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リノンさんは恋愛上手  作者: そらどり
勉強会編
8/25

そういうの良くないと思います

「は……? 願い事……?」


廊下ですれ違う住人もいる最中、廊下で立っている拓海に向けて、私は思わずそう漏らした。


「そう、願い事。なんでもいいって言っただろ?」


土曜の午前、呼び出し音と共に現れた拓海はそう言うと、玄関の扉を開けていた私に近づいて圧力をかける。


「え!? ちょっと!? なんでうちに入ろうとしてるわけ!?」


「なんでだよ? なんでもいいって言っただろ?」


「そうだけど、まず要件! 急に言われても無理だから! 私まだパジャマなんだけど!」


「関係ねーよ、そんなの」


「いや、あるでしょ!?」


強引に入ろうとする拓海をなんとか踏み止まらせると、次第に抵抗を弱めていった。


「……悪い、ちょっと冷静さを欠いていた」


「でしょうね」


拓海の落ち着いた雰囲気になった頃合いを見て、私が問いかける。



「で、要件ってなに? あ、言っとくけど変な要求は呑まないからね」


「そんなんじゃねーよ……今日って一日中平気?」


「一日中? まあ、別に予定はないけど」


そこまで言うと、突然拓海が左手を掴んできた。動揺して変な声が出そうになったが、寸前で堪える。


「良かったぁ~~~。ちょっと頼みたいことがあってさー」


「ちょっと……その前に、手、離して……」


「莉乃にしか頼めないんだよ。お願い!」


「いや、だから、手を」


「聞いてくれるんだろ!? 直前で止めないって言ったじゃん!」


「手離してって言ってるでしょ!!」


叫んだらようやく手を離してくれた。が、廊下に私の声が響き渡ってしまう。


「……取り敢えず入って。近所迷惑だから」


「いや、莉乃のせいだろ?」


「な―――……!」


いや待て、逸るな。落ち着け。焦らず対処する。


「……うん、落ち着いた。で、頼みたいことって?」


「ああ、実は付き合ってほしくて」


「………………え?」


今、なんて言ったの……


「? 梨乃? おーい?」


「――――! え、なに!? 別に浮ついてなんていませんけど!?」


「ちょっと落ち着いてくれよ。教えてほしい所があるだけなんだよ」


「なら初めからそう言えばいいでしょぉ……!? なんで思わせ振るのかなぁ……!?」


「えぇ……? 怖い……」


なんやかんやで、拓海の部屋で勉強会をすることに決まった。

いつもご愛読ありがとうございます。

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