未開の地へ……
夏休みも今日で終わり。
僕は電車で、クランフェル王国へと、帰還した。
「おにぃちゃぁああん?」
「なに?エリナ」
「金貨盗んだよねぇ???」
「ん……。盗んでないよ」
「怪しい……」
そんな感じの会話をしていたら、いつの間にか寮についてしまった。
「じゃ、エリナ。バイバイ」
「金返せッ!!」
あ〜無視無視。
僕は、寮の自室に入り、ドアを閉め、鍵も閉める。
非常にシリアスな空気だ。
「ナイラ。なにか用か?」
「はい。新たに黒の色素が動きを見せました」
「ほう?」
「国内北部に黒のメンバー第二席の姿を確認。更に、黒のメンバーが補充されたようです」
なるほど。結構黒の色素の主要メンバーは削ったんだけどなぁ……。
黒の色素は仕事が早いな。
「それで?他に報告すること、あるだろう?」
「はい……」
「言ってみろ」
「しばらく、休学してください」
「……え?」
「え?」
なぜッ!!帰ってきたばかりだろ!!なぜだッ!!
「ラグナ様。準備をしていたのではないのですか?」
「……ん゛ん゛ん……。あ、ああ。休学しよう」
準備?準備……。
あ……。
「ああ。アレか」
「そう、アレです」
リュックに適当に詰めたアレ。アレを使うのか……。いや使えんの?
「ラグナ様、明日から……未開の地へ行きます」
「未開の地、だと?」
「はい。我等、ブルーメタリックの私を含め、調査班が、調査したところ、そこには何かがあるようです」
「そうか。何か、学ぶことがありそうだな……」
「はい」
そういうことね。行く価値はありそうだね。
「よかろう。休学申請を出しとく」
「いえ、出してあります」
最初から、行かせる気だったね。ナイラ。
■
朝は早起き。
「電車で行く?」
「ラグナ様。おふざけはよしてください」
「ごめん」
僕は、ブルーメタリックのロングコートに身を包んだ。
ホントは、夜が似合うんだけど、たまには朝の光で光ってもかっこいいと思う。
僕はそうして、通勤ラッシュの人たちを哀れみながら、屋根を伝い、水の上を走り、未開の地へたどり着く。
「空気が重い。空が、赤い。砂っぽいし……」
その時。
「君たちは何をしているの……」
感情の読めない声が聞こえた。
僕は振り向く。
「貴様は何者だ」
「私は、マイ」
そこには、黒い大鎌を片手で持った少女が居た。
小さく、一見弱そうに見える。
だが、相当な手練。警戒は解けない。
そして、僕はマイの目に注目した。
「目が赤い」
「気になった?」
「ああ。目が赤いのは……何かの被験者か何かか?」
「……正解」
間を少し開け答えたマイ。何かを隠しているようには見えた。
「でも、この先は通せない…」
「守りたいものでもあるのか?」
「違う」
「これは、私の問題……。一人でやる殺事なの」
「一人の問題、だと?」
「そう」
一人の問題……。
今はシリアスな空気。崩してはいけない。
「何か隠しているな?」
「貴様は何者だ」
「何者……。ただの被検体……のマイ」
言葉はゆっくりで、小さかった。
だが、はっきりと聞こえた。
「そうか。もういい」
まだ、この先に何があるのかはわからない。
だが、何があるとしても、マイを助けてやろう……。
早く、縛られている何かから、解放してあげなければ……。
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