……なんという奇縁でしょうか
劇的ドラマにする必要は無いかな。
ラピスの嫌がる様と声を聞いて思った。
「世界の次元を超えても、従魔契約という魔法的な繋がりが出来ていても、風呂は嫌なのか」
「のじゃ!」
キサラも外見だけなら派手な綺麗系の美女なんだが、頭が必要無い時は働かないんだよなぁ。
「きゃあああーーー!?」
風呂場からユイの叫びが聞こえた。
「ユイ!」
風呂場に到着すると、ユイが驚いていて、知らない30代後半の男性が居た。
「ユイ、大丈夫か!」
「レン!」
ユイが俺に抱きついた。
すると……
「小童! お嬢に抱きつくな!」
「「……え!?」」
「何時までお嬢に抱きついている!
小童、離れんか!」
「私の事をお嬢と呼ぶのは……」
「俺の事を小童と呼ぶのは……」
「……悠臥お兄ちゃん!?」
「……霧島悠臥!」
「おう!」
???side
いや!
幾ら何でも、お嬢に洗って貰う訳には行かない!
小童も見てないで助けろ!
……あーーーーーーーーー!
風呂場に到着してしまっては、仕方ない。
洗われる前にお嬢に白状するしかない!
人化して……
「お嬢」
「きゃあああーーー!?」
「お嬢、儂だ!」
儂は、何とかしてお嬢に説明をしようとしたが……
「ユイ!」
小童が現れたか。
レンside
「……つまり、俺とユイの行方不明の連絡を聞いてからの記憶が無く、気が付いたら狼系のモンスターとなっていて、今まで生きていたと?」
「おう!」
「それで、群れから独り立ちしたけど、強いモンスターに襲われて怪我を負いながらも逃げて……」
「そこで、私達と出会うと」
「その通りだ、お嬢に小童」
……はあ。
まさか、ラピスが悠臥さんだとは……な。
そりゃあ、異世界召喚が有るなら、異世界転生も有るよな。
しかも、悠臥さんがユイの従魔になるなんて。
「まあ、ユイの護衛として、これ以上は無いな」
「当たり前だ!」
「でもね、悠臥お兄ちゃん」
「どうした、お嬢。 そんな笑顔で」
「今は世界が違うの。 だから、レンの事を小童と呼ばないでね」
「はん! 小童は小童で充分だ!」
「それなら、必要な時以外はラピスは従魔用の亜空間で待機な」
「な!?」
「私は、リーダーの指示に従います」
「どうする?」
「……ぐぬぬ。 わ、分かった! 分かったよ!
今後は小童ではなく、レンと呼んでやる!」
「良かったわ」
「それと、ラピス」
「何だ、小童」
「悠臥お兄ちゃん?」
ユイは、大変素晴らしい笑顔で言った。
「……何だ、レン」
悠臥さんは、その笑顔から察して言い直した。
「ラピスの中の人が、悠臥さんだと分かった以上は、部屋は別な」
「何ぃ!?」
「当たり前だろ。 自分の外見を見ろよ」
キサラが全身用の姿見を持って来た。
「……うむ。 昔の儂に比べれば劣るが、中々の男前だな」
「昔の悠臥さんの姿であれ、今の姿であれ、人化した姿が成人男性の外見をしている以上は、同室なんて認める訳が無いだろ」
「儂はお嬢の世話がか……」
「それでもだ!」
「悠臥お兄ちゃん」
「お嬢なら、分かってくれるよな?」
「……部屋は別ね」
「お嬢ーーー!」
「決定事項よ」
「……分かったよ、お嬢」
「分かってくれて良かったわ、悠臥お兄ちゃん」
「昔が何であれ、今はラピスとして生き、ユイの従魔になったんだ」
「……くっ」
「ユイ、ラピスに風呂場の使い方を教えてやって」
「分かったわ」
こうして、驚天動地な再会が終わった。
「何が有ったのでしょうか?」
「アンリか。 ベリーリラを俺の部屋に呼んで。
後、成人男性用の部屋を1つユイと同じ階に用意してくれ」
「……畏まりました」
俺とキサラは自分の部屋に移動した。
暫くすると、俺の部屋の扉をノックする音が響く。
「ベリーリラです」
「入れ」
「失礼します。 お呼びとの事ですが?」
「呼んだのは、ちょっとした事実が判明した」
「……はあ」
「モンスター等の『人化』を知っているか?」
「はい。 高い魔力と知性を持つモンスターが出来ると聞いています」
「どうやら、ユイの従魔は人化が出来るみたいだ。
そして、その姿が成人男性だった」
「……畏まりました。 それで新たに部屋を用意されるのですね?」
「そういう事だ。 既に、アンリには部屋の用意を指示してあるから、他の皆にも周知して欲しい」
「畏まりました」
「以上だ。 それと、諸々の費用だ」
俺は、白金貨10枚を渡す。
「お預かりします。 それでは失礼します」
ベリーリラは退室した。
「まあ、色々と煩いだろうけど、本当に信頼出来る従魔だな」
因みに、人化したラピスの外見は、青髪碧眼の黒崎○心が、イメージとしては1番近い。
夕食前にロウガ達から解放されたリンにも説明をした。
「……なんという奇縁でしょうか」
「そういう訳だから、リンも注意してくれ」
「分かりました、レン様」
夕食時はロウガ達と一緒の食卓に着いて貰い、メイド達も呼んで、改めてラピス(人化済み)を紹介した。
「ラピスってモンだ。 お嬢の事なら何でも聞いてくれ」
「……と、言っているが、ラピスはユイの従魔であって、それ以上でもそれ以下でもない」
「小童!」
「ラピス」
「……はい。 レン、失礼した」
夕食の間、偶にラピスが俺を睨むが、その都度、ユイから注意が入った。
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霧島悠臥の一人称が「儂」なのは、唯華の亡き祖父の真似です。




