だから、もっと強くなろうな
ああ、名前が……
「それじゃあ、召喚士ユイとの戦いを始めるが、枠が1つだった場合は諦めてくれ」
「問題無い。 元々、お前達に救われた命だ。
一向に構わない!」
……誰かを思い出す台詞を言ったがスルーしよう。
「では、両者構えて……始め!」
「初手は譲ろう」
「ありがとう。 召喚士ユイ……参ります!」
「……うぉ!?」
初手を譲って貰ったユイは、薙刀を牙突の構えで急接近して平突きを放ち、更に握る力を緩め向こうの「見切り」の読みを狂わせるが、ギリギリにハイオーガは躱す。
しかし、ハイオーガの首からは赤い線が出来る。
「……うむ。 楽しい時間が過ごせそうだ」
ユイとハイオーガとの戦いは一進一退を繰り広げ、ユイは離れれば魔法を放ち、長距離から近距離になると薙刀を巧みに操りハイオーガと互角の勝負をする。
……散々、転移する前からパワーを流す技を重点的に鍛練してきたからなぁ。
それに、ラピスとの連携も見事だった。
「ガウ!」
「うお!?」
「はあ!」
「……くっ」
ハイオーガが一本前に出ようとするのを、ラピスが邪魔する事で、体勢を崩されユイの一撃が迫るが、回避を全力でする事でギリギリに躱す……が、既にユイの次の一撃をハイオーガの開いた口の前で寸止めされていた。
「……降参だ」
「良かった。 私の従魔になってくれるかしら?」
「ああ」
「やったわー!」
「ユイ、契約を」
「ええ! 召喚士ユイは、新たな絆を結ぶ事を汝に示す。 差し伸べられた手を取る勇気を汝に願う。
信念を胸に、我は共に存在る事を誓う!
……汝の名は『シュテン』よ!」
まあ、京都民だしな。
「……我が名はシュテン。 我が君よ。 従魔として、永遠の忠誠を誓う」
どうやら、ユイの召喚士としての「枠」は少なくとも2つは有ったみたいだな。
「良かったな」
「うん」
「良かったですね」
「ありがとう、リン」
「良かったのじゃ!」
「ありがとう、キサラ」
「ウォン! 良かったな、お嬢」
ラピスが吠えると人化した。
「ありがとう、ラピス」
「我が君?」
困惑気味なシュテンに、ユイは説明する。
「貴方の先輩であるラピスは、人化が出来るのよ」
「我が君、承知した」
「シュテンは、人化出来るのか?」
ラピスの人化を見て、聞いてみた。
「……少なくとも、今は出来ないみたいだ」
「そうか」
「それなら、シュテンには悪いけど人化出来るまでは従魔用の亜空間に居てくれる?」
「我が君の意志に従う」
「ありがとう。 シュテン、送還!」
ユイが、そう言った瞬間にシュテンは消えた。
「……亜空間に入ったのか?」
「うん」
「どんな感じだ?」
「感覚的にシュテンが亜空間に居るのが分かるの」
「出してみて」
「分かったわ。 ……召喚、シュテン!」
「お呼びか、我が君」
「ごめんなさい。 召喚出来るかの確認をしたの」
「そうか。 我が君よ、必要な時は喚んでくれ」
「そうするわ。 シュテン、送還」
そして、また消えるシュテン。
「魔法みたいに無詠唱じゃないんだな」
「そうみたい。 それに召喚する時は、若干の精神集中が必要みたい」
ユイは、色々な所で召喚士としての知識も吸収したお陰で、召喚士の師匠的な人が居なくても召喚士としてやれている。
「……あ!?」
「どうしました、レン様!」
「祠!」
「……召喚、シュテン」
「どうした、我が君?」
ユイにシュテンを召喚して貰い、祠をどうするのか聞いた。
その結果、祠はそのまま放置し、中に安置していた御神体ともいうべき「氷聖珠」はユイが預かる事になった。
魔道具として使えるみたいだが、この「氷聖珠」は、あの「伝承の召喚獣」の今の姿らしく、俺達は魔道具として使う気になれなかった。
だから、ユイの「倉庫」に仕舞う事にした。
「某は、我が君の心に感謝する」
この後は、シュテンに聞いて何も無かった為に、今度こそシュテンを送還した。
「背中を任せられる仲間が出来て良かったな」
「うん」
こうして、俺達は馬車に戻る事にした。
移動の途中では……
「何か、漫画やアニメにラノベ的な意味で、物語が動いたみたいな感じだな」
「そうだね」
「それでも、この世界は『剣と魔法の世界』みたいだから、強くなっておけば悲劇は防げる筈だ。
だから、もっと強くなろうな」
「うん!」
因みに、空気を読んだリンとキサラとラピスは、3歩後ろに下がって無言だった。
「……ゴミが散らかっている」
「……そうだね」
「のじゃ!」
俺達が馬車に戻ると、盗賊らしき野郎共が気絶していた。
「アジトは何処だ?」
「早く言わないと、想像する以上の拷問を受ける事になるよ~」
盗賊共への凄み役をラピスにやって貰って、俺は不安を煽る役をした。
……約1時間後には、全ての処理を終わらせた俺達は馬車の移動を開始して、御者はリンにお願いした。
「思っていたよりかは貯めていたな」
「良かったね」
「ああ」
「でも……」
「そうだな」
馬車の中には、盗賊共のアジトに囚われていた少女が3人居る。
……当たり前だが、3人共「絶望」な空気だ。
「ユイ」
「分かったよ。 ちょっといいかな?」
「……はい」
「記憶は消せないけど、身体は無かった事に出来るけど、どうする?」
先程、返事をした少女が聞いてきた。
「……どういう事でしょうか?」
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