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目立たず世界最強へ〜モブを装う者には裏の顔がある〜  作者: 冬城レイ
第一章「ここから始まる異世界」

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今日はちょっと忙しい

 さて、今日は普通に授業……と思っていたんだけど、これはいったいどう言う状況なんだ?


「クロウ・ヴァルディオス。生徒会長室まで、至急来い」

「……は?」


 話を少し戻そうか。


 僕は普通に学園へ登校しただけだった。いや、今思うと、周りは普通ではなかった。

 僕に向けられていた視線がすべて疑いの視線であったから。登校しているときには気にしていなかったけど……。

 僕が何をしたって言うんだよぉ……。いや、もしかしたら僕がラグナということがバレた?いや、それはない。僕は完全に顔を隠していたし、声も変えていた。だからバレるはずないのだよ……。おそらくは、ね。


 ということで、生徒会長室の目の前まで来てしまった。何を言われるのだろうか。怖いよ……。


「失礼しま~す」

「やり直し!ノックをしろ!」

「あ、はい」


 ドアを閉める。この世界にも入るときのノックは必要なのね……。

 三回ノックし、返事を待つ。


「入れ」

「あ、失礼します……」

「そこに座れ」

「はい」


 ソファに座る。なんか睨まれてる感じがして怖い。だが、世界最強になるために、ここで怖気づいてはだめだ!


「そ、それで……ご用件は……」

「お前……。何か隠しているだろう?」


 なっ!なんでバレたんだ!どこがいけなかったんだ!


「な、何のことでしょうか?」

「前に一回戦ったことがあるだろう?」

「え、はい。ありますね」

「君は最初から気づいてたのではないか?」

「と、言うと?」

「私が、君に急に攻撃しただろう?」


 え、そんなことあったけな。


「あ、はい。そう……ですね?」

「それに気づいていたんだろう。私が攻撃する前から」


 ちょっと、言ってることがわかんないよ……。攻撃する前に気づけるとしたら、魔力の流れと、目線など、相手の行動を意識しないと事前に気づくことは不可能だし。多分、言ってることは、攻撃する前じゃなくて、攻撃する直前のことを言っているんじゃないかな。それなら僕は気づけたと言えるし、おそらく、生徒会長が僕に聞いていることもそう言うことだろう。生徒会長は口下手なのかも。


「あ、はい。気づいてました」

「……そうか。それともう一つ」

「なんでしょうか?」

「あの時、本気を出していなかったでしょう?」


 うぐっ……。痛いとこを突いてくるなぁ。いずれはバレると思ってたけど、直接呼出しするなんて思わないよ……。


「まあ、八分目くらいのところまで来てましたけど……。まあ本気は出していなかったですね」

「八分目、か。わかった。呼んだのはそれを聞きたかったからだ。突然呼んでしまってすまなかった。もう行って良い」


 ソファから立ち上がり、ドアへ向かう。


「失礼しました~」


 ドアをゆっくりと閉める。


「ふぅ……」


 あぶねー。


 緊張が解けたのか、汗がめっちゃ出てきた。バレたのかと思ったよ……。ビビらせてくるなぁ……生徒会長は。

 僕は時計を見た。


「やばい……。実技の授業始まってるし。早く行かないと」


 ■【エミリア視点】


 クロウ・ヴァルディオス。やはり怪しすぎる。何を考えているのか、予想がつかん……。

 表情もあまり変わらない。本気を出せば私はあいつに勝てるだろう。だが今のところ敵ではないだろう。そこだけはわかる。


 時計を見る。


「なっ!!授業が始まっている!?早く行かなければ!」


 走って、生徒会長室を出ていく。

 遅れるのは確定している!だが、一秒でも早く!


 その時、ふと外を見る。立ち止まってはいけないのだが、立ち止まってしまった。

 エミリアが見つめる先には、クロウ・ヴァルディオスがいた。


 クロウはこちらに気づいていない。


「!?」


 クロウの構えを見る。相手は、レイラ。圧倒的実力差を前にして、怖がる様子もないクロウ。


「あんな奴が……いるのか……?」


 レイラは私より数段劣っているが、王族だ。いくら、代々国に仕える剣士の家系だとしても、王族になど勝てるはずはない。普通だったらレイラの剣に攻撃を入れるだけでも至難の業。


 だがクロウは違ったのだ。


 レイラの攻撃をかわし、攻撃を返す。決して攻撃が当たるわけではないが、避けれるだけの素早さと、反撃できるその余裕。

 これはエミリアの中での()()だった。

 かつてあんな剣士はいただろうか?私が戦ってきた中で、王族に反撃をできる相手などいない。

 私は気づくと目を見開いてそれを見ていた。窓ガラスに反射した自分の顔を見て、正気に戻った。


「ありえない……。あれは人間ではない……」


 私はそう思い始めていた。だが、決して自分が負けるなど微塵も思っていない。

 私は負けない。これは絶対である。それくらいの自信がある。

 クロウがレイラと互角として、私はレイラの数段上にいる。クロウは私に勝てないのだ。それだけはわかっているのだ。


 早く教室に向かわんと。


 私は心のどこかで怯えているのかもしれない。

 妙に汗が止まらなかった。





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