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一声 1

本日二話目です。

  1


 コルニキア。

 それがこの世界の総称である。大地がおよそ六割、海が四割という割合だ。統一国家が一つだけあり、そこがコルニキア全土を治めていた。

 その中のメッサという地域にある学校と隣接した四階建ての寮の一室。


 時計の時刻はすでに九時を回っている。学校は八時半からなので、ベッドの上で静かな寝息を立てている少女は遅刻確定である。

 濡れ羽色の鮮やかなロングヘア。十代半ばとしては可もなく不可もなく、といったような体型。良く言えば平均的、悪く言えば取り柄はない。


 彼女が気にしていることが一つ。それは首の後ろ辺りに蛇のような白く細長い痣があること。それをバカにされたことがあるため、髪を伸ばして束ねることをしない。少女にありがちなコンプレックスだ。

 一人部屋であるため、誰も起こしに来てくれない。寮母もいるのだが、寝坊した生徒を起こしてくれるほど親切ではない。

 今日は友達も起こしに来てくれなかった。結局は自己責任だからだ。


 きちんと前日の内に目覚まし時計をセットしておいた。そしてそれはきちんと時間通りに鳴ったのだ。それを止めて二度寝している少女に、救いの手は差し伸べられない。

 たまたま寝返りを打った際、少女は勢いよく壁に手をぶつけた。それがよほどの衝撃だったようで、さすがに目が覚めた。セピア色の、少し目立つ目の色。


「……あ、朝か」


 少女はゆっくりと起き上がり、目覚まし時計に目がいった。そこに表示されている時間は九時。外はすでに明るい。もう一度時計を見るが、時間は間違っていない。そのままカレンダーに目を向けると、今日の日付に赤丸が付いている。


 期末召喚実技試験。

 友達が起こしに来なかったのもこのためだ。朝くらい試験のために集中しておきたい。他人に構っている暇などないということだ。


「ち……遅刻~⁉」


 少女、マミ・フェリスベットは寝間着からすぐに半袖のYシャツと緑色のリボンタイをつけて、赤いスカートを穿き、夏服の制服へと着替えて、朝食も食べずに寝癖も直さずに学校へと全速力で駆け抜けた。



この後十八時にもう一話投稿します。

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