表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

テーマ詩集:だれか

誰かの悲しい腹話術

作者: 歌川 詩季

 さみしいって言ったら。かまってくれる?

 さみしいとは言えずに 猫耳のついたフードで

 泣き()らす目 隠して ひとごみのなか歩けた


 きょうも くちびるだけで笑う

 (ゆが)む ひび割れたほほえみ


 あてはないから あしたは べつの町かもしれない

 未練ひとつ残さぬ水鳥(みずとり) ああはなれなくて

 声に出さずに名前だけ呼ぶ これは誰かの腹話術

 見えすいた嘘つくなら わたしが呼ぶんじゃない



 逢いたいとは言えずに 猫ひげを描いたマスクで

 くちびるまで隠せば ほほえみはもういらない


 きょうは 笑わずに過ごすけど

 あした 泣かずに過ごしたい


 あてもないから きのうと おなじ町でもさまよう

 未練だけが揺れる湖 なれのはてだよね

 声に出さなきゃ ばれないはずの これじゃ悲しい腹話術

 見すかしたというなら ()きしめてと呪う

 言いませんけど。


 ええ、言いませんとも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 気がつかずにいると、 知らずに通り過ぎてしまいそうですが、 一度気がつくと、 目が離せず放っておけず、ついかまってしまう。 そんな気持ちになりました。 [一言] にゃあ~(。´・ω`)…
[良い点]  >きょうは 笑わずに過ごすけど   あした 泣かずに過ごしたい  >見すかしたというなら 擁きしめてと呪う  このフレーズたち、いいなぁと思います。  すごく刺さりました。  弱いだ…
[一言] 赤く腫れた目も 充血した瞳も 涙の跡も 化粧と化性で誤魔化して これは猫の仮装だからと 自分の心ごと火葬する 鳴き声が悲しく聞こえるのは 猫だから、だよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