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目立たず世界最強へ〜モブを装う者には裏の顔がある〜  作者: 冬城レイ
第一章「ここから始まる異世界」

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第二王女の限界は……

 

「今から準決勝を始めます!です!」


 僕はレイラと戦うことになった。ちょっと嫌だけど仕方ないよね。


「あんたが、ラグナね」

「ああ」

「あんたは私が倒す!」

「そうか」


 僕達は始めの合図を待つ。


「はじめ!」


 一瞬でお互いの距離が縮む。ラグナはブルーソードをしっかりと握りしめる。

 ラグナの動きは観客の目では追えず、レイラが取り残されてるように見える。

 だが、レイラはまだラグナの位置を掴んでいる。


「そこだっ!!」

「ほう?なかなかできるようだな?」

「ナメるんじゃないわよ!!」


 だが、レイラの攻撃はラグナには届かない。

 弾かれるばかりで、ラグナには何一つダメージがない。


「まだやるつもりか?」

「ラグナラグナラグナぁ!!」


 レイラはただ目の前にいるラグナを斬るために全力を出している。目は充血し、手の平からは血が出てきている。


「もう、君の体は限界なんじゃないか?」

「だが、我を倒したい気持ちがあるなら、限界を超えろ」


 ラグナは片手で、レイラの攻撃を受け流す。

 いつの間にか空中戦になっていた。


「……ッ!!」


 レイラは昔のことを思い出す。

 よく姉と戦っていた時の事を。

 いくら戦っても、姉には勝てない。私の限界はどう頑張ってもここから変わらない。そんな事を思っていた。


「限界を超えなさい」


 そんな姉の言葉にムカついた。持っている才が違うのだから。姉の常識をこっちにまで押し付けて来ないでほしい。

 そんな事を思って、私は姉と話さなくなった。それは今でも同じ。いつも頑張っても、見られるのは姉で、私は後ろで見守ってるだけの存在で……。


 そして今、目の前にいるラグナという者も姉と同じに見えた。


「限界を超えろ」


 その言葉、姉とそっくり。

 そんな言葉、強者しか言えない。

 私は強者ではない。限界を超えられるのは強者だけ……。


「おい。聞いているのか」

「聞いている!!」

「我を倒したいか?」


 レイラの口からは血が出る。もう限界に近い。


「た、倒したい……」

「ならば、なぜ限界を越えようとしない?」

「そ、そんなのは……強者にしかできない……ことだ」

「……貴様は馬鹿なのか?」


 レイラはラグナの言ったことを理解できなかった。


「限界を超えることをためらってるだけではないのか?」

「な!!」


 その言葉に私は目を覚ます。濁っていた気持ちまで、綺麗に。何一つ濁っていない水のように。

 私は自分で限界を決めていたのだと。

 私は勝手に限界を変えられるのは強者にしかできないことだと、思い込んでいた。

 そう、自分で答えが見つかった瞬間、ラグナに一撃が入った。


「限界を超えたな。第二王女、レイラ・クランフェルよ」

「……ッ……礼は言わないわ」

「そうか。まあ、いい。チェックメイトだ」


 レイラは地面に叩きつけられた。レイラは負けた。

 レイラは意識を失う前に、実感した。己の限界を超えたのだと。今後、この感覚を研ぎ澄ます。そしてまたラグナと戦う時が来た時、勝てるように……。そして意識を失う。


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