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ごく潰し転生末王子はテコでも出てこない ~元35歳の35番目王子が僻地で【鎖国】ひきこもり無双~  作者: 野菜ばたけ
【第二章】第一節:襲撃と、実母のクソ露呈と、魔法チート

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第11話 育む絆と、チート魔法の本領



 俺の声に、セズは少し逡巡する気配を出した後、手の平に“はい”と返事をしてくれた。


「あと、それが終わったら魔法の使い方教えてくれない? 目と耳が無事だったっていう事は、多分セズって魔法、使えるんでしょ?」


“つかえますけど、たいしたこと、ないですよ”


「それでも何も知らない僕よりは、色々知ってるでしょ? 分かる事だけでいいから」


 あのヘロヘロ魔法、今回は閃光弾だったからある種の最適解だったかもしれないけど、普通の攻撃魔法や咄嗟の時の防御魔法であれでは、おそらく使い物にならない。


 転生チート的に魔法は使えたけど、俺のチートは何の努力もなく万能な力が使えるという訳ではないようだ。

 ならちゃんと練習しないといけない。

 多分それがいざという時に、何かの役に立つだろう。


“わかりました、しっていることは”


「うん、お願いね。レーナの件が片付いたら、改めて僕からお願いするよ」


 オーランドまでの道中の楽しみが増えた。

 早く心から楽しめる環境を作るためにも、レーナの件は早急にどうにかしなければならない。



 が、レーナが城への報告を担っている以上、恨まれたりするのはできれば避けたい。


 あの短絡的なクズの考える事だ。

 恨みを買ったら嫌がらせに、ある事ない事城に報告するかもしれない。

 それは困るので止めてほしいのだ。


 あと、このまま置いておくと、いつかセズにも致命的な迷惑を掛けそうで、嫌だから。







 ……余談だが。


 どうやらこれと同時刻。

 周辺地域では、ちょっとした騒ぎがあったらしい。



 何でも、王都と王都の最寄りの町との間の森で、突如として妙な光と音とが一帯を駆け巡ったのだとか。


 その距離は、その町と王都とを隔てるようにしてある大きな森全体を包み込んで余りある程。

 昼間だったため、両町にいた人たちは運と目がよければ、遠くが一瞬チカッと光ったのが見えただけで、それだけなら「気のせいか」という程度で済みそうなものだったが、甲高い、耳鳴りのような音には誰もが気付いたらしい。


 それも町にいた人たちは「気付いた」程度で済んだものの、そうでない者たちにとってはより顕著に、より重大な結果を齎した。



 その音が痛い程に耳を駆け巡って行った次の瞬間、ある者は魔物に襲われて「もう駄目だ!」と思ったところだったのに次の瞬間には何故かその魔物が巨体を横たえ気絶して、またある者は馬車に同乗していたセクハラ男が何故か白目をむいてひっくり返った。


 果てには後日、いつものようにギルドから魔物退治の依頼を受けて森を訪れた冒険者は、何故か息絶えていた森の巨悪・角のある陸竜ベヒーモスを発見した。



 それを受けて国の調査が入り、何者かの魔法行使の痕を感知。

 解析した結果、とんでもない魔法が使われた事が分ったのだとか。



 ――悪意や敵意・害意を持つ者を、無力化するための光と音を発する魔法。

 その威力は、相手にどれほどの強い意思を向けているかに比例して上がり、相手を死に至らしめる事すらも可能となる。


 基本的に、自身を守る結界は光も音も透過する。

 故に、事前にこの魔法が使われると知っていて相応の防御をしておかなければ、咄嗟に防御態勢を取ったところでほぼ不可避な攻撃。

 そんな魔法が使われたのだ。



 そんな魔法など聞いた事もなく、また影響範囲を鑑みても、かなり高度な魔法で魔力も大量に必要になる事が想定させる。


 何故その魔法が使われたのか。

 いつ誰がその魔法を使ったのか。

 調査を進め『いつ』は分かったが、結局『誰』は分からなかった。


 国は結局この件を、国を揺るがす可能性のある未解決の懸案事項『特級懸案』に上げたらしい。

 が、それを俺が知ったのは、かなり先の事になる。

 


 勿論この時の俺は、自分が使った魔法が真にどのような効果を持っていたのかなんて知らなかった。

 それに終わった事よりも、今目下にぶら下がっているガンを、いかに悪目立ちせずに取り除くか。

 俺の興味はそこにあったのだ。




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