23.準備
フォードから、この世界についてたくさんの知識を得た俺だったが、知識だけ得てもそれは使わなければ知らないのと同じ。
「という訳で、クエストをそろそろやりたいと思う」
あの、3人の所為で流れてしまっていたが、俺は「時計台修理」のクエストを受注済みなのだ。マリー曰く、「武器を揃えてきなさいな」との事で、フォード待ちだったところを絡まれたのだった。
「フォード、そろそろ俺に合う武器は見つかっているか?」
それをフォードに伝えたところ、「待て、既に作業は終わらせていたんだ。用意だけするから待って欲しい」と言われ、おとなしくマシューを撫で撫でしながら待機しているところであった。
「よし、坊主。武器出来たぞ!これを使うといい」
暫らくすると、ギルドの受付の奥で作業をしていたフォードが出てきた。
「え?出来たって……これ、おっさんが作ったのか?」
思わず驚いてしまった俺は尋ねる。
だって、武器とか普通はその、鍛冶屋みたいな所が作るんじゃないの?というRPGのやりすぎによる知識が俺の頭には刷り込まれているからな。
俺に尋ねられたフォードは不思議そうな顔をしながら
「通常、武器は冒険者が自分自身で作るものだ。駆け出しにはこのように、ギルドマスターが最初の武器を作ってあげるというのがルールになっているのだ。だから、今回が特別という訳では無いから、勘違いするなよ?はっはっは!」
「なんだそのツンデレは。おっさんのツンデレなんて誰得だよ」
ツンデレは可愛い女の子がするからいいのだ。
あ、ツンデレと言えば、俺の幼馴染みの女の子もだいぶツンデレさんだったな。
あいつ、顔はすげー可愛かったからツンデレ似合ってて、子供ながらに謎の憧れを持っていた記憶があるんだよ……
まぁそんな昔話(黒歴史と読む)は置いておいてだ。
「とりあえずサンキュー、フォード。これはありがたく貰って……料金とか頂いちゃうシステムですかコレ?」
「いや、金は必要ない。そもそも、小僧、お前さん金など持ってないだろう?はっはっは!」
「失礼なっ!金くらい、そ、それくらい……かね、金くらい……」
「いや、悪かった。今のは俺が悪かったな。クエストやればお金もらえるから…」
そうなのだ。金がないのだ。それもあって今回クエストやろうと思っていたのだ。
実は、赤い三連星を捕まえて、警察的な所に突き出した時に「懸賞金かかってないかなぁ。ワ○ピースみたいにぃ」とか思っていた自分がいるのだが、残念ながら
「ほう?赤い三連星か。ご苦労だ、若い冒険者。くれぐれも危険な事はしないようにな。それでは良い旅を」
と、いい感じにまとめられて終わりにされてしまったのだ。
後でフォードに確かめたところ、確かに懸賞金のかかっている犯罪者はいるらしい。
だが、それはいずれも超極悪な殺人犯で、少なくとも新米冒険者が容易く手を出してはいけないレベルなのだとか。
つまり、赤い三連星は大したことない奴らだったという事で、それにやられた俺って一体?みたいなことである。
1人で目に涙を浮かべていた俺を不思議そうに見つめていたフォードが、手に持っていた武器を俺に手渡してくれた。
「ほれ、小僧。この武器を使え。これは"ビギナーズソード"だ」
「よし、これ以上の説明は不要だ。俺に渡せ」
「えぇ?まだ説明は終わってないのにいいのか?はっはっは!」
「いや、これ名前がすべてを語っているだろ!………コマンドウィンドウ…」
なんだかんだ言って少し気になった俺はコマンドウィンドウの、アイテム欄からビギナーズソードを確認してみた。




