ざまぁ展開 戻って来いって? もう遅い!!
俺はレイモンドから学園に戻ってきてほしいと懇願されていた。すぐそばにはそのレイモンドの態度に怒っている生徒のフレデリカと召使いの男、ロドリゴが居た。
「そうですわ! このレイモンド。教師の立場を利用して生徒にたびたびセクハラを繰り返していましたの!! マッサージしてあげるといい勝手に肩を揉んできたり、太ももを勝手に触ったり! それでそれを拒否したらその生徒を無視するように他の生徒に言ったり!!」
えっ? レイモンドがそんなことを……最悪じゃないか……気づかなかった。教師なのに生徒を集団で無視するようなイジメを行っていたのか? 俺は目の前がクラクラする。しかも女子生徒の体を勝手に触るとか……自分の立場を利用して。最悪だ。
「あれは! 違うんだ! 生徒が俺に触って欲しそうな顔をしていたから……」
レイモンドは言う。は? なにを言ってるんだこいつ。
「ひぃ!!」
回答が気持ち悪すぎたのかフレデリカが叫ぶ。
「向こうの方は俺にマッサージされて喜んでたんだ! いいじゃないか! コミュニケーションだろ! 先生だって人間なんだ!」
レイモンドが言う。は? 本気でなにを言ってるんだこいつは。俺の全身に鳥肌が立つ。俺はこんな奴と一緒に仕事をしていたのか? 人間のクズ……本当にクズだこいつ。
「テメェ! 死にてぇか!! こいつ!!」
ロドリゴがまた玄関の横の壁を殴る! ボグン!!
「ひいっ!!」
いやこれ俺の家なんだけど……
「先生どうしましたか? なんだか騒がしいですが……」
エリスが俺の後ろから声をかけた。
「どないしたん……えらい大きな声出してからに。アーサーはん。なんか困りごとか?」
ミヤビもフワフワと浮いて俺とレイモンドのやり取りを見に来た。
「おっ! どっ! 同棲! しかも三人で! いや……それはまぁいいですわ……まずはこの腐れレイモンドですわ!」
なにを勘違いしたのかフレデリカはミヤビとエリスを見て焦った。
「お願いでず! どうがもどっでぎでぐださい!!」
レイモンドは土下座しながら泣いている。
「いい男が泣きやがって! 情けねーったらありゃしねぇえ!!」
ロドリゴが怒鳴る。
「人間のクズですの! 間違えて人間に生まれてしまった愚か者ですの!! 生徒を下卑た目で見る教師? そんなものが学園にいたら怖くて勉強どころじゃありませんの!! 辞めるべきはレイモンドお前ですの!」
フレデリカが怒る。
凄まじい剣幕だ。
「レイモンド先生?」
エリスがレイモンドに声をかける。
「あっ! エリスくん! 君は僕に世話になっただろ! 助けてくれ!!」
レイモンドが叫ぶ。
「アーサー先生。私もこのレイモンドからセクハラを受けていて……」
エリスが告白する。
「えっ?」
「本当なんです。水魔法の授業中に私の体を執拗に触ろうとしてきたり、運動の授業で私の胸が揺れているのを見て、大変だから僕が手で支えてあげようか、って言ってきたり」
エリスが言う。
「ひぃ!! キモっ!」
フレデリカが拒絶反応を起こす。
「そういう人おるなぁ。立場を利用してどれだけ自分のワガママが通るか試そうとする奴。最低やなぁ」
ミヤビも言う。
「なんだかその言葉を聞いて自分が汚されたような感じがして……もう思い出しても鳥肌が立つ!!」
エリスが怒る。俺は体が震える。レイモンドこいつ年端もいかない女の子にそんなことをしてたのか? 教師という自分の立場を利用して!
最悪だ! 本気で吐き気がする!
「それで私一時期学校に行けなかったんですよ! レイモンドが怖くて。なんで私があなたのせいで不登校にならないといけなかったんですか! ホントに最低!!」
エリスが言う。
「駄目じゃん。これ本当に教師になっちゃ駄目な奴だわ」
フレデリカが呆れるように言う。
「ふざけんなよ! 体触られたくらいで不登校になるなよ!! 心が弱いんだよお前! そんなんだったら社会でやっていけないぞ!」
レイモンドはエリスにそう怒鳴った。
「分かった。もういい。お前は殺すわ。生きてちゃ駄目な奴だ」
と言ってロドリゴはレイモンドの服の襟を掴み引きずって行った。えっ? どういうこと? レイモンド殺されるの?
