12.隠し場所
「よし、これでいいな。主様よ、この街ではマシューが監視をするという事でいいんだな?」
「おう、いいぞ!よーしよしよし」
「マシューよ、なでなではまた後でやってもらうが良い。今は街で身支度をするのが最優先じゃ。そもそも主様は今何も装備を持っていないだろう?せめて剣の1本でも手に入れるべきだと考える」
「なんだそのドヤ顔は。お前さっきの『余裕っしょ』はどこに消えたんだよ」
さっき、素手でいける!とか言ってたろうに。
「いや、流石に素手とか『どこの北斗○○拳だよ』みたいかなぁと」
「まぁ俺も素手は嫌だからいいけどな。…じゃあマシューを一緒に連れて行けばいいんだな?」
俺はマシューの頭の上に手を乗せて聞く。鱗のはずなんだけど、すごく心地よいぞこいつ。
「それでいい。マシュー、主様を頼んだぞ」
「はい!たのまれたの!」
「じゃあマシュー、お前はどうやって俺のことを監視するんだ?」
確かにマシューはデカいロドと違ってミニサイズだが、それでもポケットサイズではないのだ。このままではロドを連れていくのとさほど変わらない。
「そうだな…主様の持っている鞄に隠れるとか」
「荷物が重くなるから嫌だ」
「じゃあ頭の上に乗せt────」
「嫌だ」
「最後まで聞いてくれないか?…せめて……
聞いてくれるくらい…」
「聞く必要が無さそうだったから……ん?」
袖をマシューが引っ張ってくる。
「……ごちゅじんのふくにかくれりゅ」
「おぅけぇそれで行くか」
「マシューが我儘な子に育たないか親として心配になってきたところだな…」
もう、この可愛さなら我儘OKだろ?あと、お前は大して親やってないから心配する必要ないぞ。
「じゃあ行ってくるぞ、ロド。お前はどこにいるんだ?」
「隠れている。用が済んだらマシューに伝えてくれ。我とマシューはテレパシーで会話ができる」
「あ、成る程。だからマシューが監視役として動いても問題ないんだな」
「ご明察、流石我が主様」
「そんな褒めたって何にも出ねぇぞ」
「ごちゅじんしゅごぉーい!」
「よし、好きなお菓子を千個くらい買ってあげるぞ!」
「ふむ、今度改めて子育ての仕方を復習しておくか」
ロドが、どこから出したかわからない雑誌を、取り出して読み出したので、そろそろ出発することにした。
その手(所謂竜の手な)でどうやって読んでんのそれ?って突っ込みはしない。
「では改めて、行ってくるぞ」
「いってきまちゅ!」
「気をつけるのだぞ、マシュー」
「俺には無しかよ」
「主様が警戒することなどご自分の持ち金くらいだろう?」
「痛いところを突きやがって…」
「『お菓子を千個くらい買ってあげるぞ』の時も正直、そんな金無いだろうなぁと1人で考えていたのだ」
「やめろっ!恥ずかしいっ!俺も持ち金のこと思い出してから『あ、そういえばむりやーん』って思ってたところなんだよ!」
「兎に角余計な事件には関わらないで下さいよ?」
「あぁ。分かったぜ。お前も気をつけるんだぞ?」
「了解した、主様」
こうして、俺は「グレン王国」へと足を向けた。
……すげぇ長い時間会話してたなぁと今になって思う。




