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こうして養子にした子ども達は巣立って行った
とはいえ、キキは学生
王都の学校に無事特待生で入学した
入学式でマリアンヌが号泣だったのは言うまでもない。
キキにはごめん。嬉しくてと謝った。
恥ずかしそうに、いいよ気にしないでと言ってくれた。いい娘。
その後、しばらくして落ち着いたのでスチュアート様の所に連絡をして
マーティンのスキルを確認した。
「こちらが、マーティンくんのスキルの鑑定書になります。」
「マリアンヌのスキルは受け継いはいないな」とオーディン
「そうね。」とマリアンヌ
「マリアンヌが居なくなってから、出現する場合もあるんじゃ。スキルについては解明されてないことが多くてな。
ただ、渡り人のスキルは継承されることが多い。それも渡り人が居なくなってから出現するケースが多いんじゃ」
「ママが死んじゃったら、スキルが出るってこと?なら…スキルなんていらない…」マーティンが泣き出してしまった。
マーティンをギュッと抱きしめながら
「そんなにすぐには死なないわ。大丈夫よ。でも、人は必ずいつか死んじゃうわ。
だから、その時寂しくないように今を一生懸命生きましょう。思い出もいっぱい作ろうね。」とマリアンヌ
「ママ…どこにもいかないでね…。」とマーティンがグスグスと涙をぬぐう
「マーティンと一緒よ大丈夫。」とマリアンヌ
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こうして鑑定が終わり自宅に戻った
ご飯を食べて、今日は久しぶりに親子3人で寝た。
こうして、マリアンヌ達の日常は続きマリアンヌが45歳を迎えた時
借金返済が終わった。
マーティンも10歳になった。小学部の勉強を終えて、将来はまだ未定
次の学校には行かず、店を手伝ってくれている
オーディンは街の自衛団として働いている
最近マーティンに、不思議なことが起こるようになった
急にマジックボックスが出現した。
生活雑貨の物だけ収納できるようになったのだ
嬉しいらしく、研究用のキッチンでせっけんを一生懸命作っていた
劇物を使うのでゴーグルなど必要な物はしっかり準備して最初は付きっ切りで教えた。
5年後マーティンは才能を買われ王都の大手の商会に勤めることになった
企画運営部という新しい部署だそうだ。
土地と家付きで給料もいいらしく、親としては騙されてないか不安だったが
心配いらないらしい。
王都で姉であるキキともたまに会えると手紙をくれた
「みんな巣立っちゃいましたね」とマリアンヌ
「そうだな。」とオーディン
異世界だからなのか、普段の運動の違いなのかマリアンヌは明らかに年を取った
オーディンは年の割に若く見える
マリアンヌは、最近関節が痛く以前のように長く店を開けることができなくなった。
そんな中、王様の訃報が届いた。
67歳だったという
「地球よりだいぶ短い一生じゃないかしら…。」マリアンヌがつぶやくと
「宰相様も危ないらしい…」とオーディン
「そうなの…寂しいわね。」とマリアンヌ
マリアンヌは、自分が地球ほど長く生きられないと理解した。
その日から、今まで習いに来た料理人には教えられなかった材料が揃わないレシピのレシピブックを書き始めた。
自分が居なくなった後、マーティンにスキルが現れれば作れるようになるかもしれないと。
日本食も沢山解放され、サバの味噌煮は王様も宰相様も大好物だった。
サバが見つからず、これも封印のレシピだったのだ。
魚はどこから?って思うでしょ。レベルが上がったら畑に小さなため池みたいなのが出現してね。
そこに麻袋が浮かぶの(笑)それに入っていたわ。
お刺身も食べれたのよ。
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こうしてマリアンヌのレシピ本は5冊にも及んだ。
スキルでの作り方と手作りでの作り方細かく書き込み続けたのだ。
1冊にはそんなに沢山レシピは載っていないが貴重な物となった。
5冊書き終えるころにはマリアンヌは、56歳になっていた。
最後の1ページを書き終えた時
「オーディン」
「どうした?マリア。具合が悪いのかい?」
「違うの。私、もうお迎えが来るわ…。どうしてかしら…わかるの。」
「そんな…ダメだ。行かないでくれ。俺はまだマリアと一緒に生きたい!」
「もう、オーディン。私こんなにおばあちゃんになっちゃって…ずっと愛してくれてありがとう…。嬉しかった…幸せだったわ…残りの人生笑顔で生きてね…オーディン大好き…」
そのままマリアンヌは息を引き取ったオーディンの腕の中で
マリアンヌの突然の訃報はキキやマーティンに知らされた
ロッタには各地のギルドへ張り紙がされて知らされた。
キキとマーティンはどうにか葬儀へ参加することができた。
ロッタは遠くにいるらしく、ギルドから葬儀へ間に合わないことの謝罪の連絡が来たが
マリアンヌの残りの人生笑顔で生きてねというメッセージと共にもう一度ロッタへ知らされることになった。
マリアンヌの死後
マーティンにはやはりスキルが覚醒された
オーディンは晩年マリアンヌが書き綴ったレシピ本をマーティンに渡した。
「マリアが最後まで書き続けたレシピだ。レベルが上がらないと作れないらしいがこれからはお前が必要になるだろう。大切にしてくれな…。」と涙ながらに手渡した。
「パパ、泣くなよ…ママ笑顔でって言ったんだろ…」とマーティンも泣いた
「ママ…」とキキも涙を流した。
その後、遺品を整理していると
オーディンとキキとロッタにも手紙が出てきた。
それぞれがその手紙を胸にマリアンヌを思った。
彼女は異世界に飛ばされて辛いことも沢山あったけど幸せだったんだと思えた。
オーディンはそのひと時に感謝して、残りの人生を伴侶を迎えることなく生きた。
孫にも恵まれ、幸せな余生を過ごした
孫の話をマリアにするんだと晩年話していた。
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「私のおばあちゃん凄い人だったの!あのベル喫茶店の店主だったの!」
「嘘つけ!あの喫茶店は王族御用達のすげーとこで、何年も前からもうやってないんだ!お前のおばあちゃんなわけないだろ!お前獣人じゃんか!」
「ホントだもん!おばあちゃん、渡り人だったもん。」
「やーい、嘘つきー!」
「嘘つきー!」
「ヤメロー!!!俺の妹をいじめるなー!!」
「やべっ」
「逃げろ!」
「兄ちゃん…」
「ばあちゃんの渡り人の話はしちゃダメだって言われてるだろ。」
「でも、本当のことでしょ?」
「そうだ」
「じゃあ、どうして噓つきって言われないといけないの?どうして本当のこと言っちゃいけないの?」
「俺たち一族だけが知っていればいいことで、他人なんて知らなくていい事だからだよ。
俺たちはマーティンおじさんの店で誕生日はお祝いできるだろ」
「うん!おばあちゃんの味だよね!」
「ママだって、たまに作ってくれるだろ」
「うん!超美味しいタマゴサンド!あれ大好き!あと!ケーキとかプリン!」
「それだけでいいんだよ。自慢ばっかりしてると分けてあげないといけなくなるぞ」
「私の分無くなっちゃう!」
「だから言わない方がいいんだ」
「そっか。」
「あと、じいちゃん怒るから。お前がいじめられたって聞いたら。あいつらたんこぶじゃすまないぞ」
「ちょっとかわいそうかも…」
「だから言わない方がいいんだ。」
「そっか」
無事最終話を迎えることが出来ました。
初めて完結です。
拙い所、至らない所沢山あったと思いますが沢山の方に読んでいただき嬉しかったです。
ありがとうございました!