「ロドリゴ! やめなさい! そのような人間のためにあなたが手を汚す必要はありませんわ! そのレイモンドは合法的に地獄を見せて差し上げますわ!!」
フレデリカが言う。
「はっ! 分かりました!」
とロドリゴが言う。いや、一体なんなんだ。
「アーサー先生! お願いでず! おねがいでず!! がっごうにもどっでぎでくだじゃい!!」
泣きながらレイモンドは俺に土下座した。
「じゃあレイモンド先生……いやレイモンド。あなたはニナと共謀して俺をハメたと認めますか? それで責任をとって辞職されるということでよろしいですか?」
俺は聞く。
「みどめまぜん!!」
とレイモンドは言った。えっ? 認めるんじゃないのかよ!
「じじょぐもじまぜん!!」
と泣きながらレイモンドは言う。こいつこの後に及んで……
「諦めの悪さはゴキブリ並みだなこいつ」
流石のロドリゴさんも呆れ果てている。
すると口をパクパクとレイモンドがなにか言いたげにしている。
?
なんだ俺になにか言いたいのか。俺はレイモンドの口に顔を近づける。するとレイモンドは
「泣き寝入りしてください」
と小声で俺に言った。は?
「えっ? 先生今なんて?」
俺は聞く。
「泣き寝入りしてください。アーサー先生! アーサー先生が泣き寝入りしてくれたら俺は学園に戻って学長になれるんです!!」
と強めの小声で言った。
? えっ? なにを言ってるんだ。は? こいつは本気でなにを言ってるんだ
俺はレイモンドから離れる。
「俺に泣き寝入りしろってどういうことですか?」
俺は聞く。
「えっ?」
「なにっ?」
「ひいっ!」
「なんなんそれ」
と口々に悲鳴を上げるみんな。
「おねがいでず!! アーサーぜんぜい!! なぎねいりしでください!!! アーサー先生が泣き寝入りしてぐれだら俺はだずがるんでず!!」
レイモンドは泣きながら床に手を付き土下座をして言った。
俺はふらっとよろける。こんな奴がこの地上にいるんだ。今わかった。こいつは心底自分のことだけなんだ。自分さえ良ければなにをしても良い。他の人を平気で犠牲に出来る。そうしてもらうのが当たり前のクズ……人間のクズ……こんな奴に俺はハメられて人生を狂わされたのか?
「レイモンド。悪いが俺は学園に帰れない。絶対に無理だ」
俺は言い放った。
「えっ? どうじで!! 俺をだずけでぐたざい!! アーサーー!!」
「もう言葉が出てこねぇ。おい! 行くぞ。お前!」
とロドリゴさんは怒鳴ってレイモンドを引きずるようにどこかに連れて行った。
俺は呆然とする。俺はレイモンドの本性に気づかなかった。あいつの下衆な本性に。それにもっと早く気づいてさえいれば……
「先生大丈夫ですか?」
俺が青ざめていたからかエリスが俺に声をかけてくる。
「あ、あぁ……大丈夫だ。エリスは? 知らなかったよ。君がレイモンドにそんな嫌がらせをされていたんだね。そう言えばエリスが少し長く学校を休んでいて確かに心配だったんだ。辛かったね。エリス。一人で抱えてたのか?」
俺は聞く。
するとエリスが泣き出した。
「ずっと誰にも話せなくて……自分が汚されたと思って……先生にも嫌われたくなくて」
エリスが泣いている。
「嫌ったりしないよ。悪いのはレイモンドだよ。誰もエリスを責めないよ」
俺は言う。
「先生……」
「いや、俺嬉しいんだ。エリスが自分のために怒ってくれて。初めてあった時エリスは大人しそうな印象だった。その性格は全然悪くはないんだけど、世の中には大人しそうだからって理不尽なことをしてくる人もいる。まさかそれがレイモンドだとは思わなかったけど……エリスが自分を守るためにちゃんと怒るのを見れて良かった。それが嬉しいんだ」
俺はエリスに微笑みかけた。
「先生!」
エリスは俺に抱きついてきた。俺をギュッと抱きしめる。
「エリス。辛いときは一緒だからな。一人で抱えないでくれよ。エリスが誰にも悩みを言えずに一人っきりで辛い顔をしてるのが俺は一番嫌だ。だからなんでも俺に言ってくれ。エリスと同じ苦しみを俺も味わいたいんだ」
俺は言った。
「はい! 分かりました! これから楽しいことも辛いことも全部先生と一緒です!」
エリスはそう言って俺に微笑む。
「ええ男やないの……なんや、うちも貰い泣きしてしまいそうやわ」
ミヤビが泣きそうになりながら言う。
「それ、プロポーズ成功したあとに言うセリフですよね」
とフレデリカが言う。
俺とエリスはびっくりしてフレデリカを見る。
「さて、先生のお家の中に入らせて貰いますの。で、先生。一体どういうことか説明してくれますか? なぜ女の子と一緒に同棲してるのか。それが分かるまで私もここで同棲しますの!!」
フレデリカは言った。
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