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そうそうたるメンツ

俺たちは冒険者ギルドまで来ていた。俺の『白銀の翼』への加入登録をするためだ。


「先生は私たちのクランのリーダーをやってもらいますからね」

エリスは言った。


「えっ? 俺が? なんで?」


「そりゃそうだろ。ボクたちの先生なんだから」

ミラーカが言う。


「いや! それは流石に……ぽっと出の俺がリーダーをやるとか……」


「むぅ……先生に昔みたいに面倒みてほしいんですよ。複雑な乙女心を分かってください」

エリスが俺に腕を絡ませながら言う。


うっ……そうなのか。


俺たちは三階に着いた。


「うおっ……」

俺は思わず声が出る。知ってる! あの人も! この人も! ほとんど! 有名人ばかりだ! あれは隻眼のマルギニッド! あれは魔女ハイデマリー! あれは剣聖アーヴァイン! 元神聖騎士団団長のレオナルドまで……錚々たる面々だ。


「これがトリプルスターズの面々……」

俺は圧倒される。三階はカフェもありそこで冒険者たちが互いに話し合っていた。


あっ! 一際目を引くあいつらは……『炎龍の咆哮』のメンバーたち。リーダーのシド。弓使いルーディー。魔法使いエリザベス。重戦士のサムソン。その他のメンバーたち。


『炎龍の咆哮』は国一番のクランと言ってもいいほどのクランだ。実力者揃い。全員一流の戦士の称号のレベル6を獲得している。このクランはみんなの憧れの的だった。ある日『炎龍の咆哮』に欠員が出て新しいメンバーを募集した。するとその一人の席を狙って五万人ほどの冒険者が殺到した。これはこの街でも大きなニュースになった。それくらいみんなが入るのを熱望しているクランだった。このクランに入れば子々孫々まで自慢できる。街ではそんな冗談を言われたりしていた。


ここニースの街でも知らない人たちはいない超有名人だ。リーダーのシドはあまりの人気に王家のお姫様と付き合っているらしい。まさに選ばれし冒険者たちだ。


すご……気後れする俺。ていうか握手して欲しいくらいだ。サインして欲しいな。


すると『炎龍の咆哮』のリーダーであるシドは俺たちを見つけるとニコッっと笑ってこっちにやってきた。


「やぁエリス久しぶり。例の件考えてくれた?」

シドはエリスにそう話しかける。


えっ? シドとエリスは知り合い? マジか!


エリスは仏頂面だ。


「例の件ってあれですか? 私たちに『炎龍の咆哮』に入らないかってことですか?」

!! ? エリス今なんて……凄いこと言ったなエリス。


「そうだよ。エリス。ミラーカ。君たち二人は僕達のクランに入るべきだ。エリス。君には副団長の席を用意してある。なぁ頼むよ」

と言ってシドが微笑んだ。


「申し訳ありませんがその件はお断りしたハズでは……」


「まぁそうだけど。人って心変わりすることが良くあるからね。そうだ。じゃあこれでもっと心変わりしてくれるかな?」

と言ってシドは一振りのレイピアを取り出した。


「これは伝説級のアーティファクト。キスティルデインだ。聖なる力がエンチャントされている。この剣の伝説を知っているだろう? ある聖人を守るために作られた剣で、こんな細身の剣だがドラゴンのウロコも切り裂くほど鋭い。これを君に……」


「結構です」

エリスは言い放った。


「おっ……そうか。この剣は君の腰に下げるのが相応しいと思ったのだが……そうか駄目か」

シドは残念そうだ。


ふとシドは俺の方を見た。

「エリス。そちらの方は?」

シドが聞く。


「こちらはアーサー先生です。今度私たちのクランのリーダーになっていただきます」

エリスは俺を紹介した。


するのシドは俺をまじまじと見た。


「アーサー……アーサー! あっ! 君の顔は知ってるぞ! 確かアルケイン魔法学校の教師! 確か自分の部下にセクハラをしたとか……」

シドは嬉しそう喋りだした。


すると


パシィィン!!


とエリスがシドの頬を平手打ちした。


えっ?


驚いた表情のシド。


「恥を知りなさい! シド。私の大切な人を侮辱するとは! アーサー先生は無実です! そのようなゴシップを信じてるとは! 元々見損なってましたけど、更に見損ないました!! それでわたし達を勧誘出来ると思っていたのですか?」

エリスは激昂している。エリスの激昂に周囲は静まり返る。


「えっ……あ……」

シドは動揺している。


するとドゴッ! ミラーカが追加でシドにパンチを入れた。


「うおっ!」

うめくシド。


「しかも財力にものを言わせてわたし達を従わせようとはなんという下衆! 申し訳ありませんがお断りします! アーサー先生に謝りなさい!」

エリスはそう言い放った。


「ボクたちの仲間を馬鹿にするとかなにを考えてるんだ! 早く死ねっ!!」

ミラーカも怒る。


「でも殴ることない……」

シドがそう言いかけると


「はい! すいません。こっちが悪かったです。シド。もう行こっ」

とシドと同じクランの魔法使いであるエリザベスがシドを止めた。


「でも」

「いいから。すいませんでしたー!」

と言ってエリザベスは謝りながらシドを連れて行った。一体なんだったんだ。


すると周りからパチパチパチと拍手が起こった。


シド。ちょっと嫌われているのか……?


「先生。大丈夫でした?」

エリスが俺に聞く。


「あぁ。大丈夫だった。でもエリス良かったのか? あの一流クランの誘いを断って……」

俺を選んで……と俺は言いかけたがそれは言わずにおいた。


「何言ってるんですか! 先生さえクランに入ってくれたら百人力ですよ! 邪魔な奴はいらないです。さぁ! クランの登録をしましょう!!」

エリスは俺に腕を絡ませて笑った。


「そうだぞ。メンバーは先生とボクたちだけていいからな。余計な奴はいらない」

ミラーカもそう言って笑った。

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生き別れの兄が近所のスーパーでレジ打ちをしてたんだが……
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