表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

3-1-2

本日一話目です。

 それよりも伝えるべきことがあったからだ。話すのであれば、グレイムが良いと思った。


「……今回迷惑をかけたお詫びとして一つ、最近の召喚はおかしい」


「勘違いしたのはこっちなんだが……。それより聞き捨てならないな。召喚がおかしい?」


 グレイムの聞き返しにうなずいた後、トールは光を出してイフリートを聖晶世界へ戻した。もう用事は済んだので、いつまでもコルニキアにいさせる理由もないのだ。


「聖晶世界への干渉がおかしい、というべきかもしれないな。暴発事件が続出していないか?」


「たしかにそうだな……。おたくのマスターがいる学校でも今月だけで二回あったぜ。片方はただの力の入れすぎだったが、もう一つは故意の暴発だったな。しっかし、最初の子には笑わされたよ。自分の実力を理解していないだけなのに」


 思い出し笑いをグレイムがする。彼女は学生としても、一召喚士としても真摯であったのだろう。だから誠心誠意謝ってきた。そんな彼女のことは羨ましかった。

 グレイムは少々、特殊だから。


「そういうことが言いたいわけじゃない。契約も力も十分な召喚士が失敗する。聖晶世界に帰ってくる生き物で疲弊して帰ってくる奴もいる。そいつらからの伝言だ。契約物がおかしい」


「契約物が?」


 契約物は一度召喚に使うと消えてしまう。だから召喚を司る召喚省でも確認が難しいのだ。売り出される物は一度全部召喚省によって確認されている。

 それ故に召喚士は安心して召喚に使うことができるのだ。


「鳥の羽根だってワイバーンを召喚することはできる。羽根というファクターさえ合致すれば、召喚士の力量にもよるだろうが、今回は別だ。契約物は正しいのに、暴発してしまう」


「召喚士が与えるマナが過剰だったってことはないか?学校の一件もそれだ。本人は蝶と蛾を間違えたと思っていたが、その二つは生物学的に同じものだ。マナの過剰摂取で暴走したんだよ。そういうことじゃないのか?」


「残念ながら違うだろうな。お前は生き物を召喚するわけではないから大丈夫だろうが、一応気を付けておけ。変な武器が聖晶世界から出てくるかもしれない」


 召喚の失敗をグレイムはしたことがなかった。

 だが、初めてがいつあるかはわからない。売っている契約物が信用できないから、売っている物に頼るなという警告なのだと受け止めた。


「わかった。軍の方でも調べてみる。これからも情報交換をしたいんだけど、PPCなんて持ってるわけないよな……」


「持ってないな。マスターのアドレスすら知らない」


「とりあえずコロシアムで待ち合せればいいか。明日も行くか?」


「ああ。お金がもう少し必要だからな。PPCならこの後買っておく」


「それは助かる。それじゃあまた明日、コロシアムでな」


 グレイムはそう言いながら立ち上がり、トールの目の前から去っていった。トールはイフリートが作ってしまった穴に近付き、近くに落ちていた土塊を拾った。


「これの処理、忘れているぞ……」


「―だからってボクを呼び出しますか?普通」


 トールの手から光が出て、その中から半人型の少し太った茶色い色をした生き物が出てきた。

 使用した契約物はさっき拾った土塊。

 召喚した存在は土の精霊ノーム。イフリート達と同じく、上級の存在だ。


「これくらい直すのは簡単だろ?」


「―簡単ですよ。でも、アースフェアリーでも良かったのでは?白目」


「お前のこと、信用しているからな。任せようと思った」


「―自分でも直すことができるでしょう……?本当」


 そう言いつつも、ノームは自分の力でできてしまった穴を塞いでくれた。廃校になったからといって、いきなり穴ができていたら困る人もいるかもしれない。


「―ボクを呼んだのは、試すためですね?実際」


「それもある。イフリートが呼べたから大丈夫だとは思ったがな。どうだ?違和感はあるか?」


「―特には。問題ないですね。事実」


「なら良かった。……グレイムに言った通り、契約物がおかしいのは知っているな?また呼び出すと思う」


「―いつでもどうぞ。主人(マスター)


 トールが聖晶世界への帰り道である光を出すと、ノームは素直にその中をくぐっていった。その後商店街へと行き、PPCを買って説明書を読みながら色々な設定をしていた。

 PPCがどんな物であるという概念は知っているのだが、操作の仕方を全ては知らないのだ。



この後十八時にもう一話投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