ざまぁ展開 焦るレイモンド
アルケイン魔法学校。学長室。
初老のアガサ学長は主人公のアーサーをハメたレイモンドと話をしていた。
「ねぇ本当にニナとは、なにもないの?」
レイモンドに聞くアガサ学長。
「あんなのアーサーの苦し紛れのたわごとだよ。俺が好きなのはアガサだけだよ」
レイモンドはアガサ学長の頬を撫でる。二人はもはや敬語すら使わない仲になっていた。
「本当? 信じるからね」
50歳にもなるアガサ学長はレイモンドの胸に顔を埋める。
「大丈夫。全部俺に任せてください。俺がみんな幸せにしてみますから。アーサー以外はね」
レイモンドは不敵に笑った。
「レイ。怖いよ。キスして」
アガサ学長はレイモンドにお願いする。
「あぁ。アガサとのキスは最高だからな」
レイモンドはアガサ学長と口づけをした。
◇
「うんざりするぜ。あの色ボケババア。口がクセェんだよ」
ここは学園の秘密の部屋。レイモンドはニナを抱きしめながら悪態をつく。
「本当。気持ち悪いよね。あのババア」
ニナが心底可笑しそうに笑う。
「マジで加齢臭がすごくてさぁ。体ちゃんと洗ってんのかよ。てか加齢臭じゃなくて死臭?」
とレイモンドが言うとニナはキャハハハと笑った。
「でも……アーサー先生私達のこと恨んでるかな……全部ウソだもんね。キスしたの私からだし」
とニナが含み笑いをする。
「スキがあったってことだよ。あいつが。今どきセクハラのスキャンダルなんて一発でクビを切られる。それが分かって無かったあいつの自己責任だ」
と邪悪な笑みを浮かべるレイモンド。それを聞いてニナがキャハハハと笑った。
「レイモンド。あのババア追い出して絶対に学長になってね」
ニナが言う。
「あぁもちろんだ。あのババアの利用価値が無くなったらさっさと捨ててやるよ」
レイモンドはニヤッっと笑った。
アルケイン魔法学校の掲示板。そこにアーサーの教え子である貴族の令嬢。フレデリカが立ち尽くしていた。
「な、なんですの。これは……」
「お嬢様どうなさいました?」
と聞いたのは同じクラスメートでフレデリカの侍女であるミアだ。フレデリカの友達であり、侍女でもある彼女はフレデリカの学園生活を円滑にするためにこの学園に入学していた。
「ミア! これをご覧なさい!」
とフレデリカが掲示板を叩く。するとその掲示板には
土魔法教師。アーサー・ウォード 同僚教師ニナに対するセクシャルハラスメントにより本日付けで辞職した なお後任には水魔法教師のレイモンド・クザンが兼任する
と書かれていた。
「ミア! なんですの! これは!」
激怒するフレデリカ。
「おかしいですね。アーサー先生がそんなことするハズがありません。むしろしそうなのはレイモンドの方ですね」
ミアがそう答える。
「当たり前です! この私が散々アプローチをしてそれを華麗にかわしてきたアーサー先生が! あのどこぞの田舎から出てきたニナとかいう芋女教師にセクハラする訳がありませんわ!」
フレデリカが激昂した。
「ま、お嬢様はアーサー様に今まで情熱的なラブレターを300通ほど送られて、その全て断られてますからね」
「うっ……ミアなぜそれを」
すると沢山の女子生徒が掲示板に集まる。そしてアーサー辞任の貼り紙を見た。
「えっ? ウソ! アーサー先生が!」
「信じられない!」
「辞任されるって。レイモンド先生が後任って私無理!」
「そうよ! セクハラしそうなのはレイモンド先生の方じゃない!」
掲示板の前で女子生徒たちが怒りながら話し合っていた。
フレデリカは少し安心したのか
「ふぅ……」
っとため息をつく。
「その通りですわ!」
フレデリカが女子生徒たちに言う。
「フレデリカ様!」
「フレデリカさま!」
口々にフレデリカの名前を言う女子生徒たち。
「この企みに気づかないのはただのバカですわ! アーサー先生は汚い陰謀によってハメられたんです! アーサー先生を陥れた人間はレイモンドですわ! 私には分かります!」
とフレデリカは告げた。
「えーー! 本当……それだったら」
「レイモンド先生なら……本当にやりかねませんわ」
「もーヤダー! アーサー先生が良い! レイモンド嫌い!」
口々叫ぶ女子生徒たち。
「おっ! どうしたんだ? みんなして」
男子生徒が会話に加わった。
「ねぇ! 聞いて! レイモンドがアーサー先生をハメてクビにしたって!」
女子生徒が男子生徒にそう伝える。
「えっ? 本当か?!」
驚く男子生徒。
「ほら! この掲示板見て!」
「アーサー先生が辞職? セクハラで嘘だろ!」
「ね! あなたもそう思うでしょ?
レイモンドにハメられたんだよ。可哀想。アーサー先生」
女子生徒がそう言って落ち込んでいる。
フレデリカはレイモンドに対する怒りを噛み殺しながらその様子を見ていた。
◇
大教室にて
「さぁ! 授業を始めます。アーサー先生は新任教師に手を出すというあるまじき行為によって辞職されました。アーサー先生はこの学園の恥です。ですのでこの私レイモンドがアーサー先生の後任となりました。皆さんよろしく」
レイモンドが教壇に立ってそう言う。
怪訝な表情で見る生徒たち。もうレイモンドがアーサーをハメたのではないかという噂が学園中に広まっていた。
「で、アーサーはどこまで授業を進めていたのかな……なるほど今日の授業はゴーレムの生成か」
ボソリと呟くレイモンド。レイモンドはチラリと生徒たちを見る。生徒たちはとてつもなく怪訝そうな表情でレイモンドを見ている。ここは一発アーサーよりカッコいいところを見せなくては。
「では先生がまずお手本を見せよう。まずは床にこの清められた砂を使って……あれ……難しいな……えっ? あいつこんな高度な魔法陣を……」
とブツブツ呟きながらレイモンドは手を使って砂を撒きながら魔法陣を書く。
「えっ? ここか? いや、あーーしまった!」
レイモンドは魔法陣の作成をミスしまくった。そのたびに生徒たちからクスクス笑いが起こった。
「えっ! あ!」
レイモンドは砂で出来た魔法陣を足で踏んで壊してしまった。ドッと笑う生徒たち。
愛想笑いを浮かべるレイモンド。
さぁどうなるのか。ざまぁ続きます。
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