ざまぁ展開 卑怯なレオモンド
俺とレオモンドは決闘していた。
「うわあああああ!!!」
レオモンドが俺に剣を振り下ろしてくる。ゆっくりだ。俺の動体視力が異常に上がっているのか。
俺はひょいと避けて村正でレオモンドの剣を叩き落とす! そしてすかさず村正で鞘ごとレオモンドの顔を殴りつける。
ボゴン! ボゴン!
レオモンドの顔から血が吹き出る。すると時間の流れが元に戻ったようになる。
「うおおおおおおお!!!」
観衆が叫ぶ。
「あぁ! クソッ!」
レオモンドが叫ぶ。
全ての動きがスローに見えていた。なんだこれは……感覚が鋭くなっているのか?
俺は耳を澄ませる……ドクッ! ドクッ! 離れているのにレオモンドの心臓が激しく打っているのが聞こえる。こんな観衆の怒号が響いていると言うのに。レオモンドの心臓の音が集中して聞こえてくる。
「おおおおおおおお!!!」
レオモンドが俺に襲いかかる。
ハッっとする。駄目だ勝負に集中しないと。
ひょい。俺は避ける。
レオモンドはブンっと剣を振る! 俺はひょいと避ける。ブンッ! ひょい! ブンッ! ひょい! ブンッ! ひょい!
俺は何度も避ける。
「ハァ! ハァッ!」
レオモンドが肩で息をする。この戦いは殺すまで続く戦いだ。……だが、流石に殺すのは気が引ける。なんとか別の方法はないかな……こんな奴でも殺したくない。
ガチャン!!
俺はレオモンドの剣を村正で払った!
剣は弾き飛ばされてヒュルヒュルと回転してドサッっと地面に突き刺さる剣。
「おおおおおおおおおおお!!!」
と観衆が叫んだ。
「はぁっ! はぁっ!」
見るも無惨な汗だくのレオモンド。こんな状態の奴を殺すのは気が引ける。だから、デイドリッグになんとかレオモンドを殺さなくてもいいように提案してみるか……そんなことを考えていたら
「おい……あいつヤベェぞ。ジワリジワリとなぶり殺しにするつもりだ」
「てか、あいつ達人だろ。さっきから刀を抜いてない」
「レオモンドなんて刀を抜く相手じゃないってことか……」
「見てられねぇ……大人と子供の勝負じゃねぇか」
観衆が口々に言う。
……あのなんだか誤解されてるみたいなんですけど。
「いや弱いのはこいつの方だろ! レオモンドが弱いだけだ!」
と言いながら冒険者の男が俺とレオモンドの間に割って入ってきた。
「オイ! 勝負に入るんじゃねぇ!」
と叫ぶデイドリッグ。
するとその冒険者はなにを思ったのか地面に突き刺さった剣を引き抜き
「俺前からこいつが気に入らなかったんだよな。死ねよ! レオモンド!」
とその冒険者はレオモンドに向かって剣を振り下ろした!
だが! ヨロヨロのレオモンドの目が光ったかと思うとブンッっとその剣をかわして……
ボゴン! レオモンドはその冒険者の顔に裏拳を入れる。ブシュ! 冒険者の男の顔から血が出る。
「えっ……弱いハズじゃ……」
その冒険者は崩れ落ちた。
「男と男の勝負にケチつけてんじゃねぇ!」
レオモンドが言うと
「うおおおおおおお!!!」
と歓声を上げる観衆。
「あいつ水神流の門弟だからな。弱くはないんだよな」
レオモンドのことを知っている男がそう言う。水神流? あの独自の剣技を教える流派の一つか。
「レオモンドが弱いんじゃない。アーサーが強すぎるんだ」
誰かがそう言うとおおっ! っと俺の方に視線が集中した。うぅ……なんか恥ずかしい。
しかし……レオモンド。こいつ口だけの奴だと思ってたが剣の方も頑張ってたんだな。俺は少しレオモンドを見直した。
「うおおおおおおおおおお!!!」
レオモンドが俺に剣を振るってくる!
