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特別国庫管理部  作者: 安曇 東成


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終章


 延行と子涵(ズーハン)が去った後、『藤柄八山勾玉ふじつかやつやまのまがたま』を蚩尤(シユウ)に渡すと静かに姿を消した。やがて始祖夢魔の声が聞こえる。


「冬美、それにパーグア達。本当にありがとうございました。天に替わってお礼申し上げます」

「いいえ、もともとは私たち兄妹のせいなんだから、お礼なんていいの。こちらこそたくさんの神使達を傷つけてしまってごめんなさい」


 古城戸は虚空に向かって頭を下げた。


「我々はこれで使命を果たしましたので帰ります。 お世話になりました」


 それっきり声は聞こえなくなった。


「結局最後まで姿を見られなかったな」

「めっっっちゃかわいいのに、見られなかったなんて残念ですね!」


 天花寺(てんげいじ)が笑いながら言う。


「まぁでも、これでようやく片付いたんだな」


 俺は大きく背伸びをする。こんなに気分が軽いのはいつぶりだろうか。いやこれまでの人生で一番軽い。



 延行が反地球に渡って二ヶ月が経った。月から観測されていた反地球も今はもう観測されなくなり、結局何かの間違いだったということになっている。おそらく反地球側から八卦で観測不能にしたのだろう。

 古城戸延行はおそらくもうこちらの地球と接触するつもりはないだろう。古城戸は随分落ち込んでいたが、最近はようやく吹っ切れたようだ。それに、夢でたまに会っているらしい。


 特別国庫管理部は、古城戸が雷沢帰妹(レジグマ)を使えなくなったが俺が使えるのでまだ継続している。だが俺の雷沢帰妹(レジグマ)では重いものはすぐ消えてしまうので、対象は限定となっている。

 新人達も八卦に覚醒した。八卦の力に溺れることなく、下らない道具に成り下がることなく、自らの意思で行使しなければならない。


 海沿いの道路をSR400でのんびりと流す。単気筒の鼓動と共に受ける風が心地よい。前を走るYZF-R3には古城戸。背後には後輩達がついてきている。ヘルメットに組み込まれたインカムから音声。


『うわぁ~海綺麗ですねぇ~』


 ボルティに乗る天花寺(てんげいじ)


『最高!』


 390DUKEに乗る(そよぎ)


『綺麗……』


 エストレアに乗る宇薄(うすずき)


『すごーい!』


 バーグマン200に乗る児玉。

 

 今日は全員中型バイクのツーリングで東京湾を一周しに来ている。後輩達はみな初心者なので、東京近辺で気軽に楽しめるコースにした。今、東京湾フェリーを降り、浜金谷から内房なぎさラインを走っている。十二月の風はさすがに冷たい。


 やがて東京湾一周ツーリングを終え解散となる。新人たちは満足したようだが、俺と古城戸は走り足らず、夜の東京を走ることにした。


 お台場に着いた俺たちはバイクを降り、海沿いのフェンスに腕を下ろして夜景を楽しむ。海はビルや船の光を反射して煌めき、海風と波の音が響いている。


「ちょっと寒いね」


 そう言って古城戸が俺の腕を抱える。


「くっつけば温い」


 こうして寄り添える誰かが側にいるのはとても素晴らしいことだ。心を許し、共に生きていけることに喜びを感じる。


「……あっちに行きたかったか?」

「雄太と一緒なら、どこでも行くわ」


 そう、どこで生きるかは問題ではない。誰と生きるかなのだ。


「そう言うと思った」

「なに? イヤなの?」

「イヤじゃないイヤじゃない」


 俺は今、とても幸せだ。風雷益(フーレーイ)の因果は周囲を幸福にし、そのおこぼれに預かる因果。つまり俺が幸せなら、周りはみんな幸せになったということだろう。


 どうか、この幸せをいつまでも。


                                                 了

 ここまでお読みくださった方、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。

 私にとってこの作品は処女作ですが、自分的にはよく頑張ったと思います。もちろん内容についてはダメダメな部分も多いとは思いますが、約二年という時間をかけてようやく完成したことに満足です。

 これだけ書いてもなかなか成長ってしないものですね。やはり読書をもっとして、いい文章に触れないと向上しないような気がします。

 次回作についても構想は練っており超ざっくりプロットはある状態なのでしばらく休んだら書いてもいいかなと思います。

 

 では、ここまでありがとうございました。

                                    安曇 東成 拝

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