4.禁断
まだ拷問は続く。
「次は種族ですが…そうですね、カエルとプランクトン、どちらが良いですか?」
「うーん、だったらカエルが…ホントにやめろよっ⁉︎」
「それでは今と変わらず人間で宜しいですか?」
「あぁ!いい!寧ろそれだけがいい!」
「そうですか。では早速転移を…」
「待って待って待て!」
「煩いですね。なんですか?カエル?」
「誰がカエルだ!…そうじゃなくて、転移したらどうなるのかを教えて欲しいんだよ!」
「転移したら…そうですね、まず体格等はこのまま引き継がれます。記憶に関しては消すことになりますが、引き継ぐこともできますよ?」
「おい、選択するとこあるじゃねえか!なんで聞かずに転移させようとした⁉︎」
「いや、貴方は下らない記憶しかなさそうだったので消しちゃおっかなぁ、と」
「消しちゃおっかなぁ、で人の大事な記憶に手を出すんじゃねえよ!」
「あと…あぁ、転移特典で1つスキルをプレゼントします」
「だからなんでスルーしようとする⁉︎そこも大事じゃん!それないと喰い殺されるかもじゃん!」
「テキトーに[自動回復(極小)]でも与えようかと」
「なんだ(極小)って!どこのポッ○ーだよ!勘弁してくれよ!本当に死んじゃうよ!」
「スキルあげるので許して下さい。…あ、そうそう、この箱の中から1つ引いて下さい」
「ん?じゃあこれにしようかなっと…ところでこれは何だ?」
「スキル選びです」
「何故にクジ引きで選ばせたァァ⁉︎」
「貴方にはこんな所がお似合いです」
「もう生きられない!死ぬ!転移なんてしたくねぇ!!」
「さっきから煩いですね…このまま私が転移させなければ貴方この場で消えて無くなりますからね。激痛の特典付きで」
「転移するの楽しみだなぁ!!」
「それは良かったです。さて、貴方が選んだスキルでも確認しましょう…」
「はいはい、どんなスキルですか?」
「………」
「はい出ましたスルー!」
「コマンドウィンドウ…」
「は?なんて?」
「コマンドウィンドウを開きなさい」
「開きなさいって…どやって?」
「利き手を前に出して"コマンドオープン"と言えば開きます」
「んーと、コマンドオープン!」
「そうです、そしてご自分のステータスをご覧下さい」
「ステータス?えーと、ここ?じゃなくて、こっちかな?あ、ちげぇwこっちかな?何処だそれ?」
「貴方って機械音痴なのですか?」
「これ機械じゃねえし!別に音痴じゃねえし!」
「右上に表示されているでしょう?一応第5世界の貴方はかなりハイスペックだったと思うのですが?なのに残念な人生を歩んで…」
「あぁ、自分でもそう思うよ!右上か、これだな!」
「そこにご自分のステータスが出ているかと思われますが?」
「うんまあ出てるね。どうやってみんの?」
「機械音痴が」
「だから機械じゃねぇだろ!」
「兎に角ご自分のステータスを私に見せて下さい。ご説明して差し上げます」
「お、助かるわさんきゅ」
────status────
神木 空 人間 23歳 男 Lv.1
ー魔法一覧ー
ヒール・・・適度な回復。
エアーリフト・・・空中で少し浮ける。
存在消去〈エグジステンス・イレイス〉・・・???
