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目立たず世界最強へ〜モブを装う者には裏の顔がある〜  作者: 冬城レイ
第五章「ヴェタン王国で暗躍する!」後編

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枝一本あれば十分

 枝一本で剣を粉砕する。

 それはとてもありえないこと……ではなかった。

 そう、いずれ最強になる僕は、それくらいできなければならないのだ!


「カース・ゴーミ第五席はその程度で?」

「黙れぃ!!まだ、まだ終わらぬ!!」


 木の枝の魔力伝導率は皆無。

 魔力を最大限伝えるためには、繊細な魔力を練る必要がある。

 だが、繊細な魔力は乱れやすく、すぐ壊れてしまう。


「おかしいッ!!なぜだッ!!なぜ折れないッ」

「繊細な魔力を乗せているからです。カース・ゴーミ第五席」

「ありえん!!それほど枝を強固にするのは、人間のできることではないッ!!」

「そうだな……確かに、カース・ゴーミの言うとおりだ」


 ケツ・クサがカースに同意する。


「では、私が人間では―――」


 そう言いかけた時、後ろの気配があるのに気づく。


「メイドよ、バレているぞ」

「ッ……」


 バグダッドはメイドを見ない。

 だが、すべて見切られているような感覚にメイドはなった。

 そう、すべての攻撃が弾かれ、殺されると。

 だから、動かないし動けない。


「なんだ、来ないのか?」


 バグダッドは言った。

 完全に狙った発言だった。


「いいえ。私はその挑発には乗りません」

「ハッ……」


 短く嗤った()

 ここから、バグダッドはどう動くのか―――


 ■【ネオン視点】


「突き止めた……邪神夜行……」


 ネオンはヴェタン海の近くにある小屋の前に居た。


「ここに居る。バグダッド、そして幹部達……」


 ネオンは小屋に入っていく。


 ―――中は広かった。

 中に入ると、歓迎されている感覚になる。


「空間操作……」


 独り言ではない。


「ネオン!」

「ウェルタ……」

「なんです?」

「いえ、なんでもない」

「ふえー」


 そう言い、進んでいく。


「黙れぃ―――」


 小さいが、確かに声が聞こえてきた。


「ウェルタ、聞こえた?」

「聞こえたです!」

「ウェルタ、声を小さくして」

「はいですー」

「それでいいわ」


 そうして進んでいく。

 階段を登っていく。


 そして、光が見えた。

 とても大きな空間。

 私達は、その空間の一番上の場所に出た。


「ウェルタ、一番に下に誰かが居るわ」

「ですー」


 見た限り、なにか言い争っている。

 人を観察すると、一人見覚えがある人物が居た。


「バグダッド・メディナ……」

「ネオンが言っていた、危険人物ですかー?」

「そう……そして、言い争っている、のかしら。近くには邪神夜行、第五席と、第一席もいるわね……」

「まとめて殺しますか?です」

「いいえ、もう少し様子を……」

「はいですー」


 まだ、手を出す時ではない。

 だって、ウェルタが居るから。

 今は単独ではないから……。


 ■【クロウ視点】


「そろそろ終いにしよう」

「バグダッド……生意気な」

「バグダッド様、ここでお亡くなりに……なってくださいッ!!」


 メイドが動き出す。

 女子には優しく……。


 バグダッドはメイドの武器を、枝で弾き、後ろに回る。


「少し休んでいろ」


 目に見えない速さで、腹を殴る。


「あ゛ぅ……」


 メイドは気絶する。


「まずは一人……」

「ッ……」

「あのメイドは、相当の手練のはず……バグダッドに情が湧いたか。使えん」

「そうかもしれんが、全力で参った気がした……」

「ということは―――」

「私が強いと言う事」


 き・め・た。

 これを言いたかった。こんなタイミングで言えるのは、とてもかっこいい。


「……そうかもしれん。だが、邪神夜行の幹部をナメるなッ!!」


 その瞬間。


「うりゃぁああああああああああああああ!!」

「オッァアアア!!」


 バグダッドと、ケツ、カースの間に何かが飛び込んできた。


「ゲホッ……ゲホッ」


 土埃が舞う。

 だがシュパッ、と言う音がし、土埃が晴れる。


「我等ブルーメタリック参上ッ!」

「参上です!」


 そこには、カッコつけたネオンとウェルタが居た。



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