本気ではない本気
「ボス。来ます」
この言葉で、始まる。
カチャッ……カチャッ……。確実に一歩ずつ近づいてきている。
そして……。
重そうな黒の鎧を着た男……男だよな。男が階段を上ってきた。
「君が、ラグナか」
低い声で。
「ああ。我等はブルーメタリック。世界最強を目指す組織だ」
「世界最強だと?ふざけた事を言ってくれるわ」
「まあいい。この学園は完全にジャックした。出ることも入ることもできない。おとなしく降参するなら、命くらいは助けてやろう」
ここで、聞いてみるか。
「質問をしたい。いいか?」
「……いいだろう」
「お前は黒の色素と言う組織のメンバーか?」
「ああ」
「黒の色素の目的はなんだ」
「我等、黒の色素の目的はただ一つ……。世界の支配者になることだ」
世界の支配者。この単語にちょっとムカついた。せめて、裏の支配者になれよって。それのほうがかっこいいだろう?
「そうか」
その時、ミレイアが耳打ちをしてきた。
「どうやら、あのレリックが鍵のようです」
よく見ると、球体のナニかを持っている。
「それで……。あんたの名前は何だ」
「ローランドだ」
「そうか。ローランド。残念だが、貴様は死ぬ」
「そうか。だが、その言葉はそっくり返そう」
あのレリックを奪ってみよう。
僕は即座に後ろへ回り込む。
レリックを奪おうとした瞬間、血しぶきが上がる。
腕を切られた……と思ったか?これは作り物だ。
「ほう?偽物だったか。まさか血まで作り物だとは」
「だろう?」
「だがレリックは奪えていな―――」
「これのことか?」
「なにっ!?」
レリックと判明した。僕はこのレリックを投げて遊ぶ。よく見ると、若干色が変わるようだ。
前世で言うとRGBライトの暗い色に設定した感じかな。
「ミレイア。これをよろしく。あとは、僕だけでやるから、ウェルタとナイラと合流して」
「了解。ボス」
「話し合いは終わったか?」
「ああ」
ローランドはミレイアを見る。そんな気がする。
「さらばだ」
「いいや。させない」
「クソッ……。まずは君を倒さなければならないのか……」
「そうだな」
ローランドは不意を突き攻撃。
「当たらんさ」
ラグナはどこからか出したブルーソードで攻撃をすべて弾く。
「死ねぇ!死ねぇ!!クソがぁ!!なぜ当たらない!!」
いくら、攻撃をしようと、当たらない。
「剣術自体が未熟……。お前はそれすらも気づけないのか……」
「戯言を言うなぁぁぁあああ!!」
「先ほどよりはスピードが増したな。だが結果は変わらない」
「ならばぁ!!」
違うアーティファクトを出す。
「起動!!」
その瞬間、膨大な魔力が、ローランドの体へと吸い込まれる。
「後悔しろ……私にここまでさせるとは……」
「ほう?いい魔力だ。だが、それでも何もかわらな―――」
一瞬で吹っ飛ばされる。
「覚醒した私にかかればこんな奴は余裕」
「たかが覚醒だろう?覚醒しただけで勝てると思うな」
「なっ!!!なぜ!!何故生きている!!普通なら死んでいてもおかしくない!!」
「ふっ……。聞いて呆れる……。そんな少しの魔力で、我に勝とうと言う事自体、間違いだ」
その瞬間、ラグナは魔力のほんの一部を開放。
ローランドが纏う魔力など、一瞬でちっぽけに感じるほどの魔力。さらに色が、ブルー。それだけでもおかしい。
「おかしい!!おかしすぎる!!なぜ!こんな奴が生きてられるのだ!!」
「そうかもな。我はおかしいのかもしれんな」
「ここは一回、撤退だ。さらばっ!」
「行かせないさ。さっきも同じことをしていたな?何も学んでいないではないか」
ラグナは一瞬でローランドの剣と鎧をバラバラに。
「最後に聞かせてもらおう」
「クソッ……なんだ……。言ってみよ……」
目を見開き、圧をかけ、尋ねる。
「貴様は何人、無実な人間を殺してきた?」
「ヒィッ!!」
小さな悲鳴はすぐに消える。
「答えろ」
言葉の圧と、ラグナの魔力で、ローランドは死を悟る。そして、小さな声で、最後の言葉を発する。
「数えられない……」
「そうか」
そしてすぐに、ローランドから血が噴き出す。
「無実な人間を殺す。それは人にあるまじき行為。断罪を受けるべきだ」
そう、ラグナ、そしてブルーメタリックのメンバーは決して無実な人は殺さない。
逆に守るのだ。それは当たり前の事として。
そして、ローランドの死体を一瞬で燃やす。
「ボス!」
「お疲れ様です。ボス」
「お、お疲れ様、ボス」
みんな集まった。今日の騒動はすぐには収まらないだろうが、いずれ忘れられていくだろう。




