友達ができたのと王女はすごい
初の授業の日。僕は相変わらず影が薄いモブライフを楽しんでいたのだが……。
「あんたが、クロウ・ヴァルディオスか?」
なに!?僕の存在に気づけたのか!もしかしたら、こいつらはもしかして強いのか!?
「あ、うん。僕がクロウだよ」
「そうか!俺たちと友達になってくれ!」
「俺も!」
「名前は……?」
場合によっては、殺す。
「モブレルト・フェアリーだ!」
「俺は、ニクダルマ・カリーだ!」
「モブレルトと、ニクダルマ?」
「そうだ!俺のことはモブトって呼んでな!」
「俺のことはダルマって呼んでくれ」
僕より、モブ感がある……。僕の存在に気づけた理由がなんとなくわかった気がするなあ……。まあいっか。せっかくの友達だしね。
■
授業が始まった。まずは剣術についての講義。あんまり前世と変わりがないなあ……。変わっている部分としては、こっちのほうが部屋がキラキラしているところくらいかな。
なんだっていいけどさ。そろそろ、待ちくたびれたし、なんか悪の組織とかあったら壊してみたいな……。
その時チャイムが鳴った。
あれ?もう授業終わり?早いなぁ……。全然聞いてなかったよ……。
黒板を見る。
あ、全然わかる範囲じゃん。しばらくは聞かなくて大丈夫かな。
その時、先生が肩をたたいた。
まただ……。影薄いはずなのに。
「え、あ……。なんでしょうか?」
「次は剣術の実技です。早く実技場へ来てください」
「え、はい。わかりました」
全然目立ってる。僕は誰にも気づかれないのが好きなんどなぁ……。しかたないかぁ。先生だしね。
早くいかないと。
■
実技場へきた。
「皆、そろいましたね。今から二人一組で模擬戦をしてもらいます。もう組は私のほうで決めていますので。文句は言わないように」
いろんな人の名前が出ているが、僕の名前はまだ出ない。そして嫌な予感がする。だって、僕以外にもまだ呼ばれていない人がいるんだから。
「最後の組は、レイラ・クランフェル対クロウ・ヴァルディオス!」
やっぱり……。僕の嫌な予感は見事に当たった。
「ちょっと先生!そんなのおかしいです!」
「何がでしょうか?」
「私はそんな知らない人と戦いたくはないです!」
堂々と言わないでよねぇ……。意外と傷つくからさぁ……。まあ、言ってることはわかるけどさ。
「いくら王女だからと言っても、そんなワガママは許しません」
「ですが!私はお姉さまに勝つために!」
「なら、余計にクロウさんと戦ったほうがいいです」
なんで?僕の評価がどれほどのものかはわからないけど、なめられすぎでしょ……僕。ちょっと悲しいけど、あまり目立ちたくないし、適当に負けとこう。
「先生!私たちが最初でいいですよね」
「あ、はい。順番なら、問題はありません」
「ありがとうございます。クロウという人!出てきなさい!」
やだなぁ……。
「はい。僕です」
「ふーん?がっかりさせないでよね」
「頑張ります……」
「では、始めます。構えてください」
木刀、か。けがはしないかな。
「はじめ!」
「とりゃあぁ!!」
「おっとっと……」
バランス崩しちゃった。結構反動大きいなぁ……。さすが王家。
「なかなかやるじゃない?」
周りの視線が痛い。だから目立ちたくないのになぁ。
「ありがとう、と言っておきます」
「ふーん?余裕そうね」
「いや、そんな余裕はないですけど……」
「そう?まあいいわ。まだやられないでね」
ちょっと、僕も反撃してみようかな。
足に力を入れ、人間には見えない速さで、全身に木刀を当てる。そして元の位置にもどる。
「?」
レイラは首をポリポリとかく。
もうちょっと早く動けそうだけど、今日はこのくらいでいいや。
「僕の負けで」
僕は自分から降参する。素顔をさらしたまま目立つのは好みじゃないし。
「怖気づいたのね」
「勝者は、レイラ!」
よし、これでよかったんだよね。




