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特別国庫管理部  作者: 安曇 東成


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二章 六 開かれる十三の扉


 何日か経ったころ、古城戸が俺の席に来たかと思うと手で部屋を変えるジェスチャーをした。

 俺たちは別階の会議室へ移動する。古城戸は隣も誰も使っていないことを念入りに確認した。部屋のドアを閉めたあと、話し始める。


「前に少し話した、盤古対策の件だけど」


 いきなり何の話かと思えばそのことか。


「バンコ? あぁ、創造神の奴だよな? ミサイルでも撃ち込むのか?」

「いいえ、あぁいう神のような概念タイプの相手には、その手の近代兵器は通用しないものよ。それに夢の中でどれだけ効果があるのかもあやしいしね」


 確かに夢の中で化学兵器の爆発があったところで実際に火傷するわけではない。


「なるほどな、じゃあ、お札でも貼り付けるのか?」

「ミサイルよりはマシかもね。でも今回の方法は違うわ」

「へぇ?」


 お札は冗談としても、俺にはアレを撃退する武器というものは思いつかなかった。ミサイルがダメならRPGロケットランチャーなども通用しないと考えていいだろうし、毒ガスなどの化学兵器も効果があるとは思えない。退治ではなく、檻に閉じ込めるとか穴に落とすという方向なのだろうか?


「それを説明するには、私の過去を説明する必要があるのよ」


 過去と聞いて、俺に思い当たったことは一つだ。


「十年前の事件のことか?」


 古城戸とはそこそこの付き合いだが、過去についてはほとんど知らない。古城戸は小さく頷くと、つらそうに語りだした。


「私は昔、六歳上の、実の兄に恋をしていたの」


 突然の告白だが、俺は目だけで続きを促した。


「それで、あの手この手で誘惑をして……恋は実ったんだけど」


 ここでいう『恋は実った』というのは、行為を含めてのことだろう。


「十三歳当時だよな?」

「そうね」


 古城戸はそれ以上は何も言わなかったが、俺が嫌悪感を抱いたのは感じただろう。

 こんな話が盤古対策にどう関係するのか、想像もつかない。


「で?」

「兄が『パーグア』でね、寝ている間に私を夢に連れ込んだの」

「それが最初の潜行?」

「記憶の限りはそう。その夢で兄は一人の男を連れていたの」

「ほう」


 新たな男の登場に少し驚いた。


「その男は素養がある人間をパーグアとして覚醒させるみたいでね、私をパーグアにしたのはその男なの」


 素養がある人間は、いずれ覚醒するものだ。少し早めても大して問題にはならない。


「遅かれ早かれだと思うが」

「そうかもしれないけどね。でね、私の力を知った兄は私を利用しようとした」

「そりゃそうだろうな」

「兄の能力は相手の支配。意識を奪って操るのよ。私は兄に操作されたの」


 古城戸の能力は規格外だ。操れば簡単に全てが手に入る。


「ありがちな話だ」

「私が持っている道具のほとんどは、兄が私を操って集めたものよ。でも、ただの道具を集めるのに兄は飽きてしまった」


 古城戸が持っている道具の偏りは、兄の趣味が反映されているということか。その兄が道具集めに飽きて、一体何を求めたのか、続きに耳を傾ける。


「兄は十三体の魔物を私の力で引き出したの。兄は念を入れて人が少ないであろう八丈島付近の島でそれらを引き出したけど、それでも周辺の島民は全員死亡してしまった。そして、兄もそのうちの一体に殺された」

「魔物……」


 俺は背中が冷たくなるのを感じた。正気な人間は魔物を呼び出そうとは思わない。古城戸の兄が何らかの狂気に憑かれていたことは間違いがなかった。


「私は操作されていたから、具体的にどんな魔物なのかは正確にはわからない。だけど知っている限りそれは十三体。そして、どれもすこぶる危険な奴らよ」

「そいつらは現世に出てるんだよな?」

「えぇ。現在は十三体すべて、政府が地下の特別施設に収容している。場所はバラバラだけどね。そこで研究がされているわ。それが兄の事件を隠蔽する代わりの代償なの。報道も操作されて、魔物ではなく土砂災害で島民が亡くなったとされたわ」

「監禁できるレベルの魔物ならそれほどでもないんじゃないのか?」

「そう思う? これがその魔物のうちの一体の研究情報よ」


 そう言って一枚の紙を俺に向けた。俺は紙を手にとり目を落とす。



この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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