王都で暗躍するのは誰でしょう
「ナイラ。未開の地の調査は頼む」
「了解しました」
「後はこれを持っておけ」
そう言って渡したのはボロボロのバッグ。
「色々入っている」
「あ、はい」
そう言い残し、ラグナは昼の未開の地から姿を消した。
■
休学は明後日までだから、ミレイアに頼んで、おカネをがっぽり稼ぎたい。
詐欺で稼ぐか、商売で稼ぐか……。
この世界なら、詐欺でおカネは稼げるんだけど……。
今回は商売と行こうか。
まずは信用を売っていく。
次に、金貨や銀貨などの価値に値する紙幣を発行。
言わば、前世のおカネと同じ仕組み。
計画は完了した。
今回は銀行&商店で、おカネを稼いでみるぞ!
なので、計画実行をできるように。
「ミレイア。ネオンを呼べ」
「はい」
ネオン。
一年前にブルーメタリックに来た新生。
だが、ネオンは頭がいいため、すぐ、幹部に昇格した。
「主様。お呼びいただき感謝します」
「ああ。早速用件を言う」
「なんなりと」
「商売をしたい」
「ッ!!」
「いい、案がある。それを実行しろ」
一通り、おカネの仕組みなどを説明し、実行に移す段階まで話を持っていった。
「商店の名前などはお決めになられたのですか?」
「……あ、それは、ネオン、貴様が考えろ」
「了解です」
ネオンは、部屋を出た。
「後は勝手に進むさ。普及するまで一年くらいかな」
【半年後】
「わーお……」
「いかがでしょう?」
「商店の名前はキガラシ商店、貴族たちに人気な商品を置いています。言わばブランドと言うことです。」
「銀行の方はどうだ?」
磨かれた机の上には帳簿が積まれ、窓から差し込む光が紙面を照らしている。
「順調です」
ネオンは即答した。
「名称はキガラシ銀行」
「預かり、貸し、両替を主軸にしています」
落ち着いた声。
だが、その目には確かな自信が宿っていた。
「紙幣は?」
「すでに流通しています」
「早いな」
思わず息が漏れる。
「信用を先に売りましたので」
ネオンは懐から一枚の紙を取り出し、両手で差し出した。
上質な紙。
光にかざすと浮かび上がる細密な紋様。
ただの紙ではないことを主張している。
「金貨、銀貨と交換可能です」
「金貨なら一万ゼニー。銀貨なら千ゼニーと、ゼニーという単位を導入しました」
「それと……常に全額を保管してはいません」
「信用創造か」
椅子の背にもたれ、口角がわずかに上がる。
雰囲気大事だし。
「はい」
「預けられた金の一部を貸し出す」
「貸し出された金が、また預けられる」
ネオンは淡々と語る。
まるで最初からこの世界に存在した仕組みであるかのように。
「金は増えず」
「価値だけが循環する」
「理解が早くて助かる」
「主様の説明が明確でした」
「反発は?」
「多少」
ネオンは肩をすくめる。
「ですが貴族を利用しました」
「貴族が使う金、か」
「それが信用になります」
「商店との連携は?」
「紙幣のみの決済を導入しました」
「最初は不満もありました」
「ですが、持ち運びが楽だと」
「盗まれても?」
「番号管理しています」
クロウは笑った。
「銀行に来れば停止できます」
「再発行も可能です」
「ほう」
壁際の金庫が、無言で存在感を放っている。
「命より金を守れると評判です」
「貸付は?」
「事業者向けに限定しています」
「返済不能は?」
「担保を取っています」
続けてネオンは言う。
「土地」
「権利」
「将来収益」
ネオンの声は一切揺れない。
「焦げ付きは?」
「想定内です」
「全体では?」
「黒字です」
「半年でここまでか。一年かかると思っていた」
窓の外では、人々が紙幣を手に行き交っている。
「民衆の反応は?」
「安心を買っている状態です」
「金を預ければ盗まれない減らない増える可能性がある。夢みたいな話だな」
「はい」
「ですが現実です」
一瞬、沈黙が落ちる。
「……」
「いい」
「次は?」
「支店展開です」
「急ぎすぎるな」
「信用は壊れやすい」
「承知しています」
ネオンは深く一礼した。
「主様」
「この国の金の流れもう我々なしでは回りません」
「そうか」
僕は勝利を確信した。
「なら、少し段階を上げようか」
「と、言うと?」
「貴族向けではない、キガラシ商店をつくる」
「!!」
「ブランドは高いから買えない。そこでもう損をしている。それなら、安く良い品を売ればいい」
おそらくそうだと思うけど、ね。
「なら、質が良く、安いもの。一般人向けに展開することもできるはずだ」
「はい!!」
「それと……おカネをもらいたい」
「もちろんです!主様!いくらぐらいでしょうか」
「一億ゼニー位で」
「すぐ用意します!」
■
目の前にはピン札がいっぱい。
「計、一億ゼニーです。経費で落としました」
「ありがとー。さすが、ネオン」
「ありがたきお言葉ッ!!」
ネオンは、そう言い、僕の部屋を出ていった。
大金持ちさ。
「ハッハッハ!!」
そうして、王都で暗躍するラグナの軍資金の集まる場所として、キガラシ商店が使われることになった。
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