クランフェルの第一王女が足利に
■【エミリア視点】
「あれは一体……」
クランフェル王国王城から見えた、足利西部の空に伸びた、ブルーメタリックの魔力の光。
「チッ……」
「足利へ行くわ。馬車を準備しなさい」
ミレイアは、禁断のレリックを持ち出した。
そして……。
専属護衛は、すぐさま、馬車の準備を完了させる。
「エミリア様。お乗りください」
「ああ」
あの光……。
ブルーメタリック……。
エミリアはもう、正体に気づく。
(最近、クランフェル王国内で、目撃されないと思ったらッ!!)
「急ぎなさい」
「承知……」
馬車が加速する。
このレリックがあれば……必ず……ラグナをッ!!
そのとき、馬車が止まる。
「どうしたッ!!」
「渋滞です!」
「そうか……。後は、私の足で行く」
「承知」
エミリアは馬車の屋根へ行き、他の馬車の屋根を足場にしながら、前へ進む。
■【クロウ視点】
雨が降ってきた。おそらく、あの技が原因だろう。
「おい、デブ。起きろ」
「デーブだッ!!起きておるわ!!」
「あ、そうか」
ウェルタが見つけたレリックを調べた結果、コレはあらゆる研究データが入っていることがわかった。
レリックをデブに見せる。
「返せと言っただろう!!」
「この中には、データが入っているな?」
「なぜそれをッ!!暗号化したはずッ!!」
え、暗号化されてたんだ。よくわかったな……すごい……。
「ラグナ様〜」
おっと、めんどい妹が戻ってきてしまったな。
「黙ってろ」
「は、はい……」
ということで、レリック内の情報を暴露っと。
「えーと確か……。レリック・アクティベーション」
赤文字?うん?……。
映像が映し出される。
「ビンゴ……」
研究データが映像として残されていた。しかも、説明付き。
「ここは、黒のメンバーの第一席、頭脳のデーブの研究所です。ここには―――」
しばらく、映像が映し出される。
デーブはやめろと、暴れていたが、お構い無し。
「なるほど。黒の色素は、世界征服と、異世界の知識、絶対的力の確保を目的としていると、です……」
ウェルタはそう、解釈した。
「一つ足りない……。おそらく、一番優先していることは、世界征服でも、知恵でも力でもない……」
ラグナは少し、間を置く。
「……異世界の人間を召喚することが、最優先ではないのか?」
あくまで、推測だけど。
「……ッ!!なぜ!!なぜそれを……ッ!!」
(え……)
「さすがラグナ様!!」
「さすが、未来を見据えていますね、です!!」
「ボス!すごいです!」
「まあ、それくらいわかるのは当然だな」
たまたまだけど、まあいっか。
「ということだ。デブよ」
「クソッ……そこまでわかっているとはッ!それと、デブではないッ!」
「あ、ああそうか」
そのとき……。
「見つけたぁあああ!!ラグナぁあああああ!!」
すごい殺気が背中に当たる。
「クランフェル王国、第一王女……エミリア・クランフェル。なんの用だ」
「お前を殺しに来たッ!!」
コレはちょっとやばいかな。相当キレてる……。
「レリック!!起動!!」
エミリアが叫ぶ。
そしてエミリアのポケットが赤く光った。そして、エミリアの手へ。
「ほう……なんのレリックだ?」
「禁断のレリック……。悪魔の刀だ……ッ!!」
「……それで、我を殺すと?」
「そうだ……」
「ふ……ふははははは!!あーっハッハッハッハッ!!」
「何がおかしい!!」
「ふぅ……」
ラグナは落ち着き、言う。
「そうか……だが、我には勝てないだろう……。そんな借り物の力には」
その瞬間、エミリアの瞳が小さくなった。
そして、突進してくる。
「遅い」
「この刀はッ!!人間の限界を超えるッ!!」
確かに、エミリアの攻撃の速さは、速くなっているが……。
「実力差は変えられないだろう?」
エミリアを弾き飛ばす。
「まだだぁぁぁぁああああ!!」
「攻撃が、単純すぎる。だからそこで、止まってしまうんだ」
エミリアがラグナの懐に入る。
「遅い」
ラグナはエミリアの横に。そして、エミリアの顔面を床に叩きつける。
「うがッ!!」
地面は圧によって、エグれる。
「もう終わりか……?」
「ま……だ……まだ……終わらないッ!!」
エミリアは頭から血を流しているが、関係ない。
また、悪魔の刀を握り、魔力を流し込む。
「これで!!これでッ!!最後だぁぁあああああああ!!」
刀に魔力が付く。
可視化できるほどの密度で。
「その刀は、耐久力があるな。面白い」
「今日、二回目の技を出してやろう」
「私には勝てないッ!!」
ラグナの目が、ブルーに光った。
「我の前に立つ者は、等しく消え去る運命にある……エターナル・ヴォイド・オブリビオン」
ブルーメタリックの柱が、空を貫く。
ここは、足利の都市部と言ってもいい場所だ。だから……。
「今回は見るだけだ……」
その瞬間……。
エミリアは、自室にいた。
そして、エミリアが、最後の力で、窓の外を見ると、ブルーメタリックの柱が一瞬にして消えたかと思ったら、雲が消え、晴れた。
「ラグナぁああああああ!!」
そして、ミレイアは、泣き始める。
「うわぁぁあああ……なんでッ!!なんでッ!!」
その涙は、悔しさから来ていた。
レリックを使っても勝てなかった。しかも、同じ相手に、二度も。
かつて、エミリアにそんなことがあっただろうか……。
まだ、エミリアが七歳だった頃……。
「はぁッ!!」
「なにッ!!」
エミリアが長年騎士団に所属していた男を倒したときも、学園に入った後も、負けたことはなかったのに……。
それなのに最近、ラグナに負け、レイラにも負けた……。そして、今……。
レリックを使っても勝てない。実力差がありすぎた事。今まで、運がよかっただけだと……。
自分より強い者はいくらでもいると、思い知った。
だが、それと同時に、ラグナに勝つと言う思いが、倍以上に膨れ上がったのも事実だった……。
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