3.死にかけ
「死にかけたって……え、じゃあ俺はまだ死んでないのか?」
「さっきからそう言っています。理解力まで低いのですね。まぁ正しくは"もうすぐ死ぬ"なんですけどね」
「…へ?」
「第5世界の貴方…いえ、現実世界の貴方は現在トラックに轢かれて病院へ運ばれています」
「あ、やっぱり轢かれたのか俺」
「現在の貴方の状態は"意識不明の重体"と言ったところです。さらに詳しく言えば轢過による内臓破裂、脳坐滅となっておりますね」
「なるほど…だからもうすぐ死ぬって訳ね……あとその付け足した怪我の度合いを言った後に『まぁどうせあなたには理解できないでしょうが』って顔をするのを止めてくれ。マジうざいから」
おれにだって分かるぞそれ位。
要はあれだ。内蔵がパーンしてて、脳が坐滅な感じなんだよ。
「もうすぐ死ぬことに関して理解できましたね?」
「おい、スルーすんなこら」
「この空間は"生と死の狭間"と呼ばれています。私の仕事はどこかの世界で"即死"以外の死に方で確実に助からない人を見つけ、それを別の世界へ転移させて生き延びさせるということです」
「へぇ〜……転移!?」
「はい。貴方はトラックに轢かれて病院へ運ばれこそしましたが、あと1時間ほどで死にます」
「え、1時間っ⁉︎短っ!もうちょっと耐えよ?俺!」
「なので、この空間へ魂を連れてきて、別の世界へ転移させる事を選んだのです」
「な、なるほど…サッパリ理解できねぇが言いたいことは納得できた」
つまり俺はもうすぐ死ぬけど即死ではなかったから「死んだ貴方に第二の人生を!」みたいなサービスを受けることができてるみたいなことでいいのかな。
「という訳で早速転移の準備に入らせて頂きます。貴方に転移してもらうのは…そうですね、生物のバランス的にも第8世界でしょうか」
「第8世界…?そこは一体どんなところなんだ?」
「簡単に言うとRPGの世界です」
「え?マジで⁉︎当たりじゃね?これ!」
RPGと言えば、レベルみたいなのがあって魔物と戦えるみたいなやつのこと!子供の頃から結構そういうのに憧れてたりしたんだよなぁ。
確か幼馴染の女の子がよくディスクを持ってきてくれて、一緒にやったりした時から好きだった気がするな。あいつ、生まれつき体が弱いとかで中学の途中で転校しちゃって、それっきりだった。確か、あいつの名前は────
「逆に言えば転移3秒後に強い魔物に食い殺される危険性がありますが」
「場所を選んでクレェェ!!」
やめろよ?本当やめろよ?死んだあとにもっかい死ぬとかトラウマもんだからね?毎日夢で見るよそれ?死ぬけど。
「た、頼むぞまじでっ!そんな死に方嫌だよ!?」
「石に躓いて轢死するよりマシでしょう?」
「あんたもう嫌だァァァ!!」
まだ終わんねぇのこの拷問!?




