第一王女エミリア vs ラグナ
もうすぐ、歴史に残る戦いがはじまる。
「ラグナ!お前をここで断罪する!」
「なぜ?」
「私の妹を重症にさせ、少女の誘拐まで!」
少女の誘拐は、してないんだけどなぁ……。いやマジで。
「まあ、いい。お前をここで処すだけだからな」
「そうか。期待を裏切るなよ」
「……」
エミリアはそれ以上何も言わなかった。
「試合開始!です!」
エミリアがラグナの目の前まで。
煙が立つ。
「呆気なくおわ―――」
「何が、終わったんだ?」
声だけが聞こえた。
その瞬間煙が晴れる。
「そんな……」
エミリアの大剣がラグナに止められていた。しかも素手で。
「その程度か?」
エミリアは即座に距離を取る。
「思ったより強いな」
「それは褒め言葉か?」
「そうかもな。だが……そんな余裕すぐに無くしてあげよう」
「見せてみろ」
「黄金の光よ、今この剣へ宿れ」
あの技は、もう把握済みだ。
「私の本気!受けてみろ!!」
本気には本気をぶつける。決して相手の決意をバカにしてはならない。
「Gathered magical power, come here now」
魔力がラグナの回りに集まる。今までとは違う。
魔力の圧も何もかも。
「そんな……そんな膨大な魔力……人間が持てるものではない……」
「安心しろ。力は最小限に抑えてやる」
濃い青の光が、エミリアとラグナをドーム状に囲む。
誰も触れられず、誰にも壊されない。最強の技。
これらの工程が一瞬にして完了する。それだけでもエミリアは驚愕する。
「せいぜい、気絶するだけだろう」
「ッ……だが負けない!!」
どちらからも本気というのが観客には伝わっている。
その瞬間どちらもぶつかる。
地面が揺れ、煙が立ち、青色の光と、黄金の光が交わりやがて収まる。
煙も晴れる。
そこにはエミリアが倒れていた。
ただ気絶しているだけ。殺されてはいない。
「勝者ラグナ!」
観客は静まり返っている。
そのとき。
この学園を囲む、それぞれ端に建てられている監視塔四個が同時に光った。
僕は一瞬で分かった。
「ウェルタ!」
近くにいたウェルタを呼ぶ。
「はいです。ボス」
「ミレイアとナイラを今すぐここに呼べ」
「承知いたしましたです」
ウェルタは消える。
そしてすぐにミレイアとナイラを連れてきた。
「連れてきました、です」
「ボス!」
「ぼ、ボス」
「現状を報告いたします……」
ナイラが前に出て言う。
「まず……監視塔がすべてジャックされました。おそらく何らかのレリックのせいでしょう」
「さらに、ボスらしき者がこちらへ向かってきています。狙いは、レイラ・クランフェルか、エミリア・クランフェルのどちらか、かと」
なるほど。狙いは何なのかはわからないが、一回丁寧に迎えてあげよう。
「丁寧に迎えてやれ。王族たちの護衛をこっそり頼む。ミレイアはここに残れ」
「はい!ボス!」
「じゃあ、ウェルタとレイラは配置につけ」
「「御意」」
さて、ここからがホントにホントの戦いになるのかな?
いい出迎えできるかな。




