34.ギルマス(笑)
フォードは、敵を斬ると、鞘へ剣を収めた。
「────かっけぇ……」
「フォードが強い………」
俺もアグネーゼも思わず褒めてしまう。
それくらい今のフォードはカッコよかった。
「ハッハッハ!カッコいいか、いやぁいい気分だな!」
フォードはこちらへ戻りながら俺に解説を始めた。
「まず、坊主が最初に撃たれた魔法は多分凍結魔法だ。1人に対して3人は不利だと考えたんだろうな。敵戦力を減らす事を最初に行ってきた。非常に正しい判断だ。敵ながらアッパレだな。しかも、今のは高難易度魔法。詠唱も時間がかかるものだ。となると、奴は俺らの接近に気付いていて、待ち伏せしていたことになる。非常に、洗練された敵だったな!」
「おぉぉ………」
今の数秒の戦闘でここまで把握するとは……
「まぁ、今の攻撃は後ろからだったし、気付けなくても仕方ないだろうな!ハッハッハ!」
そうそう、後ろからだったからびっくりして────は?
「いや待てこらフォード。なんでまだ結界出てないって言ってたのに、俺は後ろから攻撃されてんだよ」
「────────あ」
フォードはそーっと目線を逸らし後ろを向いた。
「あ、じゃねぇよっ!やっぱりお前の仕業かよ!確かにカッコよかったけど!ただ単にアイツが道の陰に隠れてて誰も気付かなくて、そんでアイツが俺らに気づいて『あ、ラッキーカラ』とか言ってずっと後ろくっつきながら詠唱してただけじゃねぇか!!」
「うむぅ………」
右手を口元に当てて唸るフォード。
「『うむぅ』じゃねぇよ!攻撃されるまで気付けないとかアンタそれでもギルマスかよ!!」
全く、ちょっと強かったから褒めたけど、やっぱりダメダメじゃねぇかこの人。
結界出たのに気付かなくて、敵の気配に気づかなくて、詠唱にも気付かなくて、俺が死にかけて初めて気付いて倒すって、唯の脳筋じゃねぇか!
「ま、まぁ、助かって良かったな……ハッハッハ!!」
「よくねぇ!!」
「あ、スケルトン・ハイウィザードは魔法撃ってくるぞ」
「身を以て学んだわ!!」
だめだ、やっぱり死ぬかも、俺……
とその時は思ったんだが、このギルマス。
俺に『アンタほんとにギルマスかよ!疑惑』をかけられてから少し本気になっちゃって、俺らが気付く前に全ての敵を狩りに狩っているのだ。
俺はというとフォードが狩った後の死骸を見る度に敵の情報が入ってきて、「後でコマンドウィンドウ見るの楽しみだなー」ってなってる。
スケルトン・ナイト、スケルトン・リザード、アンデット・クロウ、アンデット・エンプティ、ウィザード・シャドウ、その他諸々………
出てくるのは全部亜種ばかり。
スケルトンもアンデットもリザードもウィザードだって、どれも素を見たことねぇよ!!
しかも、全部強いもん、もうレベル300級しか見てないもん!
それを普通に笑いながらワンパンで倒していくフォードはやばい。
そろそろ敵が可哀想になってきたなーって思ってそれを隣でずっとジャンケンをしながら歩いていたアグネーゼに話したら
「空もか?僕も同じ事考えてたよ……」
と、共感を得た。
だから、俺達2人はフォードの狩っている敵のアフレコをして安らかに眠ることを祈っているのだ。
因みに、
こんな強さのヤツ、今まで戦った事ねぇよ────────やめろ、殺すなぁぁ!!!
と、言いながら死んでいったのは、ゴースト・ナイト…………レベル402。
────くそ、体が動かねぇ!
畜生、こんなところでは死にたくねぇんだよ!
どんな強さしてやがる……
と、言いながら死んでいったのは、アンデット・ブラッディ…………レベル475。
ゴースト・ナイトは実体が無く、物理攻撃が効かないのだが、一秒もかからずに詠唱されたよく分かんない魔法────エグイことだけは分かる────に抹殺された。
アンデット・ブラッディは近接攻撃の攻撃力の高さが売り────ブラッディは返り血を指してつけられた名称らしい────にも、関わらず接近戦で容赦なく叩き斬られた。
俺とアグネーゼはスポーツ観戦気分で「いけ、そこがチャンスだ!」とか「今ならいけるぞ、大勢を立て直せ!」とか、もうやりたい放題させていただいてます。
やることないし。
なんか、思ってたのとだいぶ違うんだよ。
はっきり言って、なんであそこまで行きたくないって思ったのかなー?ってくらい。
ぶっちゃけ恥ずい。
あんなに嫌がらなくても良かったじゃん!マシューに慰めてもらわなくても良かったじゃん!
なんかフォードにイラついてきた………
これ、どこにぶつけよっか?




