ではありませんが、ポイントを効果的にためるコツがありました。これらポイントサイトの目的はブーストです。そしてブーストは「短時間に」ダウンロードを集める必要があります。そしてトレンド検索に掲載されると効果の高い時間帯があります。これらから午後五時からの夕方の時間帯にブースト案件は集中し、その時間であればアプリをダウンロードするだけの簡単な手間で数百円が稼げたのです。
■悪徳ポイントアプリ
まともな物があれば紛い物があるのが世の常。
ポイントアプリ運営側にとって、利用者のポイント獲得を減らす=支出を減らす=利益増、なのです。長期的な評判を気にする運営は絶対に行いませんが、短期的であれば利用者のポイント申請を却下するだけで利益が増えます。ですがこの程度はまだ小物。
有料サイトの**に登録すれば特大ポイント進呈。これもまだ普通です。
悪徳アプリでは、有料サイトA,B,C,D,Eの5つに登録したら10万円分ポイント進呈!というキャンペーンを作ります。Aから順にBCDと登録させていきます。しかし最後のEのサイトはどうやっても登録できないのです。5つのサイトに登録したら10万円、という条件ですので利用者目線ではEのサイトに登録できない以上、ABCDの4つの有料サイトに登録したお金は無駄になります。
ポイントアプリの管理者目線では、有料サイトへの案内という事で報酬が入ります。
スマホを使った決済は即時であり原則解約できないのがこの詐欺のポイントです。Eと契約できないならABCDを解約する、という理屈は通らないので利用者は泣き寝入りするしかありません。
■さいごに
私がこの案件に関わったのは5年以上前で、今は当時の手法は利用できないそうです。が、現在においてもAPPストアのトレンド検索には場違いなアプリが登場する事があります。そんなアプリを見かけたら「あ、これがブーストか」と思い出して頂ければと思います。
また、今回の話の肝であるブースト、「人手により公式のランキングに強引に割り込む」という手法は現在の小説家になろうのランキング不正の問題にも通じるとろこがあるな、と個人的に思います。
アプリランキングに1位になれば数千万円単位の利益が見込める、そんなAPPストアと違い、なろうランキングでトップになっても動く金額はしれています。この金額が1桁2桁増えれば、APPブーストのように業者が本格的に参入するかもしれませんし、その為のツールや仕組みが作られるかもしれません。
なろうブースト、10P300円から承ります(嘘)