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明かされる真実


俺はドラゴンに接近した! だが


「マテ!」

と脳内に直接言葉が叩き込まれるような感覚に襲われた。


!!!

俺は一瞬キョロキョロと辺りを見回す。誰だ……


「魔王サマか! ナゼ敵対スル!?」

またもや脳内に直接声が響く。


「お前らが人間を襲うからだ!」

俺は叫んだ。すると


ゴオオオオオオオオオ!!!


とマザードラゴンはゆっくりとこちらに近づいてくる。


!! ドラゴンに騎乗していた俺は一瞬焦る。が……なにか俺とコンタクトを取りたいのだろう。俺はマザードラゴンがこちらに近づいてくるのを待つ。


「オオ! ヤハリ魔王サマ! ドウシテ、コンナトコロに?」

ドラゴンマザーがテレパシーを送る。


「どうしてって、お前らが人間を殺そうとするからだろう?」

俺は答える。


「ソレハチガウ!」

ドラゴンマザーはゴオオオオオオオオオと雄たけびを上げる。


「あの国王がワガ秘宝。龍の宝玉を盗んだんだ!」


「えっ?」


龍の宝玉……聞いたことがある。ドラゴンが常に抱えている巨大な魔力を秘めた宝玉のことだ。それはとてつもなく大きく直径10メートルになるほどの大きさもあるとか……


俺はドラゴンの予想外の答えに驚く。

「つまり、大事な宝玉が盗まれたことの報復か」

俺はドラゴンマザーに聞くとマザーは

「そうだ」


とテレパシーを送った。


「アレは今まで死んだ全てのドラゴンの魂が込められている宝玉なのだ。人間族にとってはただの巨大な宝玉なのだが、我々にとっては先祖との繋がりをもたらすとても貴重な宝玉なのだ。それを強欲な国王が兵士を使い我々から奪ったのだ」

マザーが憤りながら言う。


そうか……それでドラゴンたちは街に繰り出していたのか。


「こうなれば戦争もやむなしと思い、私は多くの子を産んだ」


そんな事情が……俺は誤解をしていた。国王が最初に仕掛けたことだったのだな。その部分を隠して俺たち冒険者を使いドラゴンを討伐させようとしていたのか。


そして、あわよくばドラゴンに三級市民を殺してもらう算段だったのか。ドラゴンの言うことが正しいのなら明らかに国王が悪ってことになる。


自分で仕掛けたことに対して自分でケツを拭かずに一方的に相手を悪者にする。吐き気のする手口だ。だが、これはあくまでもこのドラゴンマザーの言い分。


直接国王に聞きに行くか。モントバーンの城に。


「先生!」

エリスの声が聞こえる。エリス、タージ・ハー、ミラーカの三人がドラゴンに騎乗していた。


「先生! とうとう魔王様になられたのですね。その瞬間をこの目で見ていたかったです」

エリスはなんだか涙目だ。


「エリス。モントバーンの城に行こう」


「えっ? 私達の結婚式を挙げにですか?」

エリスはとぼけた答えを言う。


「いやっ! あの……国王に会いにだ」



ドラゴンは何匹かモントバーンの街に向っていた。


「よーーし! 全員で囲め! アーティファクトをウロコの隙間に差し込め!」

街人がドラゴンのウロコの隙間に氷属性を持つ槍を差し込むと


ピキピキピキ!! ドラゴンは内側が凍っていく。


そして。ドシン! ドラゴンは倒れた。


「よーーし! 良くやった! 怪我人は?」

デイドリッグが叫ぶ。


「キィイイイイイイイイイイイイイ!!!」

高音域の音がする!


!!

