プロローグ
私は食べることが好きだ。
特に変わったものがいい。食べた事のないもの、食感、もう考えただけで…
「お腹すいたなぁ。」
ぽつっと呟いてはっとする。
やばい!いま入学式の最中だった!
辺りを目だけでキョロキョロ。どうやら聞こえてなかったらしい。
この学長、話が長い。話し始めて20分はたってるんじゃないか。
もうすぐお昼になっちゃうよ!絶対お腹なる!
頑張れ私の胃袋!お前なら出来る!
両手でお腹を抑えて力を込める。ここで鳴らせる訳にはいかない。
グー、キュルルゥー
12時になったと思ったとたんにお腹がなった。
正確すぎるよ、私の腹時計。
隣の男子が私のことをチラチラ見てるのがわかる。あー、恥ずかしい。
「おお、もうこんな時間ですね。誰かわかりませんが時間を教えてくれてありがとう。それでは新入生のみなさん。勉学、魔法学、友情。あらゆることを学び充実した学生生活をおくれることを願っています。」
追い討ちやめてよぉ。
学長先生のありがたーいお言葉が終わり入学式は幕を閉じた。
クラス分け、明日からの学校生活についての説明が終わってやっと解散。
廊下に飛び出して走る、走る、走る!
13時まであと10分!間に合うか否、間に合わせる(反語)!
1階の踊り場を駆け抜けて外へ。校舎の裏側へ回って林を抜けて…目指すは旧校舎2階、階段登って2番目の部屋。
飛び込んで時間を確認。よかった12時55分!思わずガッツポーズ。息を整えてもう使われていない黒板に手をかざす。
私の前には扉がある。それを開けるイメージ。
黒板が歪む。私は光に包まれる。
さぁ、美味しいものを食べに行こう。