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ウサギが可愛いすぎて辛い!

作者: 薄雀

私の名前は、物部千歳(もののべちとせ)。今年高校へと入学しまして、はや6ヵ月。6ヵ月というのは早いものですね。あっという間でした、というかあっとか言う暇もないくらいに。突然ですが、私は平々凡々でそこらの生徒となんら変わりもない生徒…所謂、モブという奴です。ええ、特筆するものがないので、モブです。顔とか普通顔ですし、性格とかも普通かなぁ…SとかMとかないんで。そんなモブの私ですが、この学校を選んだ訳はありますよ?

偶然だったですけど、出会いって大切ですね。私がここに、副隊長としているのも学校に入学したのも隊長が居たからです!これは、心から宣言します!誰にも内緒ですけれど。一応、親衛隊副隊長を任されているので一応、親衛する彼の君は尊敬してはおりますが…ううむ、私がココに存在しているのは隊長がいるから!にすぎません。バレないように、こっそりと日夜隊長だけに愛を注いでおります。愛、と言っても…隊長は女子ですがそっちの趣味はございません。愛でるといった方がよろしいでしょうかね?


たまたま中学の時にたまたま見つけたパンフで、学校見学を気が向いたので来てみれば、隊長………宇崎心(うさきこころ)先輩、当時高校一年生を見かけた。まるで小動物のようなその容姿に魅入り…私大の小動物好きですからね、ドストライクだったわけです!そのまま、先輩の為だけにこの学校に入学。成績は一応良かったので難無くパスしちゃいまして先輩に近づくために入隊。先輩のために行動していたら、今は現役?を退いた3年生の元親衛隊隊長によって宇崎先輩を新隊長にそして数ヶ月の功績を称えられ副隊長に任命された私です。


まあ、突然で驚き固まったのですが、何の違和感もなく隊長の隣に居られるので嬉しい限りです。

小動物好きの私は、普段は隊長のことを宇崎隊長と呼んでおります。なにせ、親衛隊は我が隊だけではありませんから。隊長、と呼べば複数の隊長が振り向いてしまいますから。「宇崎隊長、次の手筈は?」「…えっと、そうねぇ」言葉では、宇崎隊長と呼ぶが心ではウサギ隊長と呼んでます。だって、ウサギのようですからね!私、一番ウサギが好きなんです。

ウサギ隊長は彼の君、つまり親衛していらっしゃる叶衛(かのうえい)様を尊敬しています。衛様は、会長を務めており仕事をすべてにおいてスマートにこなしています。むしろ、教員も真っ青なくらいに頭脳明晰、ルックスもずば抜けていらっしゃる。モブには眩しいお方です。私、親衛隊に入隊していますが…恋愛的感情は全く。ウサギ隊長の為に入隊したので、ほかの隊員たちのいざこざはよく意味が分かりません。でも、ウサギ隊長になってからはそんないざこざもなくなり、平和です。




今日も、親衛隊長は可愛い。もう、あの食事の仕方!ウサギにしか見えない!もう!持って帰りたい!……犯罪だ、落ち着け私。

ウサギ隊長は、衛様を一番想っています。そして、衛様もなんだかんだと言ってもウサギ隊長が心から許している唯一の人です。ウサギ隊長は知りませんが、現在の衛様親衛隊は衛様と隊長の行く末を見守ろう会と化しています。元親衛隊長もあの子ならいいわと許しいていますからね!


「………ねぇ、千歳。」「はい、何でしょうか?」元親衛隊長こと、春植咲子(はるうえさきこ)先輩は、私の顔をじっと見つめて笑った。「今日も、心は可愛いねぇ」「はい、当たり前です!」「……ぶふっ、あんたやっぱり…衛様より心命でしょ?」「…………」バレてらっしゃる。「……色々、工作してるでしょ?衛様に心の働きを知らせるために」私は言葉に詰まる。「しかも、心ってばドジっぽいからホフォローを完璧に入れつつ…あんた、侮れないわぁ。隠れチートちゃんだわぁ」ケタケタ笑って、私の肩をポンポン叩く。「あんたの働きがあったから、衛様親衛隊は……心を許しているわ。私の時にあった衛様は皆のもの主義が全く消え失せてるし。あんたを任命して良かった」


あぁ、私の働きは無駄じゃなかったのだと実感した。でも、何でバレてるのでしょうか?それこそ、侮れないですよ春植先輩。

「そうそう、千歳。最近、ウサギがねぇ…伴侶を見つけたらしいのよ」意味深にニヤリと笑って、またケタケタと笑いだした。

ウサギ、ウサギ隊長のことでしょうか?



*****



あ、「また来てたのですか、ウサギさん」

オレンジっぽい茶色の毛並みのモコモコウサギを見つけてその小さな頭を撫でる。気持ちよさそうに瞳を細める姿が何ともいえない。そう、ウサギ隊長も衛様が何気なく頭を撫でる時頬を染めてこの表情をする。「君は、可愛いねぇ。うちの子にならない?…ま、無理だけどね」

突然、ウサギが目の前から消えた。あったのは、上へと伸びる足だ。その後をたどって行くと抱えられたウサギ、その後を辿ると…


野原大地(のはらだいち)…先輩…」

高身長、ずば抜けたルックス、衛様と一位二位を競い合う頭脳を持つ衛様の親友がそこには立っていた。彼ももちろんのこと、親衛隊をお持ちだ。「無理、じゃない」彼は女の子が苦手なのは有名で親衛隊も影でこそこそと活動している。友人は彼の親衛隊に入っているから確かな情報だ。

「はい?」いきなり、無理じゃないと言われてもなにが無理じゃないんでしょう?

「君、がうちにこればなんら問題ない」………いやいやいや、親衛隊はねのけていけるわけない!というか、私…「衛様親衛隊、副隊長を務めておりますので…」「…大丈夫、許可はとってある」誰の?!

「頑張れー大地様ぁ!!」遠くから友人の声が聞こえた気がして振り返るとそこには、衛様にウサギ隊長、我が親衛隊員に友人が入隊している大地様親衛隊員までみえた。気がしたのではない、いる。確実にいて、言ったのだ。なにを頑張れ?

「あの、…」ウサギが私の顔をじっと見つめてくる、愛らしくて頬が緩む…じゃなくて、「もってて」と渡されたそのウサギに慌てて手を伸ばし抱える。あ、温かい…癒される。ウサギは私にすりより少しくすぐったいし胸に潜り込んでくるので、ふと気になった。「…」雄か。


「ナポレオン、止めろ」ひょいっと首根っこを掴まれしょんぼり顔をする。待って……ナポレオン?!す、素敵な名前だなぁ…アハハ。

「ここに、サインするだけで解決する。」「へ?」

なんだこれ、私は固まる。当たり前だ、固まるよ誰でも!

「せ、先輩…これ、何か知ってますか?」

「…婚姻届だが?……俺に嫁においで?」



──────なんということでしょう、ウサギ隊長に萌えていたらこの学校では有名だったらしい…ウサギ王子に捕まりました。


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[一言] 「君、がうちにこればなんら問題ない」………いやいやいや、親衛隊はねのけていけるわけない!というか、私…「衛様親衛隊、副隊長を務めておりますので…」「…大丈夫、許可はとってある」誰の?! 「頑…
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