精霊について
火、水、風、土の四つが、四大精霊と呼ばれる主な精霊達。
他には、光、闇、の二種類の精霊がいる。
四大精霊と光の精霊、これらの精霊達が、精霊竜と共棲している。
それ以外にも、例えば本には『本の精霊』がいるし、家の精霊『ブラウニー』など、人と深く交わるものや古い道具には、時に精霊が現れます。一種の付喪神のようなもの。
火の精霊(火蜥蜴、サラマンダー)
赤いトカゲのような姿をしている。言葉を喋る事は出来るが、これと決めた人以外には殆ど喋らない。その為、サラマンダーは話せないと思っている者も多い。
個体差が大きく、地域によって姿形は様々。蛇のような長い体を持つものや、鬣を持つものもいる。
これと決めた人と仲良くなると、その人の『火の守役』となる。火の守役は、その人について何処へでも行く。そして、その人の扱う火の精霊魔法を制御する。
火の守役を持たない精霊使いが、上位の炎を扱おうとすると、制御が甘くなり、上手くいかない事が多い。下位の魔法程度なら、火の守役がいなくても大丈夫。
スープの鍋などの上にいて貰えば、いつまでも冷めない。じっくり火を通す煮込み料理なども、火蜥蜴がいれば楽に作る事が出来る。
水の精霊 (ウィンディーネ)
水色の半透明で、女性の体を持つ、水を扱う精霊。水のある所には、基本的に何処にでもいる。
わずかでも水があれば、彼女に頼めばそれを増やしてくれる。何もないところから水を出すのは難しく、精霊魔法としては上位の技。
彼女達が出す水には二種類あり、通常の水と、強い力を秘めた良き水と呼ばれる水がある。
良き水は、自然の湧き水や植物などにも含まれ、精霊竜や幻獣達の命の糧となる。
良き水は人が飲んでも有効で、ごくわずかだが怪我の回復が早くなったり、体調が良くなる。二日酔いにも効果あり。
水の精霊に頼めば、食料を長期間新鮮な状態で保存したり、料理を作りたての状態で長い時間保存出来る。
タキス達は、親愛を込めて、水の精霊の姫、または姫、と呼んでいる。
*余談ですが……ちょっと設定の裏話。
水の精霊は『ウンディーネ』の表記が普通ですが、私が子供の頃に読んだ本の中に、精霊達のお話があり、その中の水の精霊の表記が、何故だか『ウィンディーネ』でした。
誤植だったのか、それとも幼かった私の記憶違いなのか? もう、その本は手元に無いので、今となっては確認のしようもありません。
でも、大好きだったその本のおかげで、私の中の水の精霊の呼び名は『ウィンディーネ』になってしまい、一般的には『ウンディーネ』だと知った時には、結構な衝撃でした(笑)
このお話を書く際にも悩んだんですが、作者の権限!って事で、このお話に出てくる水の精霊の呼び名は『ウィンディーネ』になっています。
気になる方は、申し訳ありませんが脳内で補正してお読みください。
風の精霊(シルフィード、シルフ)
風を扱う精霊。半透明の布をまとった女性の姿をしている。基本的に空気のあるところなら何処にでもいる。通常は略してシルフ、と呼ばれる。
おしゃべりが大好きで、楽しい事も大好き。気まぐれで移り気。複数でいる事が多い。
強い精霊使いに呼ばれて集まると、相当強い風を起こせる。
一瞬でものを断ち切る『カマイタチ』の技は、草や木だけでなく、攻撃の技としても有効。
精霊竜が、鳥のように羽ばたかずに飛ぶ事が出来るのは、風の精霊の加護を受けているため。
土の精霊
大地の精霊。ずんぐりとした小太りの男性の姿をしている。土のある所なら何処にでもいる。しかし、土から離れるといなくなってしまう為、精霊使いの持つ石の中には入らない。
畑にいる事も多い。ノームがいる畑は、土が豊かになり収穫も格段に増え、また栄養も豊富になる。
鉱山にいるノームは、ドワーフの指示のもとで、その鉱脈にある鉱石や原石を掘り出せる。自分達だけでは、見つけることは出来ても取り出すことは出来ない。
放棄された鉱山跡などの地下空間の場合、ノームの数が極端に減り、その土地自体の力が弱まる。そうなると、その地下には闇の眷属が容易く現れるようになり、更に荒廃が進む事になる。
また、極端に荒廃した土地や、誰も住まなくなった土地も、大地の力が弱りノームの数が極端に減る。仮に現れることが出来ても、実体化しきれず半透明の状態になる。
基本的に口下手。口数は少ないが気に入った者には饒舌になる事も。お酒好きが多いと言われるが、飲んでいるところを見たものはいない。
鍵のノーム。
ノームの一種で文字通り鍵と契約を司る。
それぞれの個人を認識して、扉の鍵を開けたり閉めたりする。
最も信頼できる鍵。物理的な破壊は不可能。
精霊には系統と呼ばれる人で言うところの血統のようなものがあり、いくつかのツリーが存在する。
どのツリーに属するかによって、例えば同じ風の精霊でも、仕える技の種類や強弱があったり、場合によっては姿形も変貌する。
それらとのツリーとは別に、各精霊には、古代種と呼ばれる特別なツリーに属する者達が存在する。
どの属性の古代種も姿形は同じだが、他の普通の精霊よりも一回り以上大きく色も濃いことが多い。精霊魔法も最上位まで使えるなど、強い力を持つ。
風の精霊の古代種には知識の精霊と呼ばれる、今では失われたツリーに属する特別賢い精霊もいる。
光の精霊。
闇の精霊と対になる光を扱う精霊。他の四大精霊に比べて知識も豊富で賢い。
光の精霊魔法は、扱いが非常に難しく繊細。
単純に光を放つだけでなく、彼らの放つ光には、聖なる属性があり浄化の作用がある。
各技の一つ一つが非常に強力。
光の精霊魔法は竜人やドワーフが主に扱うが、誰でも扱えるわけではない。光の精霊魔法を扱える者は、竜人やドワーフの中でも一流の精霊使いと言われる。人間では、この精霊魔法を使えるものは非常に珍しい。
光の精霊は数が少ないと言われ、気難しいものが多い。石の中に入ってくれる程仲良くなるには、時間がかかり難しい。
闇の精霊。
光の精霊と対になる、闇を司る精霊。
人や精霊竜には扱えず、闇の精霊魔法を扱えるのは、精霊界にいる闇の種族のみ。
闇の精霊のもとには、闇の眷属と呼ばれる異形のもの達がいる。幻獣の一種で非常に気が荒く強い。
本来それらは全て闇の冥王の配下であり、基本的に、物質界と呼ばれる人の住む世界には自力では出て来られない。
最下位の幽霊程度は、物質界と呼ばれるこの世界にもいるが、影のみで物質への干渉は出来ないので、はっきり言って無害な存在。見る事が出来る者もごく稀なので、実際には影響は無いとされている。