デイドリッグたちは耳をふさぐ。


デイドリッグは空を見上げた。するとマザードラゴンが悠然と空を飛んでいた。すると街にいたドラゴンたちはマザードラゴンのところに帰っていった。


「なんなんだ……一体……」

デイドリッグは呆然としている。



俺はマザードラゴンの背に乗ってモントバーンの街の上に来ていた。もうすぐモントバーン城に着く。


「そんな事情があったなんて知らなかった。国王は俺になにも話してくれなかったからな」


「魔王様。誤解が解けたのならもう構いません。ところで、どうして魔王様が人間の指示に従ってるのですか?」

マザードラゴンがテレパシーを送る。


「え? それは……」

ドラゴンと戦った時に目覚めたからとはなかなか言えないな。


「俺は人間だからな」

俺が言うと


「そうか! 今度は人間に転生されたのですね! 元々我々は魔力を持て余した魔王様より産み出されたもの。ですから魔王様に付き従う存在です。なんなりとお申し付けください」

マザードラゴンは俺に柔順だ。


マザードラゴンはモントバーンの城の上に着く。


「俺が事情を聞いてくる。そこで待ってて欲しい」

「はい!」


俺はそう言うと城の屋根に飛び降りる! そしてそのまま俺は屋根を突き抜ける!


ドゴーーーン!!


俺は入城した。


「うおっ! なんだ貴様は!」

国王らしき男がこっちを見ている。ここは国王の寝室か。国王はベッドで女を侍らせてくつろいでいた。


「お前が国王か」

俺はドスの効いた声で聞く。


「な! なんだお前は! おい! 衛兵!」


「うおおおおおおおお!!!」

衛兵が俺に切りつけてくる。が


ガチィン!! 俺の体は鋼のように硬くなり衛兵の剣が弾き飛ばされる!


「あぁ! なんだこいつは」

俺は衛兵をポンッっと軽く押す。すると


「うあああああ!!!」

衛兵は壁まで飛ばされていった。


「おい。ドラゴンから宝玉を盗んだというのは本当か?」

俺は聞く。


「なっ、なぜお前にそんなこと言う必要が……うあああああ!!!」

すると国王は寝室から逃げ出した!!


廊下に出て窓を見る国王。すると窓のすぐ外に巨大なマザードラゴンの瞳があった。巨大な目に射すくめられ


「うああああああああ!!」

と叫んで倒れ込む国王。


「そのドラゴンは俺の支配下だ。大人しく俺の質問に答えろ」


「えっ? 嘘だろ? こんな巨大なドラゴンを使役するなんて……出来るハズがない」


「マザードラゴン!」

俺が言うと

「はっ!」

とマザードラゴンは返事をする。


「ゴオオオオオオオオオ!!!!」

「うわああああああ!!!」


マザードラゴンは

口から光弾を出し離れにある塔を ドゴォン!! 破壊する!


パラパラパラと落ちる塔の破片。


「ひいっ! まさか本当にドラゴンを使い魔に……なんてやつだ!!」


国王は驚いている。


「国王。お前に聞きたいことがある。まず三級市民をドラゴンの犠牲にするためあえて街に残したのは本当か?」


「えっ? そんなことは知らない!」


「本当のことを答えろ!」

俺が言うと俺の魔力が強いため俺の言葉は国王に対して強烈な強制力を持つ。


「は……はい。役立たずでしたので……ドラゴンに殺してもらおうと……ハッ!」

国王は口を抑える。


「それでは国王! マザードラゴンから宝玉を盗んだのは本当か?」


「えっ? あっ! それは!」

国王は涙目だ。俺は容赦なく国王を睨む。


「本当です。でもそれを言えませんでした」

国王は涙目だ。


「そうか。では悪いが俺はどうやら人間から魔王に目覚めたようだ」

俺は倒れている国王の前でしゃがみ込む。


「はい……なんのはなしですか?」


「悪いがお前は国王に相応しくない。自らの国民に犠牲を払わせこの俺に嘘をついた。そしてドラゴンの至宝である宝玉を盗んだ。この街を危険に晒したのはお前だ。よってお前を処刑する」


「えっ?」


「そして、魔王復活の記念としてこのモントバーンの城を我が城として貰い受ける。これは決定事項だ」

俺は言う。


「えっ?」

国王はポカーンとした顔をしている。



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生き別れの兄が近所のスーパーでレジ打ちをしてたんだが……
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