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目立たず世界最強へ〜モブを装う者には裏の顔がある〜  作者: 冬城レイ
第六章「夜の怪物」

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ローレライの焦り

 ロウソクの火が、暗い部屋を明るくした。


「王国反乱を指揮する、団長が死んだ」

「そうか」

「シンも死んだ」

「……昨日はいたのにな」

「いいや」


 一人の男が言った。


「何が違うのよ?」

「シンの遺体は、かなり、腐敗していた」

「今は、冬だ。殺されたのは5日前くらいだろうか」

「そう……なら、昨日ここにいたのは……」

「変装した誰か、というわけだ」

「そんな……」

「みんなー」


 ローレライが暗闇から現れる。


「なんだ。今は、大事会議をしているのだ」

「人って、飛べたっけー」


 ローレライが問う


「魔力を使ったら、十秒程度。それが人間の限界よ」

「……そう。ありがとー」


 礼を言うと、ローレライは姿を消した。


「一体何なんだ……何を考えているんだ」


 ■【ローレライ視点】


『十秒程度。それが人間の限界……』


 なら、一昨日のあの人は、何?一体何なの?

 そう、一日中考えていたら、朝になっていた。

 私は、また、空高くに行き、王都を見渡す。


「今日も誰かが、悲しんでいる」


 私は、まだ、殺し足りない。

 だけど、自分の手は汚さない。


「やあ、また会ったね」


 前に聞いた声と同じだった。


「君、ほんとに人間?」


 一言目は問だった。


「急に言われてもね……」

「答えなさい!」


 いつもの、軽い口調ではなく、怒りと、焦りのせいで、口調が荒くなっていた。


「一応、人間」

「ならッ!!なんで人間が空を飛べるの!!」

「限界を超えただけ」

「そんな……簡単に超えられるもの……なの?」

「知らないよ。僕は」


 その瞬間、嫌な予感がした。こいつは殺したほうが良い。そう、頭が働いた。


「もういい……」

「急にどうしましたかー」

「リプクション」


 エメラルドグリーンの色で光る羽を出す。


「何をする気で?」


 私は冷静さを欠いた。

 羽を男に向け、投げる。

 だが、すべて避けられる。


「急にやめてください」

「オールディメンション!!」


 赤く、太陽の光でキラキラと光る羽が万ほどある数、生成される。


「はあ……昼間はあまり目立ちたくはないんだけど」


 そう言うと、魔力を解放した。


「なッ!!これ程の魔力ッ!!どうやって隠して!!」

「我が名はラグナ……目立ちたくはなかったのだが……まあいい」


 男の名前はラグナ。聞いたことがある。

 ネオンの組織の頂点に居る男だ。


「ハッ!!」


 羽をラグナに向けて、全力で打つが、すべて弾かれる。

 しかも、糸で(はじ)いている。


「おかしい!!この羽は何でも斬れるのよッ!!」

「この程度、ただの糸で十分だ」

「黙れッ!!」

「チェック……メイト」


 糸が、首を狙って、伸びてきた。

 だが、私は、逃げた。

 ここは、黒の色素の会議をする場所。

 見慣れているが、一瞬ここがどこだがわからなかった。

 今は、誰もいない。逆にそれが怖かった。


「誰もいな―――」

「みーつけた」


 肩に手を置かれる。

 その瞬間、死を悟った。


「助け―――」


 その瞬間、何もできず、上半身と下半身が別れるのが分かった。

 感覚が麻痺し、痛みは感じなかった。


「あ……あぁ……」

「すべてを知っている。また、いつか……会えることを祈る。今度は、善人として。その時は、ブルーメタリックに招待しよう」


 そう言い、ラグナは消えた。

 意識が遠のく前に、と。一生懸命、意味を考えた。

 そして……


「私みたいなゲスにも……優しいの……ね」


 おそらく、ネオンの支配権も無効になり、ネオンは正気に戻る。

 私が負けた。


 そして、意識を手放した。




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(一応、ここで、六章は終わりです)

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