街での買い物
ここはモントバーンの街。俺たちは国王の依頼でブラックドラゴン討伐に来ていたのだ。
「お客様! お目が高い! それは掘り出し物でございます」
俺たちは冒険の装備や道具が置いてある店に来ていた。ドラゴンと戦うための耐火性のある服を買いに来たのだ。
「なぁ。あんさん。これいいと思わへん?」
ミヤビが俺に聞いてきた。ミヤビはいわゆる和服という東洋の服を来ていた。上下が分かれておらず帯で腹を締めるタイプの服だ。
「そうだな。ミヤビも欲しいものあるのか?」
俺は聞く。
「ふふーん。これな。この髪飾り可愛ない? これ女ものやろ? 作りもこまこぅてええ出来やん。これ。ほんま」
ミヤビが髪飾りを手に取りながら言う。
「そうだね。可愛らしいね」
俺は同意した。
するとミヤビは目を輝かせる。
「そうやろ? そうやろ。やっぱアーサーはん。分かってはるわ。さすがうちの御主人様やな」
とミヤビが俺の胸を指でつついてくる。
「ちょっとやめろよ。恋人同士じゃないんだから」
俺は苦笑いしながら拒否した。
「なんや。胸触られんのあかんの? ほなら、どこなら触ってええん?」
ミヤビがふざけるように聞いてくる。
「いや……どことか……」
俺は苦笑いする。
「あの……他のお客さんのご迷惑になりますのでイチャイチャするのはやめてくれませんか?」
とミラーカが俺とミヤビの間に割って入った。なんだか怒っているみたいだ。
「いや……俺たちの他には客は居ないんだが……」
俺は店内を見回した。確かに俺達四人以外は客は居なかった。すると店員が通りかかる。
「なぁ。店員さん。探してるものが有るんやけど」
ミヤビは店員に聞いた。
「はい。なんでしょうか」
「なんや。うち。えらい困ってることがあってな。うち。好きな人といつも一緒に寝てるんやけど、一向に手を出してくれへんねん。寒いのにこっちは裸で誘惑してんのに!」
ミヤビは店員に言う。
「ハハハ……そうですか」
店員は困った様子だ。ミヤビ……店員になにを言ってるんだ……
「多分その人、真面目過ぎるんやな。で、なんかええ……あーてぃふぁくと? って言うんかな。にぶちんにも伝わるええやつあったら教えてくれへん?」
ミヤビは店員に聞く。
「そうですか。なるほど……でしたら……」
店員は並べてある商品を見る。
「こちらのチャーム機能のついたサキュバスランジェリーなどはいかがでしょうか」
店員は言う。
チャーム機能? なんだそれは……
「さきゅばすらんじぇりー?」
ミヤビは分かっていない様子だ。
「はい。こちらは初めての夜を必ず成功させたい女性のための商品です。必勝の勝負下着です。別名、僧侶殺し。俗世から離れて禁欲を旨とする僧侶たち。その僧侶たちを堕落させるためにサキュバスがつけていたとされる下着です。この下着によって僧侶たちは続々と道を踏み外したとか。それくらい強力な効果を秘めた下着です」
店員は言う。
「じゃあ、この下着をつけたら……」
「理性90%オフ。本能90%アップの効果があります。草食動物が急に肉食になるレベルです」
店員は言う。いや、草食動物は本能で草を食ってるんだからな?
「ほう……これはええなぁ」
ミヤビがニヤニヤしながらその下着を見る。
ミヤビ一体なにをしてるんだ。
「そのアーティファクト……ボクも興味があるな。微乳サイズのはあるのかね?」
ミラーカが言う。
「ふざけないでくれよ。エリスを見ろよ! 俺たちはドラゴンと戦うための服を買いに来たんだぞ!」
俺はエリスを見ると
エリスはレジで会計をしていた。
「こちらサキュバスランジェリーが一点と、サキュバスネグリジェが一点。口に塗るだけで魅力50%アップのリリスの口紅が一点。合計三点200クローネになります」
店員は言う。
「あっ! 下着はつけて帰ります」
エリスは言う。
「かしこまりました」
購入済み……?
エリス?
なにをやってるんだよ……みんな……
◇
俺達は買い物を済ませて店をあとにした。俺はエリスに耐火性のある服を買ってもらった。
「ありがとう。エリス」
「気にしないで下さい。これくらい」
するとビーーービーーー!! ビーーー!! ビーーー!!
と街中から警報が鳴った。
「!! なんだ一体!」
俺は驚く。まさかドラゴンがもう……
「ゴオオオオオオオオオオオオ!!!」
遠くからドラゴンの声が響く。
「!!!」
俺の体に戦慄が走る!!
体が緊張する。足が震える。動けない! 体が!
「ドラゴンがまもなくやってます!! 至急家の中に避難して下さい!! 至急! 家の中に避難してください!」
アナウンスが流れる。このサイレンとアナウンスはアーティファクトを応用したものだ。
走る町の人々! 多くの人が逃げ惑って家の中に逃げ込んでいる!
ブゥン!! 各自の家に魔法障壁が展開された。これでドラゴンの炎を防ぐことになっていた。昔と違い今は魔法技術も進化した。昔はドラゴンから家を護るシールドなんてなかったが……
「あそこに子供が!」
エリスが言う。エリスが指をさした先には小さな子供がよく分かっていない様子でまわりをキョロキョロしながら歩いている!
「ゴオオオオオオオオオオオオ!!!」
ドラゴンの咆哮が聞こえる! 近い!
エリスとミラーカはその子を助けるために走り出した!
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