モンスター討伐は、冒険者の本領だ!
予想外の……
しかし、氷獄魔熊の爪撃で踏み込みが浅かったみたいで、大したダメージは受けていない。
この後も、氷獄魔熊のスペックを調べながら時間を稼いでいると、アーガシル近衛騎士団長からの声が大ホールに響く。
「騎士達も含め、全ての避難を済ませた!」
「分かった。 俺達はこのまま討伐する!」
「私も……」
「大丈夫だ。 アーガシル近衛騎士団長は本来の仕事をしてくれ」
「しかし……」
「モンスター討伐は、冒険者の本領だ!」
「……分かった。 任せる」
「おう!」
俺が返事をすると、アーガシル近衛騎士団長は大ホールから去っていった。
何故なら、様々な理由から国王や王族を万が一から守る為だ。
それに、俺達が使った出入り口以外は厚い氷に塞がわれていて通る事が出来ない。
確かに、戦力的にはアーガシル近衛騎士団長が参戦してくれた方が良いが、多分、それを差し引いても氷獄魔熊は手強い。
俺も全力を出さないといけないだろうが、そうなると邪眼を解放しないといけないし、それをアーガシル近衛騎士団長に見られる訳にはいかないからな。
「……召喚、ラピス! ……召喚、シュテン!」
「お嬢!」
「我が君!」
「ラピスは、奴の周りを駆けながら注意を引き付け牽制を」
「分かったぜ、お嬢! ……ウォーーーン!」
「シュテンは、私の護衛を」
「承知!」
さて、俺達の戦闘準備は済んだ。
「先ずは、小手調べの炎槍!」
……が、直撃したにも関わらず無傷だった。
「小手調べとはいえ、この俺が放った炎槍でノーダメか……上等じゃねえか!」
俺は邪眼を発動させ、黒炎の槍を放つ。
「おらっ!」
「……Ga!?」
……多少はダメージを受けているが、HP3桁の相手に1桁のダメージって感じだな。
それなら……
「壱式……黒炎弾!」
「……Gaー!?」
……ダメージは通ったが、Lv60が適正フィールドで、エンカウントしたモンスター相手にメ○ミを放った程度のダメージだな。
次は……
「キサラ!」
「のじゃ!」
俺は左腕を水平に伸ばしてキサラを喚ぶ。
そして、刀化したキサラを握り抜刀し……
「疾!」
「Ga!」
「……浅いっ!」
……馬鹿な!?
キサラとの一撃は、赤銅竜の首を輪切りする程なのに!
黒炎砲は……ダメだ!
下手すれば、王城と王都に深いダメージを受けてしまう。
どうすれば……あ!
アレなら……イケるか?
「弐式……黒炎刃」
俺はキサラの刀身に黒炎刃を付与した。
その結果、キサラの刀身に黒炎が燃え上がる。
「これなら……どうだ! 破!」
「……Ga…AAAーーー!」
「良し! これなら……しまっ……」
「GaAーーー!」
「がはっ……」
「レン!?」
「レン様!?」
「リン! ラピス! 時間を稼いで!」
「はい!」
「ウォン!」
……唯華の声が聞こえる。
「……う」
「良かった! 気が付いたのね」
「俺は……そうか! 一撃を受けて」
「そうだよ! 大丈夫?」
「……大丈夫だ」
「本当に?」
「ああ。 ちょっと舐めプし過ぎたな」
俺はユイの膝枕から立ち上がり、氷獄魔熊に向き合う。
……どうやら、俺が気絶している間は、リンとラピスが相手をしていたみたいだ。
「リン! ラピス! 大丈夫だ!」
「レン様!」
「ウォン!」
しかし、どうする?
ダメージが入るから、数の利が有る以上は勝てるが、時間が掛かると俺の邪眼を見られる可能性が高まる。
【……こ…え……る】
ん?
【聞こ…え……る】
頭に直接声が!?
【聞こえる?】
……誰だ?
【僕だよ。 聖炎竜だよ】
消えたんじゃないのか?
【細かい事は後にして、先ずは目の前のアレをやっつけよう】
そうだな。
【代償が必要だけど良い?】
……代償?
【大丈夫だよ。 一生引きずるものじゃないから】
お前を信じる。
【ありがとう。 それなら……】
……分かった。
「デカいのを放つ。 合図したら出来るだけ離れろ」
「分かりました」
「ウォン!」
……いくぜ!
「聖炎竜よ、我が誓約の下、疾く応えよ!
七聖の陽射しより巡る神霊の炎よ。
真緋の炎となりて、我が前の穢れし者を焼き尽くし灰燼と化せ……」
俺はユイに視線を送り、察したユイが叫ぶ。
「散って!」
ユイの声を聞いた瞬間に、リンとラピスは跳躍して俺の後ろに居るユイの前に立つ。
「喰らえ……神罰緋炎!」
……ゴゥ!
氷獄魔熊を中心に直径10m高さ5mの緋色の炎柱が立つ。
「Gaー……」
……ゴトリ!
炎柱の中から、固い物が落ちた音がしたと思ったら炎は消え、氷獄魔熊の魔石だけになっていた。
「俺達の勝ちだ!」
「やったー!」
「やりました!」
「ウォーーーン!」
「うむ!」
大ホールを覆っていた氷が気化していった。
「良かった。 水満たしにならな……」
アレ……意…識が……
「レン? レン!?」
「レン様!?」
「ウォン!?」
「レン殿!?」
……いつの間にか寝ていたのか?
「……ん」
「レン!? 気が付いたのね」
「ユイ……」
「良かった。 氷獄魔熊を倒した後に気絶したのよ」
「そうだったのか」
「何処か、痛む所とか無い?」
「……大丈夫だ」
「レン様、気付かれて良かったです」
「リン。 心配掛けて済まんな」
「いえ、大丈夫なら良いのですが……」
「どうした?」
「その、右手が……」
「ああ。 これが代償だろうな」
「代償……ですか?」
「レン! 代償ってどういう事なの?」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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