ースキルー
自動回復(極小)・・・常に自動で極少量回復する。体感できないくらい。
<<<<end>>>>
「あ、自動回復付いてる」
「間違えて付けてしまっただけです気になさらず。それではまず上からやっていきましょう。名前、種族、年齢、性別はよろしいですね?続いて魔法ですが、貴方に行っていただく第8世界では魔法が使用できます。体力の消費を感じると思うので無駄遣いはやめて下さい。スキルは基本的に常時発動しているものです」
「成る程ねぇ。1つ質問なんだけどさ、こういうのであるあるな「HP」とか「MP」とか……
攻撃力みたいなヤツはないの?」
「はい。ありません。そちらの世界ではご自分で体力を管理することとなります。攻撃を受けても、魔法を使っても減るのは体力になります。攻撃力とかも、まぁヒキコモリのニートはそういうゲーム好きそうですから憧れてるのかも知れませんが第8世界にはそんな概念存在してませんよ。まぁ実際にやればわかりますがね」
「ふぅん、そういうことなのか」
「そういう事です。話を戻しましょう…それで、あなたの問題点はその魔法なのです」
「魔法?…存在消去ってやつか?」
「それ以外のわけないでしょう。…貴方が引き当てたその魔法はですね・・・第8世界での前魔王、ディアボロスの持っていた魔法なのです」
「へぇ」
「その様に、この世界の概念そのものである"存在"を司る魔法、及びスキルは[禁断]と呼ばれます」
「禁断…」
「貴方の存在消去はその名の通りの魔法です。まぁ恐らく体力の消費が激しいので最初は打つことすらままならないでしょうが……」
「ってことはこれやばいもん手に入れたって訳だよね?」
「当たり前です。と言うわけで神木空」
「はい?なんですか?」
「神木空…第8世界での貴方には監視役1名をつけさせて頂きます」
「へぇ…ふぇ?監視役?」
「第8世界で最初に会った者を監視役とします。そのおつもりで」
「いや、そのおつもりで、じゃねえわ!何だよ?いきなり!理由くらい教えろ…」
「理由なんて貴方が手に入れてしまった魔法以外に何があるのですか⁉︎…全く、500個も他に弱い物を入れていたのに、まさかあれを当ててしまうなんて…」
「やべぇ俺すげぇ!」
「他にも[寧ろ弱体効果]ってやつまで200個は入れていたのに…」
「お前は何か俺に対して恨みがあるのかな⁉︎」
「兎に角!貴方の力は危険すぎる!一番危ないのはその事を貴方が理解していないことです!」
「理解してないって言われても…そりゃまあ、どんな力なのかイマイチわからないけどさぁ」
「いいですか?貴方の持つそのスキル、[存在消去]とは、先程も言った通り元魔王の持っていたスキルなのです」
「うん聞いたね」
「その魔王、ディアボロスのやり方は恐怖政治、彼は世界を力で支配したのです」
「へぇ〜魔王らしいっちゃらしいね」
「そして更にですよ?その魔王の、世界を力で支配した魔王の持っていた最強最悪のスキルがこの存在消去なのです」
「やばぁ。そんな強いんだぁ」
「つまり、貴方は世界を支配できる力を手に入れた訳で……って貴方は真面目に聞く気あるんですか?さっきから軽い返事で流して…これ結構大事な話なんですよ?見ている人に重要って思わせなきゃいけないのんですよ?なのにどうしてそんなに軽いんですか?勘違いされたらどうするんです?」
「いやぁ違う違う、違うのよ。なんだこんなの手に入れちゃったんだぁ。世界を支配できるんだぁ。うわぁ、死にてえ。ってなって現実逃避してるだけなのよ」
「死にたい…?だったらあちらの世界に飛んだあとに自分に[存在消去]を使えば済みますけど?」
「こっわ!どうなるんだよそれ!」
「即死扱いなので生き返ることはできなくなりますね」
「やめようっ!自殺、だめぜったい!」
「あ、もうそろそろ逝っていただき…基、行っていただきますね」
「え?なに?俺逝くの?やだよ?変なとこに落とすなよ絶対に」
「大いなる神よ!この者に新たなる道を授けよう!」
「うわっ!な、なんだ?」
「気を付けて逝ってらっしゃい。あ、くれぐれも魔法は使っちゃダメですからね。使い方わからないんですから、世界ごと吹き飛ばすことだって有り得ますし」
「そりゃそうだろうね!なんとかしてくれよぉ!せめて教えて?ね?」
「大丈夫ですよ!なんてったって、[自動回復(極小)]がありますから!」
「嫌だぁぁぁ!!」
なんか死刑宣告受けた瞬間に俺の視界は真っ暗になった。あの糞天使、マジキチガイ。
暫くすると視界が明るくなっていった。
「ん、うわ!眩し…」
急に差し込んでくる光に目を瞑りながらも、少しずつ、目を開けていく俺。そして、自分の今の状態を確認していく。
まず、周りは木に囲まれているようだ。上を見上げると空が。下は、地面が遠くに見える。つまりここは木の上なのか?
取り敢えずよく分からないから右腕をぶんぶん振って周りを確認する。
ブンブンブンブン バシッ ピキピキ
なんかに当たった。
薄目でその"なにか"の方に目を向ける。
「うわーお、えくせれんと……」
そこに居たのは、卵の殻に入っている小さなドラゴンと、その親と思われるちょーデカイ(あとカッチョいい)ドラゴン。
親ドラゴンは、鋭い目を俺に向けて、口を大きく開けた。
「ギシャァァァァァァァアアアアアア!!!」
はっはっは。冗談よしてよ。
「こんの糞天使がぁぁぁぁぁぁ!!」




