新メンバーは素質あり
朝。
僕は起きた。なんだか騒がしかった。外からではなく、この部屋から。
目をこすり、部屋を見渡すと……。
「なんじゃこりゃぁ!!」
「あ!ボス!おはよー」
「うんうん。おはよーって。そうじゃなくて……」
「あーこの部屋の状況?」
「そうそう」
そう、僕の部屋はボロボロになっていた。
「えーとね……。あの子たちがね……」
ミレイアの奥に目をやると、うずくまってるエルフの少女と、獣人の少女がいた。
「あー」
なんとなく察しはついた。おそらく、初めての場所で、興奮したのだろう。よくあることじゃないか。全然大丈夫さ。
「まあ、大丈夫でしょ」
「そうですか?ボス」
「まあ、それよりも名前を付けてあげよう」
「あ、それに関してですが……。あの子たちは、名前があるみたいです」
「そうなの?なら、おしえて」
「あ、はい!エルフのほうが、ウェルタで、獣人のほうが、ナイラというらしいです」
ウェルタとナイラかぁ。いい名前じゃん。
「それで?体調に関して、何か問題点とかはある?」
「全然ないです。ものすごく元気です」
「そっかそっか~」
よし、話してみよう。
「ねぇ、君たち」
「は、はいです!」
「な、なんですか」
「僕の組織に入ってくれない?」
「別に……いいけど……です」
「わ、私も」
そんなあっさり入ってくれるものなのか。組織って。
「そっか。ありがと」
「じゃあ、君たちには今日から特訓をしてもらおう。いいね?」
「は、はいです!」
「わかりました」
この子たちには素質がありそうだ。
■
「ウェルタとナイラ。今日から訓練を始めるよ」
「はいです!」
「は、はい」
うんうん。元気だ。
「二人とも剣は握ったことあるかな?」
「ないです!」
「ありません」
なるほど。まあいっか。
「じゃあ基礎からね」
「まずはこうして―――」
夕方。
「今日はここまで」
「ありがとうございますです!」
「ありがとうございました」
この子達、すごい。今日だけで、もうミレイアと互角に戦えるようになった。これは思った以上。
「じゃあ、ミレイア。僕の部屋に連れて帰っておいて。僕は、やることがあるから」
「わかりましたボス!」
さてと。買い物しようかな。
■
僕は王都の市場に来ている。周りには大きなお店などが立ち並んでいて、どれも歴史が古そうな感じだ。そこで僕はここに目を付けた。
おそらくだが、こう言う人がいっぱいる場所は治安が悪い。それは裏路地でも同じ。だから盗み聞きをして、情報を得る。それも一つの手でもある。
買い物しながら、こっそり聞いてればいい収穫ができそうだ。最近はミレイアに任せっぱなしだったし、たまには自分で情報を集めるのもいいかなと思う。
「おっ!いい玉ネギ見っけ」
「買っていくかい?」
お店のおばちゃんに話しかけられた。
「はい。この玉ネギがおいしそうなので」
「そうかいそうかい。長ネギもマケといてあげるよ」
「ありがとうございます。おいくらですか?」
「銅貨一枚ね」
「はいどうぞ」
おばちゃんはにっこり笑った。
「まいど」
まさか、長ネギをオマケしてくれるのは優しい。感謝~。
そう思っていると、裏路地から何か話し声が聞こえてくる。本当に小さな声。場所的にこの通りから、三本目の裏路地と言ったところか。
「ボイスアップ」
この魔法にはよくお世話になる。
おっ!聞こえてきた。
「おい、聞いたか?」
「なにがだ?」
「ラグナが復活した話」
「ああ。それか。指名手配されてたよな」
「そうだ。まあ復活といっても、倒しきれてなかったっていう可能性もあるけどな」
ラグナって、僕じゃん。ていうか、ラグナって、誰かと勘違いされてる気がするし……。あと、指名手配されてるって?やばいじゃん。終わってんじゃん。
どこのラグナかは知らないけど、何かとは勘違いされてる。これはあとでミレイアに調べてもらおう。
早く帰ろっと。




