6.≠使いこなせる
「ガウッ!!?」
その瞬間、俺の目の前で眩い光が放たれた。まるで全てを隠すかのように。そして、その光が一気に凝縮され、「ズパァン!」と砕け散る。一応言うと、通常魔法と呼ばれる魔法に関しては詠唱が必要ないらしいのだが、禁断魔法に関しては詠唱が必要らしい。詠唱は、なんか「この魔法を使う!」って思ったら勝手に頭にでてきたのさ。まぁいいじゃないか!ロマンだからさ!
「殺ったかっ⁉︎」
光のあった場所には何も残っていない。魔法は成功したのか?
「へへ、ザマァみやがれちっちゃいのっ!!」
と粋がったのも束の間、俺は大きな勘違いをしていた。
「魔法が使える」ということは決して、「魔法を使いこなすことが出来る」とはイコールにならないのだと。
そう、そのドラゴンは無傷だった。
俺の真上を飛んで、まるで何もなかったかのように。
「ヴゥゥゥ…」
「…え?……」
「ゥヴァァァ!!!」
「にげ、なきゃ……」
やばいヤバイヤバイ。こいつはヤバイ。周りに放っているものが違う。覇気なのか分からないけど、全てを圧倒する、それが出来るだけの圧力がこいつの咆哮には乗っかっていた。
「グハッ⁉︎」
俺は理性ではなく、本能的に逃げようとしたのだが立ち上がれなかった。左腕がない事も理由ではあるかもしれない。しかし、それよりも体が言うことを聞かなかった。
「グゥッ⁉︎ハァ、ハァ、ハァ…」
息は上がり、心臓は今にも弾けそうなくらい動いている。
「嘘…だろ……?」
俺にはもう動く体力すら残っていない。きっと威圧されている効果もあるだろうが。
と、ここで俺はあの糞天使の言っていたことを思い出した。
『貴方の存在消去はその名の通りの魔法です。まぁ恐らく体力の消費が激しいので最初は打つことすらままならないでしょうが……』
……なるほど。つまり、俺はまだ全く慣れていない状態でこの魔法を使ってしまったわけなんだな。どうりでこんなに疲れるわけだ。
そして、ふと見上げると上にはドラゴンがいた。
……喰われるな。まぁもういいじゃねぇか。人生最期にこんな死に方。多分喰われるんだから即死扱いだろうし、もう一回人生やり直し、なんて事は出来ねぇんだろうな。さぁ、ドラゴン、俺を喰うなら頭から喰ってくれ。
ドラゴンは少しずつ俺に近づいてくる。
少しずつ、少しずつ、少しずつ、少しずつ。
俺の恐怖は奴との距離と比例する。
そして遂に俺の目の前にやってくる。