バキン! 俺は鞘でそれを払う! そしてレオモンドの腹をドゴッ! 村正で突いた!
「うごぉ!」
うめき声を上げるレオモンド。
「分かった。正直お前をバカにしてたよ。お前は真剣なんだな。だったら俺もそれに答えよう」
俺は村正を水平に持つ。
「この刀を抜き、お前が苦しまないように一刀のもとに斬り伏せよう。まさに真剣勝負だな。レオモンド」
俺はゆっくりと村正を鯉口から引き抜く。
すると
「うわぁ!!! ちょっとちょっと待って!!」
とレオモンドが俺の刀を手で掴んで刀を抜くのを阻止した。
「えっ?」
ドサッ! 俺はレオモンドに押し倒される。
「待てっ! 殺さないで!」
レオモンドは俺に被さりながら俺の刀を掴んで叫ぶ!
「おい! 刀を離せ!」
俺も叫ぶ。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 降参です! 殺さないで!」
レオモンドは言う。えっ? どういうことだよ。
「お前さっき男と男の戦いとか言ってただろ!」
俺が言うと
「死にたくない! 殺さないで! おねがい!!」
レオモンドは叫ぶ。
「えええ……」っと
ドン引きする観衆。
「レオモンド……ちゃんと真剣にやれよ!」
俺は叫ぶ。
「こんなに大事になるとは思わなくて……ごめんなざい!」
レオモンドは泣きながら謝っている。
「ったく」
呆れた俺が一旦抜いた村正の刀身をカチン! と鞘に戻すとレオモンドの目が光った!
「ごめんなざい!!」
と言いながらレオモンドは俺の顔にパンチをしてくる!
「うぐぅ!」
思わぬ方向から殴られて驚く俺。
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
と言いながらレオモンドは何度も俺を殴り俺の持っていた刀を無理矢理奪い取った!
そして立ち上がるレオモンド。
「はぁーー!! お前油断したなぁ! この勝負はなんでもありなんだよ!! お前の負けだ! アーサー!」
レオモンドは倒れている俺に向かって吠えた。
「お前……なんて奴だ」
「よしっ! この刀で……あれ? カチャ……カチャ……」
レオモンドは村正を鞘から抜くことが出来ない。
ムクリと俺は起き上がると
「ぴぎゃやぁ!」
俺は思い切りレオモンドにパンチをした。吹き飛ぶレオモンド。カランカランと村正が落ちた。
俺は村正を広い上げてふぅーっと一息つくと
「よし。殺すわ」
と言ってレオモンドのところに近づいた。
「待ってくれ! 待ってください!」
レオモンドは土下座をする。
「すいません! すいません! なんでもやります! なんでもしますから! 許してください!」
レオモンドは土下座をしながらギュッっと地面から砂を掴んだ。
「お前。それなにを掴んでんだ」
俺は聞く。
「いえっ! これは……なにも」
「見せてみろ」
俺がそう言うとレイモンドは震えながら手の平を開けた。そこには大量の砂が入っていた。もちろん俺に目潰しをするためだ。
「大したもんだよ。お前は」
俺が言うとレオモンドはへへへ……と笑う。
「俺もお前を見習わないとな。勝つために手段を選ばない。すぐに卑怯な方法をとる。そりゃなんでもありなルールだからな。それを理解せず手段にこだわっていた俺が悪かった」
「えへへ……その通りで……」
「ありがとう。お前から大事な学ばせてもらったよ」
俺は言う。
「へへへ……どういたしまして」
レオモンドは笑う。
「じゃあ死ね」
「なにいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
レオモンドはそう叫ぶと同時に
「ギャオオオオオオオオオオオ!!!!」
とドラゴンの咆哮が響いた!
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