序章ー後編
北条先生のモデルは勿論、実家が農業の、あの「先生」です。
しかし、ラノベ界の信頼出来る女性の先生を思い浮かべたら、「と○る魔術」と「ありふれた職業」の、あの2人を思い浮かべました。
皆さんは、どうですか?
……まあ、流石に手刀じゃ無理と思ったから、指先から魔力の刀みたいなのを伸ばして鉄格子を切った。
「次は、牢屋区画からの脱出だな」
「待って!」
牢屋区画を出入りする為の扉に行こうとしたら、別の牢屋から女性の声が聞こえた。
「俺、忙しいんだけど?」
「君は、異世界召喚された者達の1人ですね?」
「……何故、分かった?」
「昨日まで、現場に居ましたから」
「そんな人が、何故、地下の牢屋に?」
因みに、この女性は、黒色系の獣人だ。
……異世界で、初の女性獣人だよ!?
外見は綺麗系の顔とスレンダー寄りの体型で、身長は高めの180cmだ。
「詳しい話は後でしますから、私を此処から出してくれませんか? 君に協力しますし裏切りません。
だから、此処から出してください!」
「……信用出来ないな」
「それなら、私の尻尾に賭けて誓います」
「……尻尾に?」
何で、尻尾?
「坊主」
奥の牢屋から、野太い声が聞こえた。
「獣人族の尻尾を使った誓いは本物だ。
信じて良いぜ!」
俺は、野太い声を出した男性の牢屋の前に立って魔力の刃を喉に突き付けて聞いた。
「本当だな?」
「ああ」
キィン!
監守の椅子から見え難い所の鉄格子の下から10cmの所を1箇所だけ切った。
「……後は頑張れ」
「ありがとうよ」
再び、俺は猫系の獣人族の女性の前に立って言った。
「何処まで協力する?」
「出してくれたなら、君に死が訪れるまで」
「良いのか?」
「此処に居ても、誇りを踏み躙られ実験体の未来しかないわ」
「……分かった」
キキィン!
「ありがとうございます」
「君の名は?」
「黒猫人族の『リン』よ」
俺は、牢屋区画の出入り口の扉の鍵を、どっかの金髪な傭兵の真似をして切った。
「……上手くいった!」
「信じられないわ」
「そんなのは良いから、行くぞ」
「……はい」
地下の牢屋区画から脱出した俺達は、俺の千里眼とリンの夜目と鼻を使い、巡回中の騎士等にエンカウントせずに唯華の所に向かった。
「城から脱出しないのですか?」
「最低でも、もう1人連れて行きたい人がいる」
「分かりました」
唯華が居る部屋に到着した俺達は、静かに入る。
「唯華」
「……うぅん、どうしたの蓮弥く……!?」
一気に覚醒して、大声を出そうとした唯華の口を右手で塞ぐ。
「静かに」
「……」
唯華は、俺に口を塞がれたまま頷くと、俺は右手を唯華の口から離す。
「無事だったのね、蓮弥君」
「今の所はな」
「どういう事?」
「想像の範囲内だが、最悪の場合は、処刑だからだ」
「そんな!」
「あの時の慌て振りと、強引な対応を見ていたし、全く聞き入れてくれなかっただろ?」
「……う、うん」
「あの様子だと、本当に暗殺すら有り得ると思ったから脱獄したんだ」
因みに、リンは部屋の出入り口の扉に付いて貰い、事前にお願いして警戒をして貰っている。
「蓮弥君、あの女性は?」
「俺の協力者だ」
「大丈夫なの?」
「大丈夫だ」
「蓮弥君が信じるなら、私も信じるわ」
「唯華、ありがとう」
……そして、俺は壁を見続けている。
理由は唯華とリンが着替えているからだが、頭の中がR15を超えそうなのは仕方ないと思う。
……だって、男の子だから!
「……終わったよ、蓮弥君」
「終わりました、レンヤ様」
「ああ」
ちょっとだけ、まだ着替えていません的な事を期待したが、きちんと着替えていた。
「次は北条先生の所に行こう」
「分かったわ」
「分かりました」
「……と、その前に」
俺は、部屋の家具や唯華に与えられていると思われる服や靴等に、換金出来そうな照明器具等を全て亜空間収納……長いから「倉庫」と呼ばう……俺は「倉庫」に仕舞った。
「……蓮弥君?」
「日本にしろ、異世界にしろ、生きる以上は、お金は必要だろ?」
「……そうね」
そして俺達は、北条先生の所に向かったのだが、騎士達の休憩所みたいな所で、唯華が転けて……騎士達にバレた。
「何だ!?」
「チッ!」
俺は無我夢中で、呪縛契約を発動させようとした。
「「「「「「……」」」」」」
騎士達は動くのを止め、虚ろな表情をしている。
「……成功したのか?」
「「「「「……」」」」」
「全員、しゃがんで右手を上げろ」
……従った!?
俺達は一旦休憩所に入って、重要だと思える事を片っ端から聞いた後、騎士達に武装解除させ鎧や剣や所持金に、休憩所内の換金可能な物を全て「倉庫」に仕舞った。
……俺への慰謝料だ!
そして、俺達は北条先生の部屋に到着すると、唯華が声を掛ける。
「北条先生、日輪です」
「……こんな深夜にどうしたのですか?」
「大切な話があります」
「……分かりました」
「失礼します」
「え!? す……」
俺を確認した北条先生は、唯華同様に叫びそうになったから速攻で口を塞いだ。
「……と、いう訳だ」
「分かりました」
「では……」
「いいえ。私は此処に残ります」
「何故だ?」
「貴方達の事は勿論、大切です。
ですが、此処には私が担当した生徒達が居ます。
私は、あの子達を残してはいけません」
「……分かったよ。
俺は、担当の先生が北条先生で良かったよ」
「北条先生。私もです」
「須佐上君に、日輪さん。 私もです」
「じゃ、また」
「……ええ! またね」
「北条先生」
「ええ。日輪さんも」
俺達は北条先生の部屋から出ると、次に千里眼を使い、とある場所に向かった。
「……分かりました」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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脱獄には、協力者が必須ですから。