名前について
名前について
この世界の人は皆、生まれて直ぐに精霊王の神殿で洗礼を受けて、神官から洗礼名を与えられる。
それは『聖なる名前』とも呼ばれ、魂に刻まれた生涯変わらない名前となる。
結婚や旅立ちの別れ、辞令発行時など、基本的にその人の人生の節目となる特別な時にしか呼ばれない、正に特別な名前となる。
〇〇・〇〇、のように、与えられる名前は二つあり、日常的には一つ目の名前で呼ばれる。略して愛称で呼ばれる事も多い。
貴族や身分のある者の場合は、その後に家名や爵位が続く。
△△家の次男の〇〇(愛称)、と言った具合に第三者には紹介される。
挨拶の際には、こちらから聖なる名前を名乗る事も多いが、特に名乗らなくてはならないという決まりがある訳ではない。
精霊竜の力のある声で名前を呼ばれると、呼ばれた相手は魂を掴まれるのと同じ意味を持ち、名前を呼んだ相手に対して逆らえなくなってしまう。
その為、それを避ける為に、精霊竜達は、自分の主となった人物以外の名前は、たとえ愛称であっても基本的に呼ばない。
その為、勝手に付けたあだ名や地位を合わせて呼ぶ。
例えばブルーは、蒼の森の住民達なら、タキスは、黄色い髪の竜人。ニコスは、黒い髪の竜人。ギードは、ドワーフ。と、呼んでいる。
精霊竜には、自らの主のみに呼ぶ事を許した、いわば主専用の名前と、一般の人が呼べる名前の、二つがある。
各精霊竜が持つ守護石が、そのまま一般人の呼ぶ名前となる。
ブルーの場合は、ラピスラズリが守護石なので、ラピスラズリ、またはラピスと呼ばれている。
第二部隊の兵士達は、通常お世話をする竜の事を敬称を付けずに呼ぶが、それ以外の一般人が呼ぶ時は敬称を付けて呼ぶ。
主専用の名前を、その竜の主以外の他の人が呼ぶのは許されない行為。竜にとっては非常に不快で、嫌悪感や場合によっては侮辱されたと感じる程の行為。
自分よりも上位の他の竜の主から主専用の名前で呼ばれるのは、その人の支配下に入る事を意味する。
非常時にのみ許される行為であり、された竜にとっては屈辱的とも言える行為。