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零声

新連載です。




 零声




 見渡せば、お伽噺の中に出てきそうな生き物が溢れている。

 地竜や一角獣、キマイラはもちろん、変わった色をした蛇や狼もいる。

空を見れば鳥に、半人半鳥のハーピー、ワイバーンまで飛んでいた。ざっと見ただけで他の生き物がまだまだいる。


 だというのに生き物同士で争っていなかった。

 自然も豊かで、目を奪われるような水晶や、赤い砂などもある。木に生っている物は果物だったり、石だったり木に生るような物ではない物まで生っている。

 空にはオーロラが映っていて、空気に一切の淀みがなく、清廉されていた。

 さらに、周りに人が住むような住居が一切なかった。


 人の生活の匂いが全くしないような場所だった。剣のような武器も無造作に落ちているのだが、それもまるで地から生えてきたようで、手垢などは見られない。

 それどころか地面には人の足跡すら見られない。


 そんな場所を、たった一人の男が歩いていた。二十代ほどの、それなりに引き締まった体つき。薄緑色の肩までかかる長髪に、足元ぎりぎりまである青色のローブ。

 その男が歩いていても、他の生き物は気にしない。その場にいるのが当然のように。

 その男は林の中を進み、開けた場所へ出ると、光の扉のような物が現れた。まるで彼を待っていたかのように、彼が着いたのと同時にその扉は現れたのだ。


「さて、行くか」


 男はナイフを出して、躊躇することなく小指の腹を切る。

 そこから血が少し流れて、それを光の扉へ流した。

 その後迷わず、男はその扉の中へと歩を進めた。男が扉の中へ姿を消すのと同じくして、扉も消えていった。

 その扉は、一人用であるように。

 彼のためだけの扉のように。



この後九時にもう一話、十八時にももう一話投稿します。


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